後編:お姉さんたちの秘密
「ええええ!?じゃ、じゃあヤミーラさんは……!?」
「ああそうだ。私はかつて『魔王』と呼ばれていた者だ」
ライティアとヤミーラ、2人の美女と共にどこまでも続く『世界の果て』の荒野を歩き続けていたキョウタは、彼にとって驚愕の事実を知る事となった。純白のビキニアーマーを着込む勇者ライティアと仲睦まじい様子を見せていた、漆黒のビキニアーマーを纏う闇の魔法の使い手であるヤミーラこそ、キョウタが倒そうと夢見ていた『魔王』本人だったのである。
魔王は勇者ライティアに倒され、世界に平和が戻ったと言うのが、彼が王都の人々から聞いた情報であった。確かに勇者と魔王は戦い、そしてその時の勝負で勝ったのは勇者ライティアである事は、彼女本人もヤミーラも肯定の頷きで証明してみせた。だが、そこから先の真実は、彼女たちしか知らない秘密の出来事であった。魔王を裏で利用していた魔物の勢力や魔物と結託していた秘密結社など、一連の事態の黒幕との戦いの中で、勇者と魔王は共闘する事になったという。
「本当に色々あったわね……」
「全くだ、話すと途轍もなく長くなる。いつかじっくり話そう」
「わ、分かりました……でも、どうしてこんなに仲良くなったんですか……?」
「ふふ、共に戦ってるうちに……ね♪」
「『恋心』みたいなのが私たちに芽生えた、って感じだな♪」
「え、恋心……ですか……!?」
――予想だにしない言葉に困惑するキョウタであったが、確かに寄り添い合って笑顔を見せ合う勇者ライティアと魔王ヤミーラの間柄は、傍から見れば親友を通り越して同性の恋人同士にも見えた。そして彼は、勇者ライティアが魔王を倒したと報告した際に報酬も名誉も捨ててこの『世界の果て』で暮らす決意をした理由も知る事が出来た。長い戦いを終えた後は平穏に暮らしたい、と言う思いも勿論あったが、長く苦しい戦いの中で友情や愛を育み、かけがえのない存在となった女魔王ヤミーラと共にいつまでも幸せな暮らしを続けたい、という想いが一番強かったのだ。
「うふふ、ヤミーラ、大好きよ♪」
「ふふ、私もだ、ライティア♪」
「ふぇぇ……」
互いに笑顔を向けてウインクを交換し合う、顔も腰つきも胸の大きさも全てのスタイルが抜群なビキニアーマーの美女2人に囲まれてすっかり顔が真っ赤になるキョウタであったが、同時に彼は自身の実力が勇者どころか倒そうと意気込んでいた魔王にすら及ばないという事実を思い知らされた。だが、その顔は先程――2人との勝負に惨敗した直後とは異なり、むしろやる気に溢れていた。これからこの2人の元で長い修行に励み、彼らを超える力を目指す決意を固めていたからだ。
「あ、あの……勇者さんに魔王さん……これから、よろしくお願いします!」
「うん、良い挨拶ね♪」
「期待しているぞ♪」
「は、はいっ!」
2人の笑顔に挟まれながら決意を表明したキョウタであったが、ようやく彼はある事に気が付いた。自身が2人を見つけた時にいた小さな小屋があった場所と反対の方向へと、彼らは移動していたのである。自分たちはどこへ向かっているのか、と尋ねた彼に、ライティアとヤミーラは悪戯げな笑顔を見せながらその疑問に答えた。自分たちは今、『仲間たち』が待つ場所へ向かっている、と。
「え、勇者さんと魔王さん以外に……仲間がいるんですか?」
「ふふ、そうよ。2人だけだと寂しかったから、ね♪」
「たっぷり仲間を増やした訳だ……ふふ♪」
「ふ、増やした……?」
2人の言葉の意味を、最初キョウタは理解する事が出来なかった。だがその直後、『仲間』の元に辿り着いた彼は、その意味を大いに知る事となった。彼の眼下に広がる常識を超えた光景は、彼を驚愕と興奮で満ち溢れさせる事となったのだ。
