共感は感情移入の接着剤

 これまでキャラクター創作についていろいろと解説してきましたが、「キャラクター(特に主人公)創作において結局のところ何がいちばん大事なのか」という点について、この連載がベースにしているハリウッド式脚本メソッド(あるいはそれを応用した小説メソッド)の答えはほぼ一致しています。


 それは「共感」です。


 結局のところ何よりも重要なのは、脚本を読む人の関心を繋ぎとめられるかどうかなのだ。そしてそれは、読者がどれだけ強い絆で主人公と結びつくかにかかっている。あなたが書いたキャラクターをどれだけ好きになるか、または嫌いになるか。どれだけ気にかけるか。どれだけ自分と同じだと思ってくれるか。どれだけ強い絆を築けるか。のだ。主人公と敵役に関するかぎり、感情的中立などあり得ない。

――『「感情」から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方』


 この連載の「キャラクター篇」もまもなく終わりに近づいていますが、最後に「共感」や「感情移入」について考えてみましょう。過去の連載と重なる部分が出てきますが(「欲求」という言葉がまた出てきます)、今回は「共感」という切り口で、解説していきますので、少し違った見え方になるはずです。


 まずは「共感」の重要性を説いた、世界で最も有名な脚本術の一文をご紹介します。ブレイク・スナイダーの『SAVE THE CATの法則』からの引用です。本書は、10年前に刊行した書籍ですが、フィルムアート社の脚本術本でずっと売上1位を維持している脚本術の基本書であり定番書です。


『トゥームレイダー2』を例にとってみよう。一見カッコイイが実にありふれた作品で、膨大な製作費をかけたのにコケてしまった。どうしてこんな結果に? 製作者は不思議に思っている。確実に売れるはずだったターゲット層にも受けなかった。なぜなんだ? 彼らにはわかっていない。私からすれば、別に不思議でもなんでもない。じゃあ、いったいどこが悪いのか? どこで脚本家や監督は間違ったのか? 答えは単純だ。単に、ララ・クロフトという主人公がのである。彼女が冷たく、ユーモアに欠ける人物だからだ。[……]

 こんなに〈クール〉な主人公だったら、観客も当然気に入るはず、と、この映画を作った連中は思い込んでいる。近頃の映画での〈登場事物の掘り下げ〉なんて、たいていこの程度なのだ。〈最高にイカした車に乗った美女〉だけで、魅力的なヒーローが作れると思っている。

 ちょっと待ってくれ。どれだけ〈クール〉かなんて、私にはどうでもいい。それじゃあうまくいくわけがない。

 どうして?

 なぜなら、映画という名の旅を一緒に続ける主人公に。これが観客をストーリーに引き込むための最も重要な要素だからだ。

 だからこそ、本書のタイトルは「SAVE THE CAT」(危機一髪 猫を救え!)の法則」なのだ。「SAVE THE CAT」? 何を救えって? それって何のこと?

《SAVE THE CATの法則》とは私が名づけたシーンだ。基本中の基本のシーンなのに、なぜか最近あまり見られない。このシーンでは、観客は初めて主人公に出会い、主人公が何らかの行動を起こす──危機一髪のところで、猫を救うとか。このシーンによって観客は主人公の性格がわかり、しかも

――『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』


 物語ストーリー創作の世界では、あまりにも有名なテクニックなので、すでにご存じの方も多いかと思います。

 実はこの引用箇所は少し丁寧に見ておく必要があります。「共感し好きになる」という箇所に注目してください。「共感すること」と「好きになること」を同じように考えてよいのでしょうか。


「共感」と「好感」は確かによく似ています。オンラインの辞書でそれぞれの言葉の意味を引いてみると、このように書かれています。



◎きょう‐かん【共感】

他人の意見や感情などにそのとおりだと感じること。また、その気持ち。


◎こう‐かん【好感】

よい感じ。好ましい印象。


――出典:デジタル大辞泉(小学館)



