セッションにおける熱エネルギーヒエラルキー

@chiriyam_jun

セッションにおける熱エネルギーヒエラルキー

TRPGのオンラインセッションに複数回参加したことのある人なら、一度は「このセッションなんかつまらない」「まだシナリオクリアしてないけど、ここで終わらないかな」と思ったことがあるのではないかと思う。

今日は僕が「絶対に笑ってはいけないクトゥルフ」で体験した失敗談について話したいと思う。




当時僕はTRPGのオンラインセッションを始めて間もない頃で、Twitterの野良卓にもよく参加していた。

ハマりはじめのモチベーションの高さからか、見知らぬ人の野良募集にもガンガン飛び込んでおり、PCのロールプレイを「あーでもない、こーでもない」と、熟考しながらセッションを動かして遊んでいた。


そんな中僕は、ある一つの募集を見つける。

「絶対に笑ってはいけないクトゥルフ」

タイトルからしてネタシナリオである。

匂い立つ香ばしさは3日目のカレーとタメを張れるだろう。

今ならネタシナリオにはネタキャラを持っていって、わちゃわちゃ遊ぶこともできるだろうが、当時の僕はよちよち歩きの赤ん坊だった。

そんなネタシと出会った赤ん坊は、とある失敗を体験する事になる。


ネタシを野良で回すKPの多くは、コメディアンのような進行を好むものなのかもしれない。

その時のKPもアニメキャラのNPCをたずさえてPC達を沸かそうと、テンションテンアゲで賑やかしていた。

おそらくKPと知り合いであろうPLもそのノリに合わせて楽しんでいた。

軽快なトーク、迸るギャグ、エセ関西弁、元ネタの個性が強いNPC。

コミカルなジャブを連打するような演出は、思わずニヤリとしてしまう楽しさがあった。

リプレイ動画であれば撮れ高は充分であっただろう。


なんだか様子がおかしいと気付いたのは、本格的に探索が始まって少し経った頃だった。

面白ロールプレイでウケを狙うPLと、淡々と探索を進めるPLとで温度差が出てきたのだ。

ふと時計を見ればなかなかいい時間が経過しており、事前情報からすれば中盤から終盤に差し掛かってもいい頃ではあった。

だが、おそらくPL達は分かっていた。このセッションはまだ序盤である、と。


セッションの一番恐ろしい点は、参加するプレイヤー同士が敵でも味方でもなく共演者である事だと思っている。

この場合、KPはセッションをかの番組のようなショーエンターテイメントとして楽しもうと思ってたに違いない。

そして、PLの中にも想いを同じくしていたものもいた事だろう。

しかし残念な事に、全員がそうではなかった。

同じ舞台に立ってはいても、一方はコントのステージと思い、もう一方は脱出ゲームの会場だと思っていた。

その温度差をセッションに潜む魔物が見落とすはずもなかったのだろう。

段々と笑わせようとする勢いが落ち、次の探索場所を提案する声も小さい。

発言も限られたPLからしか上がらなくなり、PL会議ではなく、複数のKP個人面談のような形になっていった。


いったいこのセッションがどのような結末を迎えたかというと、中盤位で寝落ちしてしまったPLが出てきてしまった事により中断、そして再開は永遠に未定というエターナルendであった。

これはTRPGにまだ真っ白な夢を持っていた赤ん坊にとって、小さくないトラウマとして刻まれる事になる。


総括として、セッションに参加するPLやKPは皆等しく同じ舞台の共演者であり、セッションには魔物が潜んでいる、ということを述べさせてもらう。


僕はこのセッションを通してセッション参加者間の温度差や、スタイルの相違がセッションの未完という失敗につながることを知った。

だが後日、PL間の対立によって極上セッションに至るという出来事に巡り会う事になる。

それは後に控える、「セッションの成功とは?失敗とは?」で後述させてもらうこととする。

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