『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』の3つの要点

 この「要点編」では、これまでトピックごとに部分的に引用・紹介してきたフィルムアート社の創作系書籍を一冊ずつ、押さえておきたい「3つの要点」にフォーカスして改めて紹介していきます。


 今回紹介するのはこちら。

書名:映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術


著者:シド・フィールド

発売日:2009年03月31日|A5判|352頁|本体 2,500円+税|ISBN 978-4845909278

本書を読み解くキーワード:三幕構成、シーン、シークエンス、キャラクター、エンディング、対立・葛藤

レベル:初心者 ★☆☆☆☆ 上級者



 今回解説する『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』は29の言語に翻訳され、世界で累計100万部以上を売り上げている世界的ベストセラーです(2020年時点)。また、全米400以上の大学で必修テキストとして採用されており、名実ともに世界が認める「物語創作の教科書」といえる一冊です。

 本書は次のような問いを投げかけます。


 すべてのストーリーが持っている共通点は何か?

 それは 「発端」「中盤」そして「結末」があるということである。


 著者のシド・フィールドは、あらゆる物語が「発端」「中盤」「結末」という共通の「型」をもっていることを見抜き、それを「物語構造のパラダイム(見取り図)」としてまとめました。現在、物語構成用のテンプレートとして世界でもっともよく知られている「三幕構成」です。

 世界には膨大な数の物語創作指南本があふれていますが、その多くはシド・フィールドの「三幕理論」を下敷きにしています。例えば、ブレイク・スナイダーの「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(=BS2)」やクリストファー・ボグラーの「英雄の旅」など、後発の物語構成用のテンプレートはいずれも「三幕理論」がベースになっています。


 あらゆる創作指南本の元祖ともいえる『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』の要点を3つのポイントにまとめました。

■要点その①:「起承転結」ではなく「三幕構成」


 物語構成用のテンプレートとして日本で圧倒的な知名度とシェアを誇る「起承転結」。ハリウッドの脚本メソッドに触れたことのない方は「三幕構成」の存在を知らず、当たり前のように「起承転結」を使って物語の構成を考えてきたかもしれません。あるいは、「映画の脚本メソッド(しかもハリウッド産の)が小説に応用できるかどうかアヤシイ」ということで、あえて三幕構成を使わないという選択をしてきたという人もいるかもしれません。

 どのようなテンプレートを使う(あるいはそもそもテンプレートは使わない)かは、もちろん作者の自由ですが、「三幕構成」理論がこれほど世界中に広まり、ハリウッドのみならずあらゆるジャンル(小説やゲーム、演劇、TRPGなど)で使われているという現実がある以上「三幕構成」について考えてみるのは決して無駄ではありません。

 日本のベストセラー作家、松岡圭祐さんや乙一さんも「三幕構成」を使って小説を書いていることを著書で明言しており、小説の執筆にも「三幕構成」が応用できることは明らかです。


 ということで、まず要点①では「三幕構成」理論とは何なのかを簡単に紹介することにしましょう。


 前述のとおり、シド・フィールドは「すべてのストーリーには『発端』『中盤』そして『結末』がある」と述べています。「それって当たり前のことでは?」と思われたかもしれません。本書の画期的なところは、その「発端」「中盤」「結末」の各幕がストーリーにおいてどのような「役割」を担うのかを明らかにするとともに、適正な「分量」を示した点にあります。

 どういうことでしょうか? 


「三幕構成」とは、物語を第一幕(発端)、第二幕(中盤)、第三幕(結末)の三幕で構成するというメソッドです。それぞれの幕は「状況設定」「葛藤」「解決」に対応しており(=役割)、物語全体の25%、50%、25%を占めます(=分量)。また、幕同士は「物語の転換点(=プロットポイント)」で接続され、物語の中間地点には「ミッドポイント」が配置されます。これが、シド・フィールドが本書で示した有名な「物語構造のパラダイム(見取り図)」です。

 この「物語構造のパラダイム(見取り図)」を見れば、「どこで」「何を」「どのくらい」描けばよいのか、そして物語上の重要な転換点をどこに配置すればよいのかは一目瞭然です。「シンプルで使いやすい」それがシド・フィールドの「三幕構成」テンプレートの最大の特徴です。

 

 三幕構成の全体図を見たところで、それぞれの幕についてまとめておきましょう。

なお、以後の引用でページ数に関する記述がみられますが、映画脚本の世界では1分を1ページで表記するというルールがあります。つまり、標準的な映画の上映時間は120分なので、脚本は120ページとなるというわけです。