 読者に対して、そのキャラクターを「好ましい」と思わせるのか、「そのとおりだ」と思わせるのか、いったいどちらが正解なのでしょうか。

「共感」と「好感」の違いについて、2つの書籍から引用してみます。


 主人公は共感できる人物でなくてはならない。好感が持てるかどうかは問題ではない。

 好感が持てるというのは、単に好きということだ。はまり役を演じたときのトム・ハンクスやメグ・ライアン、あるいはスペンサー・トレイシーやキャサリン・ヘプバーンがいい例だ。彼らがスクリーンに登場するや、観客はもう好感をいだいている。友人や家族の一員や恋人になってほしいと思っている。彼らにはもともと人から好かれる素質があり、それが好感を呼び起こす。しかし、共感はもっと奥深い反応だ。

 共感には「自分も同じようだ」という含みがある。主人公の心の奥底に観客は共通の人間性を見いだす。もちろん、登場人物と観客はあらゆる点で似ても似つかないので、共通するのはただひとつの特徴かもしれない。だが、登場人物の何かが心の琴線にふれる。それに気づいた瞬間から、観客は唐突に、また本能的に、なんであれ、主人公が欲するものを手に入れてもらいたいと思いはじめる。

 観客は無意識のうちにこう考える。「この人は自分と似ている。だから、望むものはなんでも手に入れてもらいたい。わたしがこの人なら、こんなとき自分のために同じことをするだろうから」と。観客が自分と主人公のあいだに築く共感のつながりについては、「身につまされる」「心がかよう」などの言い方があるだろう。感動のあまり、作中の全登場人物に共感する人もいるかもしれないが、まずは主人公に共感させなくてはならない。でなければ、観客とストーリーの絆が絶ち切られてしまう。

――『ストーリー ロバート・マッキーが教える物語の基本と原則』


 好意を持てる主人公ではなく、感情移入できる主人公であること。

 主人公は人々から好意を持たれる者でなければならないと誰もが言う。観客が(自分と重ね合わせて)好意を持てる主人公であれば、主人公に頑張ってゴールに到達してほしいと思えるという意味では、確かにそうかもしれない。それによって観客は事実上ストーリーテリングに参加することができるからだ。

 しかし、既存のストーリーに登場するパワフルな主人公の中には、まったく好意を持てないタイプの者たちも存在する。それでも観客はそういった主人公たちに強い興味を抱き続けている。また、基本的には好意を持てる主人公でも、最初のうちは非道徳的な(つまり好意を持てない)行動をしてライバルに負けるところから始まったりもする。それでも観客がストーリーの途中で客席から立ち上がり劇場を後にするようなことはない。

 本当に大切なことは、観客がその人物を理解できるかどうかであり、必ずしもその人物のすることすべてに好感を持てなければならないというわけではない。

――『ストーリーの解剖学 ハリウッドNo.1スクリプトドクターの脚本講座』


 どうやら大事なのは「好感」ではなく「共感」のようです。なお、『SAVE THE CATの法則』では「好きになる」という言い回しが一部で使われてはいますが、全体としては他の本と同様にキャラクターづくりのベースは「共感」であると説明しています(例「観客の代わりをし、観客を共感させ、しかもストーリーのテーマを伝える主⼈公を作りだそう」などの記述)。ぜひこちらも手に取ってみてください。


 もうひとつ「共感」とよく似た言葉に「感情移入」があります。ロバート・マッキーは、著書『ストーリー』の中で「観客の感情移入は、共感という接着剤によって支えられている」と解説しています。

「共感は感情移入の接着剤」という点をどうか覚えておいてください。


 いよいよ本題です。

 どうすれば、読者が共感できるキャラクターをつくることができるのでしょうか。


 今回はジョン・トゥルービー著『ストーリーの解剖学』を使って、この点について解説していきたいと思います。そして次回は別の書籍を使って「共感」できるキャラクターのつくり方を解説したいと思います。

