第6話 同期の入籍

 先日、高校時代のクラスメイトが入籍した、というインスタの投稿を見た。祝福の気持ちよりも先に驚きがきた。自分はまだ結婚なんてまったく考えていなかったからだ。え?入籍って結婚のことだよね?はやくね?みたいな。

 でも、よく考えればもう今年で21だ。結婚してもおかしくない歳だ。自分のほかの同期にも、具体的な結婚式プランの構想を練っている人もいる。自分たちにとって、結婚はそう遠くないイベントなのだと実感した。

 と同時に、少し焦りの感情が生まれた。自分はとくに結婚願望がないのにも関わらずだ。自分の知り合いが、人生80年だとして、これからの60年間を一緒に過ごしたいと思えるひとに出会えている、という事実に焦りを感じたのだと思う。自分はまだそういった人に出会えてない、と思っている。結婚は、人生においてかなり大きな出来事だろう。結婚する人はもう、人生設計を考えられているんだろう。これが自分にはまだない。結婚するしないは別として、これから60年の一生を想定した思慮をしていなければならない歳なのだと思った。

 高校卒業後の数年は、人によって環境が大きく違う。短大、四年生大学、浪人、就職など、道は様々だ。既に社会に出て、働いている人は、自分とは考え方がだいぶ違うのだろうと思う。私は四年制大学に通い、学生気分が抜ける気がしない。就職先についても漠然とし過ぎている。入籍した彼が、今どうして過ごしているのかはよくわからないが、入籍をした、ということで、自分が置いてけぼりになった感じがする。同じラインに立っていたはずなのに、彼がすいぶん遠くに進んでいるように感じる。

 今までは結婚を焦るアラサーアラフォーの気持ちが理解できなかったが、今なら少しわかる気がする。結婚願望がなかった自分でさえ、焦りを感じるのだから、結婚したいと思っている人は言わずもがなだ。

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雑記 雪レモン @snowlemon

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