流れ込む世界
染井綾
切れた充電
電車に乗るとき、駅へ向かうとき、必ず音楽を聴く。自分の世界を閉じ込めるように、イヤホンをセットし流行りの音楽を流す。
聴き慣れた曲と聴き慣れていない曲が混在する音楽を自分の心へ流し込む。
数曲終わったところで、静寂の後ろから現実世界の喧騒が小さく自分の世界へかすかに流れ込んできた。僅かな隙を見つけたかのように少しずつ流れ込んでくる。
自分色に染めた世界を侵食するかのように、あらゆる色が流れ込んでくる。心の拒絶などとてもちっぽけな拒絶でしかなく、その隙は少しずつ大きくなる。
手中で空になったエネルギーが、赤く訴えかけている。
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