 多くの人々が「共感」という用語を頻繁に使っているが、その本当の意味をきちんと定義できている者は少ない。観客を主人公に共感させて、心情的にその人物に親近感を持つようにしなければならないというフレーズをよく耳にする。しかし実際の話、これはどういう意味なのだろう。一般的な考え方として、キャラクター作りは弱点を付加しながら進めるものであり、また観客はそういったキャラクターのバックグラウンドや職業や着こなしや収入や人種や性別に共感を覚えるものだと考えられている。しかし、これほど真実とかけ離れた的外れな解釈はない。もしも観客がそういった具体的な特徴に共感するのであれば、誰一人としてどんな人物にも共感できなくなってしまう。なぜなら、どのキャラクターも観客と共有できない弱点をあまりにも多く持っているのだから。

 実際には、観客はある二つの側面をベースにしてキャラクターに共感するものだ。それはであり、この二つをストーリー構造の7段階の道程に当てはめるなら、「」と「」ということになる。主人公の欲求がストーリーを前進させる理由は、観客が主人公にその欲求を叶えてほしい、成功してほしいと願うからだ。また、道徳的問題点は、主人公が他者と共に適切に生きる方法を見いだすための、より深い葛藤をはらんだもので、観客は主人公にこの問題を解決してほしいと願う。

――『ストーリーの解剖学 ハリウッドNo.1スクリプトドクターの脚本講座』


 さて、キーワードが2つ出てきました。「欲求」と「欠陥」です。


◎欲求…主人公にその欲求を叶えてほしいと願い、共感する

◎欠陥…主人公にその問題を解決・克服してほしいと願い、共感する


 まず「欠陥」について解説していきましょう。

 本書では「この『欠陥』がいかに大切かということについては、強調してもし切れないほどだ」と述べています。


 主人公には、ひとつかそれ以上の弱点を与えるようにします。物語ストーリーの序盤では、主人公はその弱点のせいで迷いを持っています。内的にとても大切な何かが欠けていて、そのせいで人生が台無しになっています。

 ここで言う「欠陥」とは、より良い人生を送るため、主人公の中に欠けているもの、満たす必要のあるものを指します。そしてたいていの場合、これには弱点を克服して変化することや、成長することが何らかの形で関わってきます。


【主人公の欠陥について考える際に押さえておきべき2つのポイント】

①主人公が物語ストーリーの出だしで自身の欠陥が何なのか把握できていないようにすること

②主人公には、な欠陥とな欠陥をあたえること


 まず、①「主人公が物語ストーリーの出だしで自身の欠陥が何なのか把握できていないようにすること」に関して説明します。


 主人公が自分に足りないものが何なのかを、序盤の時点ですでに理解していたら、もうその物語は「終わったも同然」です。そうではなく、主人公が「自己発見」の段階でようやく自分の欠陥が何かを知るようにしなければなりません。

 ここで新しく「自己発見」という言葉が出てきましたが、これは『ストーリーの解剖学』における「ストーリー構成」の段階のうちのひとつを指しています。引用してみましょう。


 本書で言う「ストーリー構造」とは、ストーリーが時間を経て発展する、その発展の仕方を意味する。たとえば、どんな命あるものでも、その成長は一連の継続的な流れのように見えるものだが、詳しく観察してみれば、その成長の道程で特定のステップやステージの段階を踏んでいることが分かる。これがストーリーにも当てはまるのだ。

 ストーリーの出だしから終わりまでの成長の道程には最小限でも次の7段階が必ずある。

1 弱点と欠陥

2 欲求

3 ライバル

4 プラン

5 決戦

6 自己発見

7 新たなバランス状態

――『ストーリーの解剖学 ハリウッドNo.1スクリプトドクターの脚本講座』


 詳しくは本書を読んでいただければと思いますが(また、物語の構成についてはこの連載でもいずれ取り上げる予定です)、この7つの段階を見ると「欠陥」の提示は序盤、「自己発見」の段階は物語の終盤に位置していることがわかります。「欠陥」は序盤に提示しつつ、主人公自身はそれに気づいていない、というのがポイントです。


 欠陥の段階では、主人公の未熟さ、つまりこの人物に欠けているもの、この人物を押しとどめているものが提示される。一方の自己発見の段階は、その主人公が人として成長する、つまり何かを学ぶ、何かを得る、今後より良い人生を主人公が送れるようになる(または、発見した内容があまりにも苦痛に満ちたものであるために崩壊してしまう)瞬間である。

