キラとメキの繁殖方法と初めての着衣
第4話・こうして人類は衣服をゲットしました ラスト
メキが見習い創造神に聞き返す。
「苗木って、なんですか? それが衣服とどう関係が?」
「『衣服の果実』です……食べた果実の種類で、二人の子孫が今後どんな衣服を着るのかが決まるよ……男性モノの縞柄トランクスを女子が穿くようになるかも知れないし。
男の
「それって必要なんですか『衣服の果実』を口にするまでは、楽園では裸で過ごさないといけないんですか?」
「大神さまが、世界創造をした時からの、お約束だから……他に質問がなければ、繁殖地に移動するよ……質問はないみたいだね、ついてきて」
見習い創造神は、二人を荒野っぽい場所に連れてきた。
そこには一本の木の苗木と、一本の木と一本の竹が生えていた。
見習い創造神が説明する。
「こちらにあるのが『衣服の果実』の苗木だよ、育って実がなったら食べてね……キラとメキの繁殖方法は植物誕生系の『桃太郎方式』と『かぐや姫方式』を採用したから」
見習い創造神が、桃に似た木を指差す。
「この木の世話をして、立派な実をならせてね……世話の仕方で、どんな人間の実がなるのか決まるから」
キラが質問する。
「桃太郎方式ってコトは、桃みたいな実がなって桃太郎みたいなのが中に入っているのかよ?」
軽い感じで答える見習い創造神。
「いやぁ、その方向だと果実を切ってみないと当たりハズレがわからないから……直接、人間が実るようにしてみました。桃太郎の桃を切る時って結構、難しいんですよ……切り方を間違えると、桃太郎が真っ二つの切断面になったりして……時には、桃の中に虫が入り込んでいて桃太郎と向かい合って虫がいたりして」
「竹の方はどんな感じに育つんだ?」
「かぐや姫みたいに、竹の中に赤ちゃんが誕生します……でも、竹は成長が早いので注意しないと成人した女性が裸で竹の中に閉じ込められたまま、竹の高い場所で窒息死するケースもちらほらと……キラとメキどちらが、桃と竹を担当する?」
キラが言った。
「じゃあ、あたいは桃から人間を作る。メキは竹で決まりだな」
「う、うん……でも植物の世話ってどうやれば? 道具もないし」
「それには、心配は及びないよ」
見習い創造神は、金属の農耕具を各種出現させた。畑を耕すクワや木を伐るオノもあった。
キラにクワを、メキにオノをそれぞれ手渡して言った。
「まだ、二人は石器も作れない文明レベルだから、特別に神の金属神器類を貸すから自由に使って……そのオノなら竹を切っても歯こぼれしないから、竹の切り方を間違えると。かぐや姫が寸断されるからね、竹から鮮血が噴き出すの見たくないでしょう」
メキは、振るったオノで竹の中で斬殺された、かぐや姫を想像して悲鳴を発した。
「ひえぇぇ!」
数週間後──キラが世話をした桃の木に裸のヤンキー男が実り、風に揺れた。
キラは、最初に実った人間の果実を枝から叩き落とすと、近くを流れる川に放り投げて言った。
「失敗した、ヤンキーができちまった。次はもっと良質な男を実らせる」
メキの方は、うっかり油断をして竹を成長させ過ぎて、竹の中に成人女性の膨らみを作ってしまった。
赤ん坊のような姿勢で横向きの人型に膨らんだ、竹の中に閉じ込められた裸の女性が、酸欠状態でピクッピクッと痙攣しているのがわかった。
オロオロとするメキ。
「どうしよう……竹の中から、成長しすぎた赤ちゃんを取り出さないと。どんな切り方をすれば安全に? その前に空気穴を開けないと、竹の中の女性が窒息しちゃう」
数回の失敗の後に、キラとメキは人類をすこしづつ増やしていった。
やがて『衣服の果実』にも実がなると、やって来た見習い創造神がキラとメキに言った。
「そろそろ、衣服を身につけてもいいころだね……『衣服の果実』を一個だけ選んで、二人で食べて。選んだ果実の衣服が、子孫の衣服に数千年間決まるから」
キラとメキが、もぎ取った果実を仲良く、両側側から食べると、二人の体が光りに包まれ──衣服が現れる。
選択された衣服は極小生地の『ビキニアーマー』だった。
今にも腰ヒモが切れそうな、ビキニアーマーを着たキラとメキが言った。
「なんだよこれ、こんな心細いのが、あたいたちの衣服かよ!」
「男も女もビキニアーマーですか? 変態人類です!」
こうして、エデンの楽園の人類は衣服を身につけるコトができるようになった。
その後、キラとメキが他のエデンの楽園で繁殖している別の始祖人類から、楽園争奪の繁殖バトルを挑まれるコトになるのだが……それは、また機会があった時に。
~とりあえず、疲れたのでこれで完結~
イヴたちの人類創世記 ~女同士で子孫繁栄!?~ 楠本恵士 @67853-_-
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