 第一幕(発端)は「状況設定」の役割を担います。1ページ目(オープニング)から第一幕終わりの「プロットポイント①」まで、全体の25%を占めます。

 第一幕(発端)は、20から30ページの長さである。そしてここでドラマの文脈の設定が行なわれる。文脈とは、ものごとが進行するための一つの枠組である。

 たとえば、グラスの中の空間が文脈である。それは中身を一つに保っている。中身が変わろうとも、グラスの中の空間は変化しない。

 文脈は中身を一定に保つ役割をする。

 ドラマ構造の中で、第一幕は、ストーリーを立てて、キャラクターを設定し、ドラマ上の前提を示す。そして、状況を説明し、主要キャラクターとその他のキャラクターとの関係を設定する。

 ――『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』

 第一幕では、主人公を紹介し、ドラマの前提(何についてのストーリーか)を提示し、アクションの起こる状況や主人公の職業、私生活、人間関係などを設定します。第一幕ではとにかく状況設定に集中し、アッと言わせるトリックや粋な会話などを考える余裕はありません。どのシーンもすべて、ストーリーを進展させるか、主人公の情報を明らかにするために使います。第一幕はそれ以降に起こるすべてを設定するために存在します。


 第二幕(中盤)は「葛藤・対立」の役割を担います。「プロットポイント①」から第二幕終わりの「プロットポイント②」まで、全体の50%を占めます。

 第二幕はおおよそ60ページで、第一幕の終わり20~30ページから、第三幕が始まる直前である85〜90ページまで続く。そこには、葛藤というドラマ上の要素が組まれる。この第二幕において主人公は、脚本の中で、達成しなければならない目標の前に立ちはだかる障害と対決しなければならない。主人公の邪魔となる障害を作り出せば、それを乗り越えて達成するというストーリーになる。

(略)

 第二幕では、葛藤に直面させ、主人公はそれを乗り越えていく、ということが行なわれるのだ。

 何が主人公をそうさせるのか?

 主人公は何を欲しているのか?

 「ドラマ上の欲求」はなにか?

 ――『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』

 第二幕では、目的達成のために主人公が克服しなければならない障害に次々と直面します。主人公の目的や欲求がわかっていれば、障害はおのずと作り出せるし、その障害を乗り越える主人公にふさわしいストーリーが出来上がっていきます。葛藤は精神的なものでも物理的なものでもよいですが、多くの場合は両者が組み合わさっています。


 第三幕(結末)は「解決」の役割を担います。第二幕終りの「プロットポイント②」から、物語の最後まで。全体の25%を占めます。

 第三幕は、おおよそ20~30ページの長さで、第二幕の終わり85~90ページから、脚本の最後までである。第三幕は、解決という流れを脚本に持ち込む。解決は、エンディングとは別のものである。


 脚本上の解決とは何か?

 主人公は、生きるのか死ぬのか?

 成功するのか失敗するのか?

 レースに勝つのか、負けるのか?

 脱出できたのか、できなかったのか?

 夫と別れたのか、そうではないのか?

 故郷に無事に帰り着けたのか否か?


 第三幕はストーリーに解決を与える役割を果たす。ただし、エンディングとは違う。エンディングは、脚本の最後の 特別なショットかシークエンスなのである。

――『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』

 第三幕で、ストーリーは結末を迎えます。主人公はどうなるのでしょうか。まずはストーリーがどういう結末になるかを明確にする必要があります。つまり、具体的なラストシーンを考えるのではなく、「葛藤が解決されるとどんな結末になるかを明確にしなさい」ということです。


 ここまで第一幕から第三幕までの物語上の役割と分量についてごく簡単に解説しました。


 前述のとおり、幕と幕の間は2つのプロットポイントで接続されます。プロットポイントとは「ストーリーを展開し、新たな方向(つまり第二幕、第三幕)へと向けるきっかけとなる事件やエピソード」のことを指します。このプロットポイントを、第一幕の終わりと第二幕の終わりに作ることで、第一幕の状況設定は第二幕の葛藤へ、第二幕の葛藤は第三幕の解決へと展開していきます。

 また、第二幕の真ん中、つまり物語全体の真ん中には「ミッドポイント」が置かれます。シド・フィールドはたくさんの映画作品を分析しているうちに「第二幕の真ん中で前半と後半をつなぐ重要な事件が起こること」に気がつきました。それがミッドポイントです。ミッドポイントは、物語の真ん中あたりで起こる事件、出来事、エピソードであり、第二幕を前半と後半に分けながら、両者で起きるアクションの橋渡しをする役目があります。