――『ストーリーの解剖学 ハリウッドNo.1スクリプトドクターの脚本講座』


 次に②「主人公には、心理的な欠陥と道徳的な欠陥をあたえること」に関して説明します。


 本書によると、平凡な物語の多くは、主人公に心理的な欠陥を与えてしまい、道徳的な欠点を与えることを忘れてしまっています。それだと、自分以外の誰も傷つけることなく、その重大な弱点を克服するだけで、その欠陥を満たすことができてしまいます。

 道徳的な欠陥を持つキャラクターは、物語の序盤で常に何らかの形で傷つけてしまいます。そしてその欠陥を克服して他人に対して適切に行動することを学びます。


 主人公に道徳的な欠陥をあたえることが重要な理由はふたつあります。


 ひとつは、それをすることで登場人物の規模が広がることです。主人公の行動が、本人以外の他者にも影響をあたえるようになり、これによって読者の心はずっと大きく動かされることになります。

 もうひとつは、これによって主人公が完璧な存在、または犠牲者に見えてしまうことを回避できることです。このどちらに見えてしまったとしても、それはストーリーテリングにとっては致命的です。完璧なキャラクターにはリアルさも説得力もありません。主人公に道徳的な欠陥が一切ないと、逆に道徳的な欠陥を持つライバルの方が主人公を食ってしまうことになり、その物語ストーリーは受動的で意外性のないものになってしまいます。


 別の本からの引用になりますが、『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』でも同じように説明されています。


 こうしてみると、欠陥ヒーローを書くための最高のが明らかに。ヒーローの問題を、絶対にその人の人生のある部分だけの問題にとどめておかないこと。一度発症したら、その問題をみるみる拡大、感染させること! 問題が1つでも多数でも、絶対にヒーローの家庭に、職場に、人間関係に、彼または彼女の世界

全体に影響させること。

――『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』


 ざっくりいうと、


◎心理的欠陥…そのキャラクター自身にかかわるもの

◎道徳的欠陥…周囲に影響を与えるもの


 という整理になるかと思います。


 それぞれの欠陥の例として、本書では映画『評決』(シドニー・ルメット監督、1982年)が挙げられています。


《あらすじ》

 落ちぶれたアルコール依存症の弁護士フランク・ギャルヴィンは、新聞の死亡欄をチェックし、見ず知らずの人物の葬式会場に出かけては名刺を配り営業活動をする日々を送っている。人の不幸に付け込むことでなんとか仕事をつないでいたが、出産で入院した主婦の医療ミス事件を担当したことで正義感を取り戻し、権力に立ち向かうことになる。


《主人公フランク・ギャルヴィンの欠陥》

◎心理的欠陥…アルコール依存症

→アルコール依存症に打ち勝って自尊心を取り戻す

◎道徳的欠陥…収入のために他者を利用する

→正義感で行動することを学ぶ


 設定するのがなかなか難しい道徳的欠陥ですが、本書では「道徳的な欠陥を考えつくための方法」を2つ紹介しています。


その1:心理的な欠陥と結びつける方法

1 まずは心理的な欠陥の創作から始める。

2 そこから、どのようなタイプの非道徳的な行動が自然発生するかを考える。

3 その非道徳的な行動の源泉にある根深い道徳的な弱点や欠陥を特定する。


その2:その人物の強みを行き過ぎるまでに発揮させて弱点に転換させる方法

1  主人公の長所を特定したら、その長所にまつわる情熱を、あまりにも激しすぎてえがたいところまで発展させる。

2  主人公が心から信じている価値基準を導き出した上で、その価値基準のネガティブ版は何だろうかと考えてみる。


 なお、主人公が「欠陥」を克服する際の描写として、やってはいけないこととして本書では下記のように述べています。


「自分は何々を学んだ」と真正面から言葉にして主人公に言わせたりしないこと。見え透いている上に、説教臭く響き、観客に顔をそむけられてしまうだろう。そうではなく、その自己発見へとつながる主人公の一連の行動を使って、主人公の自己洞察を提示したい。

