第6話

「じゃあ、あいつはレーザーを食っていたというのか?」

「ええ。そういう宇宙生物クリーチャーだったのです。宇宙船ではなくて」

「しかし、さっき体当たりしてきたぞ」

「あれは攻撃ではありません。レーザーをねだって、じゃれてたんです」

「なんで、分かった?」

「似てたんですよ。私が可愛がっている猫ちゃんと。餌をねだって足にすり寄ってくるときと似てるなと思って」

「猫飼ってるのか?」

「飼ってません。公園の野良猫ちゃんを可愛がってるんです」

「おいおい。ダメだろ。野良猫を餌付けしたりしちゃ」

野良のら宇宙生物クリーチャーを餌付けした人に言われたくありません」

「俺は別に餌付けしたわけじゃない」

「結果的にやったも同じことでしょ。あの子すっかりあなたに……というかこの衛星に懐いてしまったようですよ」

「う……まあ、とにかく、これで問題は解決したわけだな」

「とんでもない。大変なのはこれからですよ」


 事実そうなった。


 数日後、奴はまたやってきたのだ。数匹の子供を連れて。


 ここへ来れば、レーザーがもらえると覚えてしまったようだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

懐いてしまった 津嶋朋靖 @matsunokiyama827

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