確かにライティアの剣の腕やヤミーラの魔力はキョウタとほぼ互角、もしくはそれ以上であったが、これらに加えて彼女たちはそれらの力を巧みに使える技能を身につけていた。その中には、あの時キョウタが使用していた分身魔法――自分と同じ姿形、同じ記憶、同じ能力を持つ分身を作る魔法も含まれていた。そして、キョウタは彼女たちの分身魔法の凄まじさをまざまざと思い知らされた。
「「「「「「「「やっほー、キョウタくーん♪」」」」」」」
「「「「「「「「おーい、キョウタ♪」」」」」」」」」
「……えええええええ!?」
彼が見たものは、『世界の果て』の荒野が地平線の果てまでびっしりと勇者ライティア、魔王ヤミーラという2種類のビキニアーマーの美女によってぎっしりみっちり覆い尽くされている光景だった。全員とも寸分違わぬ同じ姿で、新しい仲間であるキョウタへ向けて次々と笑顔を見せていたのだ。
しかもライティアとヤミーラによって埋め尽くされているのは荒野ばかりではなかった。荒れ地を包むような灰色の雲に覆われていたはずの空もまた、『浮遊魔法』を使って空に浮かぶライティアやヤミーラに覆い尽くされ、キョウタの名を呼ぶ声で満ち溢れていたのである。その数は何千何万、いやそれ以上かもしれない。それ程までに彼女たちは無尽蔵に増えまくりながら『世界の果て』での生活を満喫していたのだ。
「え、こ、これってどういう……」
「うふふ、みーんな私とヤミーラよ♪」」」」」」」」」」」」
「ふふ、私とライティアで覆い尽くされた空間、最高だろう?」」」」」」」」」」」」」」」
「ふ、ふえぇぇぇぇぇ!?!?!?」
しかも、彼女たちの数はそれだけに留まらなかった。ずっとキョウタの傍にいたライティアやヤミーラたちまで大量に増え、柔らかく大きな胸を見せつけるかのようなビキニアーマーを纏いながら笑顔で彼を取り囲んでいたのである。加えて、空や陸を覆い尽くしていたライティアやヤミーラ達までもが、一斉にキョウタの元へ向かい、彼の体を次々に取り囲んでいったのである。
前後も左右も上空も、見渡す限り彼の周りは純白と漆黒、2種類のビキニアーマーからたわわな胸や抜群の肉体を存分に覗かせる美女の大群。耳も肌も、彼女たちしか感じない。そして体に触れるのは彼女たちの柔らかな胸や素肌ばかり。キョウタはあっという間に無数の美女に覆われてしまった。
「それじゃ、今日からよろしくね♪」今日からよろしくな♪」今日からよろしくね♪」今日からよろしくな♪」よろしくね♪」よろしくな♪」よろしくね♪」よろしくな♪」よろしくね♪」よろしくな♪」よろしくね♪」よろしくな♪」…
「!?!?!?」
だが、彼からは決して不快や恐怖といった感情は沸く事はなかった。当然だろう、キョウタの周りにいるのは、彼を超える強さと経験、実績、そして美貌を持つ、優しくて頼もしい、何よりも胸も顔も体つきも何もかも抜群な、異世界最強のお姉さんの大群なのだから。そんな無尽蔵に増えるビキニアーマーのお姉さんたちと共に暮らす日々への混乱と困惑、そして心からの嬉しさを抱えながら――。
「あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」…
「うわああああああああああああ!!」
――無限に増殖し続ける美女たちの肉の海の中で、様々な感情が混ざった叫び声をあげたのだった……。
<おわり>
転生チート少年と異世界お姉さんズ 腹筋崩壊参謀 @CheeseCurriedRice
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