 本書はそれぞれの幕についてのより詳細な解説のみだけではなく、プロットポイントやミッドポイントに関する解説も充実しています。実際の作品の事例を交えてとても分かりやすく解説されていますので、前掲の「物語構造のパラダイム(見取り図)」についてより理解を深めるためにもぜひ本書をご一読ください。


■要点その②:「始める」ために「終わり方」を知る


 小説の執筆スタイルを表す「プロッター」と「パンツァー」という言葉があります。

 作家は2つのカテゴリーに大別できます。アウトライン派と非アウトライン派、あるいは執筆前にプロットを作る「プロッター」と、作らない「PANTSER(パンツァー)」。パンツァーとは「計画を立てず、勘を頼りに作業する=SEAT OF PANTS」というイディオムからきています。

――『アウトラインから書く小説再入門 なぜ、自由に書いたら行き詰まるのか?』より

 結末を決めずに白紙の紙に向かって書き始め、あとは直感を頼りに筆を進めるという方も一定数いると思いますが、本書をはじめとした創作指南本の多くはそのようなスタイルを推奨していません。しっかりとプロットを練ってから(あるいはアウトラインを書いてから)本番の執筆に臨むことが前提となっています。

 本書が「書き始める前にあらかじめ決めておくべきこと」として挙げているのは下記の4つです。

 書き始める前に、考えるべき4つのことがある。


1 エンディング

2 オープニング

3 プロットポイント①

4 プロットポイント②


 この4つである。しかもこの順番である。これらの4つの要素は脚本の基本であり、土台なのである。

 エンディングとオープニングの関係は、氷と水との関係と同じである。水は分子構造をしており、氷は結晶構造をしている。しかし、氷が水の中で溶けた時、どの部分が水で、どの部分が氷の溶けたものかをわけることはできない。それらは同じものなのである。部分と全体という関係の中に存在する。

――『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』

「しかもこの順番である」という言葉に注目してください。

 つまりシド・フィールドは何よりもまずエンディングを考えることが大事だと述べているのです。物語を「始める」ためには「終わり方」を知る必要があるということです。

 では、脚本のもっともよい始め方とはどんなものか?

 それは、エンディングを知ることだ!

 これこそ、最初に絶対に知っておかなければならないことである。ストーリーの最後は、どんな終わり方なのか?

 脚本が実際にはどのように終わるのかについての、はっきりしたシーンや、シークエンスを問題にしているわけではない。オチのつけかたが大切なのである。オチとは、ストーリーを終局させる解決のことである。どのようにしてストーリーがまとめられるのか、ということである。

 

 どのようなオチだろうか?

 主人公は生きるのか死ぬのか?

 結婚するのか、離婚するのか?

 レースに勝つのか、負けるのか?

 コールド マウンテンに無事にたどり着けるのか、つけないのか?

 死の山で、指輪を葬ることができるのか、否か?

 強盗して、そのまま逃げ切れるのか、否か?

 家に帰るのか、帰らないのか?

 犯罪者を探し出して、法廷に突き出せるのかどうか?

 脚本のオチはどんなものか?


 多くの人が、「脚本を書き始める前に、脚本の結末を知る必要がある」ということを信じていない。多くの議論を私自身聞いてきた。ある人は言う。

 「私の登場人物自身が結末を決める」

 またある人は言う。

 「結末はストーリーを書くうちに決まる」

 「終わりまでたどり着けば、結末が分かるだろう」

 先に断っておこう。そのようにうまくはいかないのである。

――『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』

 物語は常に前へ前へと進んで行くという性質があります。物語はA地点から、Z地点まで、つまり始まりから終わりまで進んでいきます。ゴールを知らずしてスタートしてはいけないとうことです。

 脚本の中で必要なものは、可能な限りの一番よいエンディングである。ストーリーの流れに忠実であろうとすれば、トリックや仕掛けを使ったり、不自然なことを入れたりすることでエンディングをよくしようとは考えないものだ。心に決めたエンディングがあって、それを生かす構成やストーリーの流れを考えて書き始めることもあるだろう。そういう時に、書いている途中でもっとよいエンディングのアイデアが生まれることがあれば、そのアイデアに乗って変えてみればいい。自分自身の創造的直感を信じるのだ。自分のエンディングが、変わるかもしれないということを受け入れることは大切である。しかし、だからと言って、エンディングを考えないで書き始めてもよいということではない。

――『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』


■要点その③:その物語に「対立・葛藤」はあるか?


