第28話、ユゴスの女性とイースさん

「皆を呼んで来るので少し待っていて下さい。」


 家政婦志望のカニみたいな蜂の女性を応接間に通して皆を呼びに行ったのだがイースさん以外は出掛けていて不在。彼も彼女の容姿を伝えると「ユゴス……」と呟いて一緒に面接してくれる事になり一緒に応接室に向かった。



「お待たせしました、こちらが僕のパーティーメンバーの……」


「イスの種族!」

 彼女は椅子から浮かび上がり光線銃を構えた。


「ちょっと待って下さい。彼は僕の仲間のデミヒューマンのイースさんです」


「イスの種族が仲間デスカ?」


「ソウ、貴女ヲ害スルツモリハナイ」


 イースさんは素手のハサミを持ち上げながら諭すように言った。


「イースさんは最初は見た目に驚くけど紳士だから落ち着いて下さい」


 彼女の頭部から延びた2本の触角は忙しくピカピカと光っていたが少ししたら落ち着いた。


「サア、面接ヲ始メヨウ」

 イースさんはそう諭した。



 話を聞くと彼女の名はミコさん、出身のユゴスから来る途中に嵐に遭い鞄1つでここまでたどり着いたそうだ。


「手持ちの鉱石を売って少しはお金がアリマス。けれど生活の為の仕事を探してイマス」


 紹介状には馴染みの無い種族だけど読み書きと計算が出来るのとの事、身寄りは無いので貴族の屋敷には無理だけど真面目そうなので冒険者の僕らに来たと。


 思っていたよりも苦労しているみたいだ。仕事が出来るなら種族は何でも良いし高い所も楽々掃除が出来るので仮採用としよう。


 以前、イースさんの種族とミコさんの種族は国境でいざこざが有ったり無かったりしたけど、では関係無いので雇うのは賛成だそうです。

 お互いハサミを持っているから種族的に近いのかと聞いたら、近くて遠い種族らしい。


 ともかく、屋敷の一室をミコさんに使って貰い今日は休んでもらって明日は必要な物を買い揃えてそれから働いて貰おう。


 まだ何人か雇わなきゃと言ったらミコさんが妹を造るから大丈夫ですと言っていた、造るなんて変な言い方だ、まだこちらの言葉は難しいのかな、妹さんも一緒に嵐に巻き込まれたのだろうな。


キニ……」


「まあいいか、明日の必要そうな物はと……」


 必要そうな買い物のリストを作り出した僕を見て、イースさんは機械を止めた。

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