プロメテウスへの贖い
磐國 桜憐
第1話
これは、アザナス・ドランの見た蜃気楼なのかもしれない。
蒼い焔、黒々とした煙が立ち込めていた。
ーこれは一体何だ…?ー
立ち止まり覗くと、鉱物の破片が散らばっていた。
そして、これまでに読んだことも見たこともない暗号化された文字列が並んでいた。
破片が散乱している先の燃えていた火元にそれは記されていた。
アザナスがブラックボックスならぬコンピューターのケースを開けると、宙へビジョンとして浮かんできたのだ。
彼が得意としている、グローブ・ジャスト・ガードという技で熱度を感じることもなく簡単に取り出すことが出来た。
あとから聞いたことだが、最も驚いたのはこれを読み取る技術を得ている知人が彼に居ないことだった。
私には容易いのだが…何故アザナスは頼ってくれなかったかと?その時はまだ知り合いですらなく全くの他人であったからだ。
私、グゼカンヤが若き青年達と出会うのはそれから幾許もない程度先の話だった。
彼等はサイキッカーであり、この宇宙の端にある星にしか住み着いていない少数民族だった。
プロメテウスへの贖い 磐國 桜憐 @maqh_8962
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