ハッピーオーラ
@smile_cheese
ハッピーオーラ
私は幼い頃から人のオーラが見える。
しかも、見えるのは決まって幸せのオーラだけ。
赤、青、黄色、その色は人によって違うけど、みんなキラキラと輝いている。
私はそれを『ハッピーオーラ』と呼んでいる。
私は担任の若林先生に恋をしている。
入学式の日、自己紹介で失敗して泣いてしまった私を若林が優しくフォローしてくれたことが恋の始まりだった。
気持ちを伝えないと気がすまない性格の私は、何度も何度も告白をしている。
けれど、先生はそんな私をいつも軽くあしらうのだ。
もしかして、私って先生にハマってないの?
そんなある日、若林先生の周りにハッピーオーラが出ていることに気がついた。
まだうっすらではあるけれど、空色のハッピーオーラが先生を包み込んでいる。
一体、先生にどんな幸せが訪れたのだろうか。
私は気になって仕方なかった。
加藤「若林先生!」
若林「ん?なんだ、かとし」
加藤「好きです」
若林「あー、はいはい。じゃあな、ちゃんと勉強しろよ」
加藤「あー!違います、違います!違わないけど、そうじゃなくて!先生に聞きたいことがあるんです」
若林「聞きたいこと?なんだ?」
加藤「先生、最近何か良いことありましたか?」
若林「お、分かるか?」
加藤「はい。出ちゃってます、ハッピーオーラ」
若林「そっかー、出ちゃってるか。ハッピーなんちゃら」
加藤「何があったんですか?」
若林「実はさ…って、教えるわけないだろ。とっとと帰って勉強しろ」
そう言うと、先生は持っていた出席簿で私の頭を軽く叩いて職員室へと戻っていった。
若林先生にどんな幸せが訪れたんだろう。
気になる。すごく気になる。
私はこれまで以上に先生の行動を観察するようになった。
すると、とある生徒が先生に挨拶をしたとき、先生を包み込むハッピーオーラの光が少し強くなったのを感じた。
その生徒は先生から『小坂』と呼ばれていた。
あの子、もしかして先生にハマってるの?
ひょっとして2人は付き合ってる!?
超ショックなんですけどー!
私はさっき見たことを親友の久美に話した。
加藤「悔しい!私はこんなにも若林先生のこと想ってるのに!」
久美「入学したときからずっと言ってるもんね」
加藤「私も若林先生にハマりたい!」
久美「なんだかんだ、いっつもかわされてるもんね」
加藤「あーあ、私って不幸だな」
久美「何言ってんの。としちゃん幸せそうじゃん」
加藤「え?なんで?きくちゃんもハッピーオーラが見えるの?」
久美「いや、そのハッピーなんちゃらは知らないけど、そんなの見えなくたって分かるよ」
加藤「どうして?」
久美「だって、としちゃんって追いかける恋が好きじゃん」
確かにそうかもしれない。
悔しいと言いながらも、私はこの恋を心の底から楽しんでいる。
自分では分からないけれど、ちょっぴり変な私のハッピーオーラは一体何色なんだろう?
加藤「あ、若林先生!好きです」
若林「はいはい。お前ら気をつけて帰れよ」
若林先生はいつものように私を軽くあしらった。
去り際に先生のハッピーオーラがほんの少しだけ光った気がした。
完。
ハッピーオーラ @smile_cheese
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