本書で何度も繰り返されるフレーズがあります。


 繰り返すが、ドラマとは葛藤である。葛藤なしにはアクションは生まれない。アクションがなければ、人物に命が入らない。人物が生きていなければ、ストーリーは生まれない。ストーリーがなければ、脚本は存在しない。


「ドラマは葛藤である」というあまりにも有名なこの言葉は、いったい何を意味しているのでしょうか。

 葛藤という言葉は英語で「conflict」と表現され、「対立」を意味します。物語には必ず、主人公と対立する人間や物が存在します。対立するものは人物とは限りません。争い、けんか、追跡、人生における恐怖心、失敗を恐れる気持ち。物理的なもの(誰かを追いかけたり、追いかけられたり、敵に捕まったり、けがをしたり、自然災害を生き延びたり)であっても、精神的なもの(失敗するという不安、深入りを恐れる気持ち)であっても構いません。


 ではなぜ葛藤が重要なのでしょうか。本書の続編の『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック シド・フィールドの脚本術2』に簡潔にまとめられています。

 なぜなら、葛藤はストーリーにリズムや緊張感を生み出し、読み手や観客をハラハラドキドキさせるからだ。映画は現実の人生よりもずっとスケールが大きいので、読み手や観客の関心をしっかりと引きつけておくことが肝心となる。それには葛藤が必要なのだ。

「葛藤」とは「対立」という意味であり、葛藤があるために「登場人物やアクションの間で対立が起き、それがプロットを動かす」。では、葛藤を生み出すには何が必要か? それにはまず、登場人物にはっきりしたドラマ上の欲求がなくてはならない。

 その欲求や目的の達成を邪魔する障害を作ると葛藤が生まれ、登場人物は何とか目的を達成しようと努力し、障害を乗り越えていく。登場人物が強烈な価値観を持つ人間である場合には、相反する価値観を持つ登場人物を作ると、両者の間に強烈な葛藤が生まれる。葛藤には物理的な葛藤と精神的な葛藤があり、どちらも重要である。

――『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック シド・フィールドの脚本術2』

 葛藤があるからこそ、読者や観客はその物語に感情移入をすることができます。そして、葛藤を描くためには、主人公の目標や欲求をしっかりと設定すること、そしてそれを邪魔・阻止する敵対勢力(必ずしも人間である必要はない)を設定することが必要です。

 本書では、葛藤を外的葛藤と内的葛藤に区別し、それぞれの葛藤が巧みに描かれた映画作品の事例を紹介しながら、具体的な「葛藤の描き方」について解説しています。

 よい脚本を書く条件とは何だろうか?

 たくさんのことを挙げることができるが、最も大切なことは、よいドラマの根本が葛藤であることを理解することだ。

 もう一度言おう。ドラマは葛藤である。葛藤なしには、アクションは生まれない。アクションなしにはキャラクターが生まれない。キャラクターなしには、ストーリーは存在しない。ストーリーがなければ、脚本を書くことはできない。

――『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』

 要点①でも解説した通り、三幕構成の第二幕は物語上「葛藤・対立」という役割を担います。本書では葛藤を「どのように描くのか」だけではなく「どこで描くのか(=第二幕)」というところまで導いてくれます。

 

 さて、ここでは『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』を3つの要点で解説してきました。本書は「物語の構成」についての本だと思われがちですが、要点③で触れたように葛藤を描くには主人公の目標や欲求を設定しなければなりません。本書には「第4章 登場人物(キャラクター)を構築する」「第5章 ストーリーと人物設定」という章があり、キャラクター創作についてもしっかりとフォローしてくれています。

 世界中の物語創作者が読んでいる、まさに「物語創作の教科書」といえる本書をぜひこの機会にご一読ください。

【目次】

第1章 映画脚本とはなにか


フィッツジェラルドの悩み

映画脚本とは、映像で語られるストーリーである

脚本のパラダイム(見取り図)を知ろう

第一幕 状況設定

第二幕 葛藤

第三幕 解決

パラダイムと公式の違い


第2章 主題(テーマ)を作る


どんな脚本も主題(テーマ)を持っている

主題(テーマ)とは、アクション(行動)とキャラクターだ

何についての、誰についての脚本か?

