23.私とあなたの仲じゃありませんか
早朝、登山装備を身に着けたジゼルとマリリに、リントが茶色の
「
「は、はい……その、おいで?」
子猫が、しゃがんだマリリの腕を伝い、肩に登った。
「リベルギントとリント、メルデキントと彼女は、それぞれ相互に独立した
「ああ、機体のそばにいれば、
「認識しました。私からの情報支援も、
「感謝する」
「
ヤハクィーネがエトヴァルトをにらむ。曲がった
ジゼルは話を聞いているのかいないのか、じっとマリリの肩を見てから、真剣な顔をリントに向けた。
「私は構いませんよ」
しゃがんで、両腕を伸ばす。
「必要ないが」
「私とあなたの仲じゃありませんか。さあ」
こういう時、リントは充分以上に意思をくむ。にゃあ、と、あきれたように鳴いて、するりとジゼルの肩に乗る。
さすがに大きいが、ジゼルが背負った
「おそろいですね、マリリ。それと……」
「メルデキントだから、メルルにしよう! マリリちゃんとメルルちゃん、うん、なんか
「同意します。それでは出発しましょう、マリリ、メルル。侵略者の出陣です」
侵略者、という身分が気に入ったようだ。鼻歌らしいものも出る。
「は……はい! よろしくお願いします、ジゼリエル=フリード様!」
「長いです。ジゼルで構いませんよ」
中庭の中央に並べて置かれ、降下用装備の準備を始めているリベルギントとメルデキントの横を通り過ぎる。
ジゼルが敬礼して、マリリもならう。答礼の代わりに、リントがまた、にゃあ、と鳴いた。
メルデキントからは、特に反応もない。なるほど、神霊核として特殊なのは、こちらのようだ。
***************
先日まで
まずは亜熱帯の草木が
こうなってみると、ジゼルの肩の上に乗っているのも、悪くはない。
山岳民族チルキス族は、その生活様式が、一般には正確に知られていない。
だが、無論、生命の
体系的、学術的に整理して認識された
マリリは、
母方の一族に初めて接触、交渉し、父方の故郷を
緊張も重圧も一人で向き合うしかないが、メルルと、やけに先輩風を吹かせたがるジゼルも、その助けにはなるだろう。
チルキス族の行動範囲そのものはイスハリ山脈のほぼ全域だが、主要な生活圏はカラヴィナとシャハナに渡って広がる広大な亜熱帯の山野部だ。
山岳部に向かい、通常人の生活圏から
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます