第14話、深き魚人とイースさん

 港町に着いた僕達を出迎えたのは濃い青と濃い緑を足した肌色の蛙みたいな魚人の門番達だった!

 世界には色々な種族が暮らしているんだなあ。


「イアイア……」

「アイアイ……」


 イースさんが2人の門番さんに両方のハサミで話しかけている。門番さん達も跳び跳ねてる。何を話しているのか全く判らないけど盛り上がってる?


 あっ、軽くハグをしている。

 意気投合したの??


「ようこそ、インスマスへ」


 イースさんに紹介されるようにして門番さんが話しかけてきた。少し訛りがあるけど会話には問題ない。僕らの町から馬車で1週間くらいの町だから当然なんだけど、人種が違うから言葉も違うのかと思っていた。エルフのエムやイス族のイースさんも共通語になった人間語を使えるのだから覚えたんだろうなあ。


「私の血の半分は人間さ」


 ビックリだ!深き者の血が強くて産まれた頃は人間みたいで大人になると立派な深き者の姿にになるが、中には人間みたいな姿のままの人もいるそうだ。へえ、珍しい種族だなあ。


 ジョンさんがどうだ!みたいな顔をしているけど貴方関係ないのに。


 手続きを終え町中に入ると魚人が通行人の3割とぐらい居る!住んでいる町から馬車で1週間くらいの場所なのに魚人を知らなかったなんて。


「彼等ハ理由ナク母ナル海カラ離レナイ。ダカラ知ラナイ人ガ多イ」


 そんなモノなんだろう。そんな話をしている間にロバは目的地の店に着いた。今回は荷下ろしのアルバイトは無くて店の魚人さんがやってくれるそうだ。人間よりも力が強くて穀物等を入れた袋を軽々と持ち運んでいる。あと大蒜ニンニクも沢山積んであった、匂うわけだ。


「良し、これで無事に仕事は終了だ。報酬はギルドで受け取ってくれ。また縁があったらよろしく」


 ジョンさんとロバと別れ冒険者ギルドに向かう。

 露店商も場所を借りてあちこちで準備をしている。ここの宗教的な祭りが4日後にあり、それに合わせてジョンさんも高く売れる物を運んだそうだ。


 簡単に言うと、ここの宗教のダゴン教団の神様にお供え物をする行事らしい。動物の足を縛って地上の祭壇から海に落とし魚人さん達が海中の神殿に運ぶそうだ。ついでに死罪の決まった罪人も神の赦しが得られるようにとポイされるとか。


「アノ神ハ 漁船ガ嫌イナンダ」


 後は祭りの日と前日は港を完全閉鎖するそうです。漁船が嫌いはイースさんの冗談だろうけど、出入りも出来ないの港も慌ただしい。ギルドで仕事を探したら船の荷下ろしの仕事になりそうだ。

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