第15話 演奏本番
私たちは、あれから1週間で練習出来るだけ練習をした。
「今日だね、本番。緊張してきた」
「いや、早すぎるってまだ1時間目しか終わってないよ」
本番は、6時間目だ。まだまだ、時間あるけど私も結構緊張している。
菫なんか、ホームルームからずっと寝ている。話を聞くと、深夜まで練習をしていたらしい。菫だけこんなに、眠そうなのかなと思って周りを見ると誰もが眠そうだ。
今更だけど、なんでこんなに本気でやるのか聞いてみたら、椿の話によるとこの学校の行事みたいだった。なんでこんな行事があるんだと最初は思ったけど今となっては楽しいからまあいっかと思う。
時間が経ち、本番が始まった。
全体で5グループあり、小百合がくじを引いたら私達は5番目になってしまった。なんか、朝よりももっと緊張してきた。最後なんて、1番やりたくないこれで上手い人たちが出てきたらやる気がそがれてしまいそうだ。
1組目が、始まった。アニソンを歌っていた。私は、分からなかったけど椿は知っていたみたいで楽しそうに聞いてた。
2組目は、ヴォーカルのひとがけいおん部の人らしい。陽気感満載な歌声で歌もうまかった。
3組目は、全員が吹部の人で組んでいた。最近流行りの曲をやっていた。息があっていて楽しそうだった。
4組目は、けいおん部の人たちだけで組んだバンドだった。上手すぎて、私たちが最後なのがもっと嫌になった。
なんでクジなんだろ、クジなんか引かずにこのグループをトリにしたけばよかったのに。この次って絶対、晒し決定じゃん。なんか、やる気がどんどん落ちてきたな。帰りたい。
「一発かましますか」
「いいね、賛成」
「この状況ってなんか漫画みたいだね」
皆んなは、やる気が高まっていた。
「桜、緊張してる?」
小百合に聞かれて、頷いた。この状況で緊張しなほど、私は肝がそこまで座っていない。
「私も、してるけど大丈夫だって私達ならやれるから」
「じゃあ、エンジン組んで緊張ほぐしますか」
「掛け声どうする。普通に行くぞとか?」
「いやそれじゃあ、体育祭じゃん。なんだろ、桜は何がいい?」
「早くしなさい」
始めるのが遅かったらしく、先生に怒られた。
「バンド名言って、叫べばいいんじゃない」
「いいねそれ、それやろ」
私達は、手を合わせてバンド名を言った。
やばい、楽器の前に立つともっと緊張してきた。でも、私はまだ後ろだからいいか前の椿と小百合はみんなにもっと見られるって考えるとキーボードでよかった。前に立っている、桜は体が震えていた。緊張しているみたいだった。そうだよね、ここに立って緊張しないわけがないよね、私も気合を入れて演奏しよう。
菫の合図で演奏が始まった。そろそろ、椿が歌うんだけど椿の歌声が聞こえない。
忘れてた、 椿って極度に緊張するとこうなるってことを。中学の時も、こうなってたけど高校になってから治っていると思ってたけど治ってなかった。
椿ちゃんの声が聞こえてこなかった。どうしよう、私に出来ることって何かないかな。どうする、何かいい方法ないかな。そうだ、思いっきりキーボードの音上げて椿の気を紛らわせてみよう。後もう少しで、2回目のイントロが終わってしまうのでここでやるしかない。私は、キーボードの音量をマックスまで上げて演奏をした。
「ストップ。キーボード音上げ過ぎ最初からも一回」
さっきので、桜の緊張が解けたのか。口パクでありがとうと言った。
まさか、緊張のしすぎて声が出ないとは思ってもいなかった。桜ちゃんのおかげでなんとか緊張が解けた。そうだよね、ここに立ってるのは、私だけじゃないもんね。みんながいるから恥ずかしさや緊張も消えた。
そこからは、最高に楽しい演奏ができた。
こんなに、楽しかったのはいつぶりだろうか。あの子と笑い合っていた時よりも楽しかった。
干渉に浸っていると、拍手が聞こえてきた。
「最高だったね、みんな」
誰の声だろうと思っていると、みんながなんか信じれないものをみたような顔をしていた。
「何、みんなして私の顔に何か書いてある?」
「いや、だって桜が声出してるから」
「何言ってんの、私は声が出さないって前も言ったじゃん、あれ?」
私、もしかして声出せてる。あの時がショックで、声を失った私が友達と話せていた。
「やった、声出せてるよ。また、よろしくね」
「いや、軽すぎるってもう少し驚こうよ」
それから、放課後になってみんなとカラオケに行ってのどか枯れるまで歌った。
終わり
声と友達を失った私はもう一度 ソウシ @aoshimazuki
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