第30話、カプセルとイースさん
サンダルを買えたのは良いけど、絶望的に服が無い。ミコさんは人間の形をしていないから仕方無い、そもそも鎧は着けるけど服を着る習慣が無いそうだ。今も日傘や鞄を持っているから服だけ習慣が無いのだろう。
それでも掃除等で埃を被らせるのも可哀想なので悩んだ末に羽根の邪魔にならないような肩掛けを数枚を買った。
「ありがとうゴザイマス、服も人に何かを貰うのも初めてで嬉しいデス」
「家政婦さんの帽子も買っておく?」
ミコさんの頭上にちょこんとズレないで白っぽい帽子が乗っているけど洗うなら替わりがあった方が良いだろう。
「これは付けた生体パーツなのでスペアは大丈夫デス」
頭の帽子がウネウネと動き色がピンクに変わる!
「
良いならいいか。
「買いたい物が無いなら、帰ろうか」
「特ニハ無イネ」
「無いデスネ」
もうすぐ夕暮れの空の下をトテトテとヌタヌタとシャカシャカと帰る。人間とイース人とミ=ゴ人が並んでいるのは王都でも港町でも見られない。珍しい光景なんだろうな。
屋敷に帰り皆で揃って食堂で夕食を取り、お茶を飲みながら今後の相談をする。
「
「トリガーハッピー ダネ」
個人の趣味でイースさんの銃をバンバン撃ちたいのだろう。そういう人をトリガーハッピーと言うのだそうだ、やれやれ。
「屋敷の方は落ち着いてきたけど、屋敷が大きいからもう数人の家政婦さんや執事さんを雇いたいな」
「じゃあ、もう3人ほど用意シマスカ?」
ミコさんは天涯孤独じゃなかったの?
「促成栽培で3日で生体鎧付きを2体、魔法型を1体用意出来マス」
「
呼び寄せるって事かな?まあ、いいか。
「僕達は街の周辺で猪やオークなんかを狩って調整しようか」
ミコさんの知人を呼び寄せたら一応面接しないといけないから、日帰りや1泊の野宿で狩りをする。すぐに遠出をしたくないだけかも知れないけど。
そんな事で解散、明日は朝から狩りだ。
僕が部屋に帰り明日の準備をしているとミコさんが来た、何か伝え忘れたかな?
「アルさん、唐突ですが長生きしたいデスカ?」
「いきなりだね、短いよりも長生きしたいな」
「貴方にはお世話になりますし、何かの時の為に
「ノウカンって何、どういう事?」
「それとこれを」
彼女は僕の手よりも少し大きい棒を手渡してきた。
「フラッシュカプセルです」
何これ?
「困った事があったら上に掲げて使って下サイ」
「使ったらどうなるんだ?」
「フフフッ、心配する事はありません」
彼女は触角をピカピカと光らせながら笑い退出した。
「いったい何がどうなるんだ?」
後日、ミコさんに聞いたら、人間にカプセルを渡す作法みたいなものらしい。どんな先輩が教えた作法なんだろうなあ。
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