冬の唇

まるで玲瓏な楼閣のような

駅ビルの煌めく構造の下に

数限りなく人生の呻きが聞こえると

プラットホームの下に掬っている

思いがけなく美しい老婆が言ったとか


争いは常に空しいと

悲しみはいつも弱いと

そして

情愛は燃えるという嘘

まるで陽炎のように

いや寧ろコールタールの炎のように


それでも

デコルテのように輝く

パンプスから覗く白い足の表側に

限りなく惹かれてしまうこと


絶え間なく輝いているのだ

押し殺していても

不意に露わになってしまう

冬の唇のように

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