第19話 あなたが好き

その後、スムーズにキスシーンもうまくいき、ドラマの撮影も終了した。



ドサッ


ベッドに倒れ込む私。



「疲れた…恋愛ドラマは向いてない」

「魅琴、入るぞ!」



ドキッ



「どうぞ」

「撮影、無事に終了?」

「うん…お陰様で…。だけど…もう疲れるから二度と嫌だ…」



私は起き上がる。



「だけど、絶対ない訳じゃなくね?だってお前女優だし。みんなの人気者だから。ドラマの顔だろうし」


「う~ん…あっ!悠次にお礼言わなきゃと思ってたんだ。ありがとう!無事に終わ…」



キスされた。



ドキン


「良く頑張ったな。ご苦労さん」

「も、もうキスは良いから!」

「御褒美のキス」

「えっ?」

「だって、撮影も終わった事だしキスするのは恋人同士でしかしないから」

「それもそうだね」


「それとも続ける?」

「えっ?」

「嘘だよ」



頭をポンとされる。



ドキン……



「竜がいるしな」

「竜助君とは別れたよ」

「えっ?…本当だったんだ」

「えっ?本当って…?」

「いや、竜から別れたって聞いたけど信じてなかったから俺」


「親友なのに?」

「いや…竜を信じてねー訳じゃねーけど。別れたって気がしなかったから」

「竜助君は元々ファンだし」

「あーだからかな?」

「そうだと思うよ」




悠次は恋愛対象に私は入らない?


きっと


入らないんだよね……


だけど……


私は


あなたが好きです……





ある日の夜 ――――



「悠次、入るよ」

「どうぞ。どうした?」



一先ず悠次の部屋に入る。



「…悠次…今…好きな人いたり…する?」

「えっ?好きな人?入って来て早々、急にどうしたんだ?」

「いや…えっと…」


「…………」


「…好きな人…ねぇ~…微妙かな?」

「…そう…なんだ…」


「どうして?」

「ううん。別に…ごめん…部屋に行くね」

「なあ、魅琴、他に話があるんだろ?」

「ないよ」



カチャ

ドアを開け出ようとする私を腕を掴むと、ドアを閉められた。



「言えよ!」

「ないから!」



押し退け再びドアを開ける私の手の上に悠次は自分の手を重ねた。



ドキッ



次の瞬間、私の両手を壁に押え付けた。



ドキン

胸が大きく跳ねた。



「じゃあ、俺が、お前の考えている事に対して返事言ってやろうか?」



「…えっ…?」


「俺よりも相応しい奴を見つけろ!お前といると疲れるの嫌だし!」



「………………」



「報道されるのウザいし!良い迷惑だからあんたには応えられない!」



ズキンと胸の奥が痛くなる。




完璧、失恋だ……


悠次は私の事、恋愛対象にならない……


そう思った瞬間だった……




私は涙がこぼれ落ちそうになる。


次の瞬間、体がフワリと宙に浮き抱きかかえられ、お姫様抱っこをされていた。




ドサッ


ベッドにおろされ私に股がると両手を押えつけられた。




「は、離して……」

「今にも泣きそうな顔してんじゃねーよ」



「………………」



私は顔を反らす。



「魅琴」

「もう……良いよ……悠次の気持ち……分かったから……」

「何が分かったんだよ」

「私の事は恋愛対象になら……」




振り向く私に言い終える前にキスされた。



「………………」



「俺、まだ何も言ってねーけど?」

「言わなくたって分かるよ…もう良い…降りて…」


「勝手な思い込みはよせよな!だったら黙って聞け!」



「………………」



「最初はそうだったよ。元々、同じ学校で同じクラスの女優に気に入られて言い寄られて…報道陣にありもしねーこと言われて…」



≪嘘……そんな事が……?≫



「そんなお前の事は、竜からしか話聞いてなかったし…良いイメージなかったよ。どうせ同じだろう?そう思った…でも…初めてお前の素顔に遭遇して、同居して色々なお前知って俺はイメージが

ガラリと変わったんだよ」



「………………」



私を引っ張り起こすと肩を抱き寄せ、私の頭を悠次の肩に凭れかけさせる。



「お前の気持ち薄々気付いていたけど、竜と付き合ってるの聞いて正直、意味分からなくて…だけど…その事がなければ俺は自分の想いに気付く事なかったよ……」


「………………」



私は悠次の胸に顔を埋めた。



「…そうでなきゃお前に協力しねーよ。何かあったら嫌だったし傷付く所を見たくなかった…俺…お前が好きだから…」



ドキン


胸が大きく跳ねた。




「お前は?」

「…きだよ…悠次が…好き…だよ……」

「交渉成立!」



そう言うとキスをされ、一端唇が離れると深いキスをされた。


そのままゆっくりと倒していく。

唇が離れる。



「お前の全てもらって良い?」



ドキン……



「えっ?」

「今…このチャンス逃したくないかも」

「突然すぎるよ…」

「駄目?」

「それは…」



私は悠次の首の後ろに手を回す。



「それって……マジで取って良いわけ?」

「任せる…」

「何だよそれ…」



悠次は微笑みキスをすると更に深いキスをし進めていく。



「…………」



私達は気付けば身体を重ねていた。
































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