第27話 改造人間サマーン~猫の穴変~

前回のお話。

なんとか、兄、学と父母である骸骨と合流を果たしたサマーンだったが、その前に更なる苦難が立ちふさがる。

佐山家からの参加枠で一子相伝の北斗○拳の伝承者となるべく猫の穴へと向かうサマーンと学であった。

どうなるサマーン!

学は、大丈夫なのか?

では、本編へ、どうぞ!


俺と兄貴は、猫の穴へと向かった。

そこへは、骸骨父さんの送迎にて到着した。

俺も、兄貴も、車の免許を持っていないからだったのだが、骸骨父さんは、言った。

「私の免許は、もう失効してるけどね」

とにかく、たどり着いたのは、地下都市の外れにある、洞窟だった。

「ここからは、お前たちしかいけない」

骸骨父さんは、言った。

「しっかりな、二人とも、生きて戻ってこい!」

「えっ?」

俺は、きいた。

「生死に関わることなの?」

「もちろん、俺は、やりとげますよ、お父上」

やる気モードの兄貴は、骸骨父さんに敬礼して言った。

「目指せ!○王」


俺と兄貴は、父さんの骨に別れを告げて、洞窟の中へと足を踏み入れた。

ちらちら燃えるろうそくの炎で照らされたそこは、まさに、地獄の入り口と呼ぶのにふさわしいかった。

「待て!」

俺たちを巨大な体躯の兵士が呼び止めた。

「何者だ?」

「俺たちは、佐山家の長男、学と、その弟、サマーン、だ」

「佐山家の参加、2名、と」

兵士は、呟きながら、メモをとった。

「あ、もう、行っていいよ」

「マジで?」

俺たちは、奥へと向かって、歩きだした。

すると、巨大なスフィンクスが2体、立ち塞がる門があった。

『お前たち、ここが猫の穴だと知ってきたのか?』

「スフィンクスが、しