第20話 アトランティスの幻影、量子の響き

シッダールタたちがアトランティスのスターゲートを起動してから数時間。眩い光に包まれた後、一行は全く異なる景色の中に立っていた。そこは、かつて栄華を極めたアトランティス大陸の一部が、時空を超えて残されたかのような場所だった。そこは静寂に包まれ、空気は澄み渡り、まるで時が止まったかのようだった。


その壮大な光景に、一行は言葉を失い、ただ立ち尽くしてその輝きを見つめていた。


突然、不気味なアトランティスの亡霊たちに襲われたがキキの活躍で亡霊たちを消すことができた。


シッダールタたちはさらに先へ進んだ。


目の前には、巨大な水晶が空に向かって伸びていた。それは、まるで島全体を包み込むかのように輝き、その表面には古代の文字が刻まれていた。その水晶は、想像を絶するほどの大きさで、その高さはゆうに数十メートルはあり、幅は数メートルにも及んでいた。その結晶構造は驚くほど複雑で、無数の面と角度が光を乱反射させていた。虹色の光が周囲に広がり、幻想的な雰囲気を醸し出していた。水晶の表面は滑らかで、まるで磨き上げられた鏡のようだった。そして、その表面には、古代の象形文字のようなものがびっしりと刻まれていた。その文字は、まるで生きているかのように、かすかに光を放っていた。


その壮大な光景に、一行は言葉を失い、ただ立ち尽くしてその輝きを見つめていた。


「これは…!」


レンは、驚きと畏敬の念を込めて息を呑んだ。


「なんて美しい…まるで、生きているみたいだ…」


マリリンは、水晶から目が離せない様子で呟いた。


ホウは、鋭い視線で水晶を観察しながら、「この水晶…莫大なエネルギーを感じます。まるで、この島の心臓部のように…」と呟いた。


「アトランティスの心臓…!」


アインシュタイン博士は、興奮を抑えきれない様子で叫んだ。


「ああ。アトランティス文明のエネルギー源であり、彼らの超能力の源でもあったと伝えられている。」


博士は、水晶に刻まれた文字を指さしながら説明した。


「この水晶は、宇宙エネルギーを集め、増幅する力を持っていた。そして、そのエネルギーは、アトランティスの人々に超能力を与え、火星との連絡や移動を可能にしていたのだ。」



「火星との連絡…?」


シッダールタは、興味深く尋ねた。


博士は頷き、説明を続けた。


「古代の記録によると、アトランティスと火星は、スターゲートを通じて密接に繋がっていた。彼らは、この水晶のエネルギーを使って、火星との間を自由に行き来していたという。そして、その移動には、量子力学の原理が応用されていたと考えられている。」



「量子力学…?」


キキは、首を傾げた。


「ああ。量子もつれという現象を利用していたのだ。」


博士は、興奮した様子で説明した。


量子もつれとは、二つの粒子が、たとえ物理的に離れていても、互いに影響し合う不思議な現象だ。


アトランティス人は、この量子もつれを利用して、情報を瞬時に火星に伝えたり、物質を転送していたと考えられている。


「まるで、テレパシーみたいだね!」


キキは、目を輝かせた。


「まさにその通りだ、キキ。」


博士は、笑顔で答えた。


「テレパシーも、量子もつれの原理で説明できる可能性がある。 アトランティス人は、そのことをすでに知っていたのかもしれない。」



シッダールタは、巨大な水晶を見上げながら、深く考え込んだ。アトランティスの超能力、火星との連絡、そして量子力学…全てが繋がっているように思えた。


「この水晶は、私たちに何を伝えようとしているのだろうか…?」


シッダールタは、呟いた。


その瞬間、水晶がまばゆい光を放ち、一行は再び意識を失った。彼らが次に目を覚ました時、新たな冒険が始まろうとしていた。

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パヤナーク戦記 中村卍天水 @lunashade

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