第12話 想いに対する返事

 俺は2人に告白されてから、自分なりに考えた。勉強も同じくらい頑張れよと言われるほどには考えているつもりだ。


(よし、伝えよう)


 俺は強華きょうか想華おもかさんに学校の校舎裏で待ち合わせということを伝え。


 あっという間に、その時がやってきた。


「……」

「……」


 緊張しているせいか、2人とも目をつむって黙っている。


 俺は2人に想いをぶつけた。


強華きょうか、お前とは1年の時からの付き合いで、友達も作れない不器用なやつだったよな。でも、俺と出会ってからかはわからないけど、明るい表情を見せるようになったと思うし、部活動に熱心なお前に……その……惹かれていたかもしれない」


 強華きょうかは俺が思っていたことを聞いて、顔を赤くしながら恥ずかしそうで嬉しそうな、そんな顔をしていた。


「想華さん、チャットで知り合って丁寧な所やこうして会って優しい所や逆にその優しさで自分を苦しめてしまう部分も見えた。そんな所を守ってあげたい。そう思った」


 想華おもかも、強華きょうか同様の様子が見える。


 そして遂に、自分の口から告白の返事をするときがきた……。


「俺は……俺は……。

        おま、あぼぼぼぼ!?」


 返事をしようとした途端。頭上からなぜか水が落ちてきてそれをかぶってしまい、更にはバケツが落ちてきて俺は気絶してしまった。


「ちょっと!大丈夫!?」

「今保健室に!」


 2人に心配をかけられながら、そのまま保健室へ運ばれるのであった。


 こんな形で覚悟を水だけに水の泡にされた俺だが、告白場所がバレて強華きょうか想華おもかのファンクラブ・会長、巻沢影次まきざわえいじがバケツの水をぶっかけた犯人であることを知る由もないのであった。




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チャットから始まるラブコメディ! 歩く屍 @fb25hii

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