22.すねないでよ
二人を
「やれやれ。肉体派は、うち
「ユッティが言った通り、年下には甘いようだ。現時点では適切な指導と考える」
リントに同調しながら
今回の作戦行動は、長距離間の情報共有が絶対条件だ。
「ヤハクィーネ、マリリとメルデキントの同調について確認したい」
「すんでおりますわ。以前申し上げましたように、あなた様ほど雄弁ではいらっしゃいませんが、私とも意思の
「個体生命と異なり、共有する情報量が多過ぎると
さらに言えば人間との同調も、
対象は、慎重に制限するべきだった。
「あなた様とラスマリリ、メルデキントとジゼリエル様の、相互の音声同調で補間するのですね。
「もう一つある」
ジゼルが搭乗者であったことは、ユッティとの関係や、ジゼル自身の意志と
だが今回、マリリの役割とメルデキントの運用が重なる理由は、厳密にはない。
身体的に屈強な兵士がいくらでもいる中、これを偶然で片付けるのは無理がある。
ユッティが、ばつが悪そうに頭をかいた。
「あんた、本当に人間っぽくなったわよね。お願いだから人権とか、女性差別とか言い出さないでよ?」
「文脈が不明瞭だが、努力しよう」
「ええとね、穴があるのよ。女には、ほら、男にはない穴が」
「
以前、神霊核を製造する際に、受精卵を宿した子宮を体外に
ヤハクィーネの情報でこれに補足すると、神霊核の
神霊を、生命が
リベルギントの駆動電力として消費された生命は、状態を変えてジゼルの生命情報の一部となり、いずれ神霊に
「搭乗者に女性を優先して選ぶのは、肉体と
「先に、こちらへの回答を要求する。個体生命と神霊核との同調は、同化に進み個の境界を失う危険性があると言っていた。搭乗者が女であれば、
ヤハクィーネの口の端に、微笑のようなものが浮かんだ。
指摘された通り、過去の実戦の極限状態で、ジゼルは肉体とリベルギントの境界が
あの瞬間、確かに、同化としか定義しようのない領域に踏み込んでいた。
「あの、ね……別に、積極的にそうしようってわけじゃないのよ。推測の、そのまた推測だったし……生きるか死ぬかの、最後の最後で、もしかして奥の手になったり、とかも思ってさ」
「理解している。現状認識を正確にしておきたかっただけだ」
「なによ、取り
「そういうことにしておきますわ」
「そういうことにしておこう」
「ああ、もう! あんた達、子供か? あたし保護者か?」
ひとしきりユッティがあれこれと騒いでいたが、ヤハクィーネが適当に受け流して、メルデキントの
人間を主体とした
状況を認識し、課題に対処する。その意味で、ヤハクィーネの行動に文句を言う筋合いはなかった。
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