主題(テーマ)を数行で表現してみよう

いい脚本は“素材の多さ”

リサーチの実践方法

キャラクターの欲求とそのアクション


第3章 登場人物(キャラクター)を創造する


事件がストーリーをゴールへ導く

人物像を創り上げるのはアクション

まずは、主役をはっきりさせよう

キャラクターの内面を構築しよう 

キャラクターの外面を構築しよう

アクションが、登場人物像を物語る


第4章 登場人物(キャラクター)を構築する


サム・ペキンパーのキャラクター構築術

魅力的なよい登場人物を作るための四つの要素

その人独自の考え方、ものの見方をもっていること

あるものに対する態度を体現していること

何かしらの変化や変身を遂げること

キャラクターの最重要部分は、アクションである


第5章 ストーリーと人物設定


アイデアが先か、キャラクターが先か

あなたも一緒にキャラクターを作り、ストーリーを考えよう

出身は? 年齢は?

名前は?

家庭環境は?

人物像は?

キャラクターに影響を与える外面は?

キャラクターの次はアクションだ

キャラクターに影響を与える劇的な出来事とは?

さらに劇的な出来事は?

これまでのアイデアを組み立てよう

エンディングは?

考えたストーリーをまとめてみよう


第6章 エンディングとオープニングをつくる


脚本を「始める」ためには「終わり方」を知ろう

『チャイナタウン』は鳥肌もの!

エンディングに問題を感じたら、その答えは映画の始まりにある

冒頭10ページが、勝負を決める!

シェイクスピアはオープニングの達人だった

何かの終わりは、何かの始まりでもある


第7章 ストーリーの設定


無関係に見えるシーンがストーリーを構築する

『チャイナタウン』の最初の10ページ

ストーリーは最初の10ページで設定される


第8章 二つの事件(incident)は関連する


インサイティング・インシデント(誘引する事件)の役割は二つ

キイ・インシデントによって本当のストーリーが表に登場する

インサイティング・インシデントとキイ・インシデントの違いを理解する


第9章 プロットポイントを見つける


プロットポイントは主要人物によって引き起こされ、ストーリーを転がす

プロットポイントによって、ストーリーが前へ転がりだす

どんな映画にもプロットポイントはある


第10章 シーンを作る


よい映画を思い浮かべたときに、映画全体よりもシーンを思い出す

ストーリーに従いシーンの長さを決める 190  シーンには二つの種類がある

シーンを構成する要素を見つけ、その内容を決める

会話とアクションで緊張感を高めた『コラテラル』での名シーン

シーンも同様に“発端”“中盤”“結末”を持っている


第11章 シークエンスを考える


シークエンスは“発端”“中盤”“結末”を備えたシーンの集合体である

シークエンスは限界のない文脈である

アクションシークエンスを書くこと

よいアクションシークエンスのコツとは?


第12章 ストーリーラインを構築する


全体のパラダイム(見取り図)を作ろう

5×3情報カード(12・5×7・5cm)を活用しよう ― ポイントは14枚

リアクションだけではダメ。人物の本質はアクションだ

ストーリーラインのすべての重要な要素は、シンプルでダイレクト

カードは自由に並べ替えよう

カードシステムによって、最大限の自由を得ることができる


第13章 脚本の形式を知る


脚本家の仕事は、「どう撮ればよいのか」を伝えることではない

シーンはマスターショットか、特定ショットで書く

脚本の形式の基本的なルール

ショット内のねらいを見つけよう


第14章  さあ、脚本を書こう!


脚本を書くことは、とても面白く謎めいた旅である

まずは書くための時間を見つけなければいけない

まずは執筆スケジュールを作ろう

脚本を書き始めると必ず妨害衝動が起きる

よいドラマの根本が葛藤である

頭に最初によぎるアイデアが、正解であることが多い

必要なシーンは自然とわかってくる

ほとんどの脚本家が、必ず壁に直面する

壁にぶちあたり、行き詰まったらどうすればよいか?


第15章 脚色をする


俺たちがこのとんでもない馬を復活させたんじゃない

原作となるものは、素材であって、単なる出発点である

小説と脚本は別物である

原作の主人公の内的心情を、どのようにして映像化するか

演劇や誰かの人生を脚本化する場合

ジャーナリズムでは、細部から始めて全体に進んでいくが、脚本は逆


第16章 共同執筆(コラボレーション)


なぜ一緒に書くのか

共同作業をする場合の正しいスタイル

共同作業の鍵は、コミュニケーションと相手を敬う気持ちである

あるカップルが共同執筆から学んだこと


第17章 書き終えた後


書くことは、書き直すことである

自分の脚本の所有権を明白にさせる必要がある

ハリウッドでは誰もが脚本家を探している

まずは自分の脚本を書くことだ


あとがき 私のプライベートノート


日本におけるシナリオの書式


訳者あとがき


索引


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