第4章、火星から来た家政婦さんとイースさん

第27話、家政婦さんとイースさん

 大きな屋敷を手に入れた僕等は宿を引き上げて屋敷に自分の部屋を決めた!


 大きな屋根のある(天涯てんがいと言うそうだ)ベッドがあり女性達には評判が良かった。確かに虫除けのカーテンは便利だけど僕にはベッドも部屋も広すぎた。


 いつしか僕達は裏庭の使用人達が住んでいた家の方に移り屋敷の部屋に普段使わない荷を置くようになった。逆じゃないのかなあ。


 イースさんは階段が脚の関係で少し苦手なので屋敷の1階の書斎と裏手の使用人室を選び、その他に物置小屋を工作室にして色々と作って楽しんでいるみたいだ。



 僕らは屋敷をもて余しているけど、気に入っている。家主はイースさんだけど「好きに使って欲しい」と言われている。


 けど掃除をするにも広く、僕らが仕事に行っている間も管理する人が欲しいので人を雇う事にしてギルドに依頼を出した。その日の午後に彼女は着た。



 ゴンゴン、ゴンゴン

 ノッカーが叩かれ女性の声が聞こえる。


「張り紙を見てカセイの方から来マシタ」


「はい、今開けますね」


 カセイってどこの地方だろう?と思いながら扉を開けた。


 そこには白いメイドの帽子を乗せた頭部はピンク色の少し潰した楕円の球から2つの触覚がリズミカルに揺れて、左のカニみたいなハサミで日傘を持ち、今は置いているけど右のハサミでピカピカと鈍く銀色の鞄を持っていたのだろう。胴体は蜂みたいで背中に1対の羽もある、細く延びる脚も蜂のようだ。



 ああ、こういうのも慣れたなあ。


「はじめまして、良く来てくれました」

 右手を差し出したけど、握手の文化はあるのかな?


 彼女もハサミで握手に応えてくれた。ハサミが硬く暖かい、そう感じ思った。


「ここらには私の種族はいないのに見ても驚かないんデスネ」


「違うんですが似たような仲間がいますから」


「それってどんな方です?」


「それは後ほど、立ち話も何なので中へどうぞ」



 そして僕はカセイからの訪問者を屋敷に招き入れた。

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