2章、海の種族とイースさん

第13話、港町のデミヒューマンとイースさん

 僕達は行商人のジョンさんとロバ馬車と港町を目指して歩き出したのだった。


「さて、ゆっくり気を付けて行こう」


 ロバは馬よりも小柄だけど力強く馬車を引っ張っていく。小柄な分だけ飼い葉や水が少なくて良いけど気難しく2頭引きが難しいそうだ。

 なので小規模の行商に向いている。小さい村々を回るには品数が足りず定番品の塩や穀物を港町と近くの町へと運んでいるそうだ、大儲けも無いが大損も無い手堅い商売だ。


 一緒に町を出た馬車の行商人一行はすぐに見えなくなりエムのエルフ語の歌と鳥の鳴き声を聞きながら進む。


 僕らの仕事としては途中の村までも含めて鳥や兎を食事用に狩るくらいで山賊や大きな動物も出なく、後続の馬車を避ける為にロバ馬車を端に避けるのを注意するくらいだ。


 港町の自警団が定期的に見回りをしていて、更に冒険者の護衛の仕事に港町が補助金も出していて治安が良い。


 安全だから商売が回り儲かる、儲かったお金から治安にお金が回る。良い流れになっている。この町の領主さんは頭が良い。お金が僕達にも来るのが嬉しい。



「風の匂いが変わってベタつくぞ」


 レンが言うには海は近いようだ。


「調子良く進んでいるから昼前には着くよ」


 ジョンさんのお墨付きだ。どんな町なのかな、僕らが根城にしているミスカの町の2倍くらい大きいそうだけど?


「あの峠から町が見えるよ」


 本当に大きかった!青い水が海!そして沢山の港と船!聞くのと見るのとこんなに違うんだ!


 そして港の近くに大きな屋敷があり、そこから少し離れた場所に鐘のある建物がある教会かな?

 町の真ん中には川も通っていてあちこちに水路もある。


「あれが領主様の屋敷で鐘があるのは教会だよ」


 地元のデミヒューマン達が信仰しているそうで、入信するのが難しいそうだ。でも宗教的イベントはオープンで誰でも少しの額を納めれば見られるそうだ。


「海神ノ 宗教的儀式ナノダヨ」


 海の神に赦しを乞う為に祈りを捧げた後に重りを付けてドボン、ここも犯罪者への対応はあまり変わらなかった。イースさんはこんな事まで知っているんだなあ。イースさんだからか?研究者だからか?両方なんだろう。


 町の大きさにビックリした僕達は町の門番を見て更にビックリしたのだった。


「「「「魚だ!」」」」


 外開きの門の横に等身大の手足の生えた魚と蛙を足したようなデミヒューマン達が居た!


「彼等ガ コノ町ノ住人、ダヨ」


 イースさんとジョンさんが軽く笑っていた。

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