みどりのおじさん

みどりのおじさん

　皆さんはみどりのおじさんやみどりのおばさんって知ってるかな？

　交差点とかに立って旗振りをしたり、小学生の登下校を見守る人のことなんだけど、そのみどりのおじさんについて今でも不思議に思うことがある。

　俺が小学生の頃、毎日同じおじさんが学校からそこそこ離れた交差点に立っていた。

　別に旗振りをするわけでもなく、声掛けをするわけでなく、ただ立っていた。

　俺自身は確認していないんだけど、友達の話によると学校が休みの日曜日や正月も居たらしいんだよね。

　要するに三百六十五日、午前と午後、必ず同じ時間に同じおじさんがそこに立っていたってこと。

　それが、ある日の学校の給食の時間にそのおじさんのことが話題になって、一緒に話をしていた担任が確認したところ、学校としてはみどりのおじさんを頼んでいない交差点だったらしく、結構騒いだんだよね。

　それで、その日の放課後に担任と教頭が俺達と一緒にその交差点まで着いてきたんだけど、その日に限ってそのおじさんは居なかったんだよ。

　その次の日もそのまた次の日も居なくて、とうとう、そのみどりのおじさんは二度と交差点に立つことがなかったんだけど、学校側は不審者として取り上げずに済ませたらしく、おじさんの話はそこで終わりってことになったと説明された。

　でも、子供としては気になるからその後、近所の人とか色々な人に話を聞いてみたらおかしなことになったんだよね。

　小学生というか、小学生以下の子供以外にそのみどりのおじさんを見た人が一人もいなかったんだよ。

　あのおじさんはなんだったんだろうと今でも不思議に思う。

　俺の知る限りでも数十人の子供が同じおじさんを見ていたけど、大人は誰も見ていないなんて普通ならあり得ないけど、本当にあった話なんだよね。