第17話、魚の料理とイースさん

 僕達はハイドラさんとのお茶会を終え別れて冒険者ギルドを出た。宿に荷を置き、夕食までに軽く剣の手入れをする。


「命を預ける相棒だからな」


 汚れを落とし油を染み込ませた布で拭く。海の近くでは鉄は錆びやすいとイースさんや武器屋に注意されている。高い買い物だったから大切にしよう。


 良い時間になったのでハイドラさんに聞いた食堂に向かう。こうして見ると魚人が普通に歩いている町で魚を食べて良いのだろうか?


「君達ガ家畜ヲ見テモ平気ダロウ?」


 そりゃあ、牛や豚や鳥を見ても美味しそうに見えるけど、魚人達もそんなモノなんだ。


 気にしない事にした。


ピピピピキニシナイ


 魚人が、人が、エルフが、イス人が談笑しながら歩いている。

 ヒューマンとデミヒューマンが入り雑じった町を歩くと 、これがこの町の光景なんだなあ。空腹を覚えながら繁華街を歩く。


「着いたよ、思ったより大きい店だね!」


 店の外に樽が置いてありテーブル代わりに立って飲食している。


 店内は大きな円い1本足のテーブルと椅子6脚の8組、外も合わせれば最大60人くらいのお客に対応するのか!?


「冒険者ギルドのハイドラさんの紹介です」


「案内します、こちらにどうぞ」


 店員さんは店の奥の扉へ、ガヤガヤと飲食している人達を横目にお高そうな雰囲気の奥に通された。


 これ予算内なの?大丈夫なの!?


「待ってたよ、ほら座った、座った」


 上機嫌なハイドラさんが待っていた。いつの間にそんな話に?


「さあ、私がご馳走するよ。何でも頼んで、頼んで」


 色々と気にしない事にした。


 何が美味しいかと聞くとハイドラさんは今の時期美味しい魚に香草と油をかけて焼いたり、蒸したりするのをお勧めだとか、何それ食べたい!


 という事で1品は蒸して1品を焼きをメイン料理にして他はお勧めを注文してもらった。


 ちなみに魚の大きさ等で毎回値段が変わるので時価だそうだ。恐い、恐い。


「今日は良い取引が出来たからジャンジャン食べて明日に備えて、乾杯!」


 明日は仕事だから1杯だけエールを注文して飲んで前菜等を食べている間に料理人自らカートを押して持って来てくれた。料理人は魚顔の魚人だった。



「さあ、自慢の魚料理を食べてくれ!」


 料理は美味しかったけど、酔いは醒めた。

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