――『ストーリーの解剖学 ハリウッドNo.1スクリプトドクターの脚本講座』


 では「欠陥」の説明が終わったところで次に「欲求」の説明に移りたいと思います。

「欲求」については、すでに「キャラクター造型に必要な5つの質問(つづき)」という回で説明していますので、そちらもぜひ併せて読んでみてください。


「欲求」とは、物語ストーリーの中で主人公が欲している事物、その具体的なゴールを指します。この欲求が動き始めてようやく読者は物語ストーリーに興味を持てるようになります。欲求とは、読者が乗って進む「列車(ストーリー)の線路」だと思ってください。


 また欲求は欠陥と密接につながっています。ほとんどすべての物語ストーリーで、主人公は自身のゴールに到達した時点で、自らの欠陥も満たされることになります。

 このため欠陥と欲求を混同してしまうという大きなミスを犯してしまいがちです。

 その違いを「中」と「外」という観点で整理するとこうなります。


◎欠陥…キャラクターの「中」にある弱点。欠陥を持つ主人公は必ず、物語ストーリーの出だしで自分の弱点のせいで、何らかの形で無力な状態にある。


◎欲求…キャラクターの「外」にあるゴール。キャラクターは欲求を抱いた時点から、特定の方向に向かって動き出し、自身のゴールにたどり着くためさまざまな行動をとる。


 また、読者に対する機能という観点で見ても両者には違いがあります。


◎欠陥…主人公がより良い人生を送るためには、どのように変わらなければならないかを読者に知らせるもの(表面下に潜んだまま)


◎欲求…読者が主人公と一緒になって欲するもの(表面に見えている)


 上述した映画『評決』の例を使って欠陥と欲求の違いを整理するとこうなります。


◎欠陥…主人公は自尊心を取り戻さなければならず(心理的な欠陥)、また正義感を持って他者のために行動することを学ばなければならない(道徳的な欠陥)。


◎欲求…この裁判に勝ちたい(すべての法廷ドラマがそうであるように)。


 そろそろまとめに入りたいと思います。

『ストーリーの解剖学』では、共感に必要な要素として「欲求」と「欠陥」を挙げています。この2つを設定することで、読者に「目的を達成してほしい(=欲求)」「問題を克服してほしい(=欠陥)」と願う気持ちが生まれ、キャラクターに共感し、感情移入できるようになります。


「欲求」は「目標(=ゴール)」と密接な関係にあるので、よほどのことがない限り設定し忘れるということはないと思います(ゴールのない物語を書こうという人がいれば別ですが)。

 いっぽう「欠陥」については、それほど意識していなかったという方も多いのではないでしょうか。


 出だしで欲求が描かれていれば、確かにストーリーは一気にスタートするだろう。しかし同時に、エンディングのクライマックスを殺してしまうことになる。ストーリーの土台は弱点と欠陥にあるのだ。弱点と欠陥があるからこそ主人公は終盤で変わることができる。また弱点と欠陥はそのストーリーを観客にとって私的で意味深いものにしてくれ、そのことによって、観客は主人公のことを心から気にかけるのだ。

 弱点と欠陥の段階を絶対に飛ばさないこと。これは絶対だ。

――『ストーリーの解剖学 ハリウッドNo.1スクリプトドクターの脚本講座』


 その「欠陥」には

◎心理的欠陥…そのキャラクター個人にかかわるもの

◎道徳的欠陥…周囲に影響を与えるもの

 の2つがあることも確認しました。道徳的欠陥の設定を忘れないようにしてください。


 最後に「工学的ストーリー創作入門」から以下の文章を紹介します。


 自分の弱さに苦悩しながら頑張る人物は読者に愛される。過去の過ちを悔み、ストーリーの中で崇高な使命に向かう人物だ。悪魔の囁きを振り払い、何かを決心する姿でもいい。

 僕らはそういう姿に共感する。いっときだけでも主人公を応援するだろう。誰しも同じ体験があるからだ。

 たとえ、それが架空の人物であってもだ。[……]

 。共感は人物のダイナミクスを映し出し、ストーリーに緊張や感情をもたらす。

――『工学的ストーリー創作入門 売れる物語を書くために必要な6つの要素』


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