最終話 新たな旅路
次の日。
仲間たちとの話し合いの結果を伝えるため、メンバー総出で大聖堂を訪れる。
すっかり仲良くなった大聖堂の関係者に案内され、聖女ルナリア様のもとへと向かう。
私室でリラックス中だったという彼女は、俺たちが訪問したと知って慌てて出てきたようだ。
「全員揃っているということは……これからどうするのか結論が出たようね」
「はい」
大聖堂でもっとも広い祈りの間へと通された俺たちは、そこでこれからの行動についてルナリア様に報告をする。
「俺たちはこれからも旅を続けます」
真っ直ぐ、ルナリア様を見つめながら告げる。
聖都に残って次代の
これは他のみんなも一緒だ。
聖都での暮らしに慣れてきたものの、やっぱり心のどこかでは以前のように各地を冒険して回りたいという気持ちがふつふつと芽生えてきたらしい。
俺たちの言葉を受けたルナリア様は、柔和な笑顔を浮かべる。
どうやら、最初からこの答えは予想していたようだ。
「あなたたちとお別れになってしまうのは寂しい限りですが、その決断を尊重します」
そう言って、賛成してくれた。
「フォルト・ガードナー」
「はい」
「その鍵を……よろしくお願いしますね」
「任せてください」
ルナリア様にとっては辛い思い出も残っているこの鍵――けど、これがなかったら俺はみんなと出会えていないし、あのダンジョンで命を落としていただろう。
新しく未来を紡いでくれたこの鍵とともに、俺は新たな地へと旅立つ決意をしたのだ。
「あなたたちに多くの幸せが舞い降りることをここで祈っております」
「ありがとうございます、ルナリア様」
最後にお礼を告げて、俺たちは大聖堂をあとにする。
外はこれからの旅立ちを祝福するかのような晴天だった。
「それで、次の目的地はどこなの?」
切りだしたのはイルナだった。
「実は、聖都に来ている魔剣使いの商人さんからいい情報を聞いたんだ」
「ああ、あの美人をいっぱい連れていた」
「どことなくフォルトさんに似ていましたよね」
「そ、そう?」
ミルフィとジェシカはそう言うが……どうだろうか。
――っと、気を取り直して。
「その人はここから南にあるストリア大陸でひと仕事を終えてから聖都に来たって言っていたけど、そのストリア大陸には種族の壁を超えてエルフやドワーフ、獣人族たちが暮らしている村があるらしい」
「確か、昔使われていた要塞を改装したっていう村でしたよね」
「興味ある」
マシロとトーネがこの話題に食いつく。
他の三人も関心を持ったようだし……次の目的地は決まったな。
「よし。それじゃあ早速港に行ってストリア大陸行きの船を探すとしよう」
「「「「「おおー!」」」」」
意見が合ったところで、俺たちは走りだす。
まだまだ世界を冒険し足りない。
大切な仲間とこの鍵がくれる
絶対無敵の解錠士《アンロッカー》 鈴木竜一 @ddd777
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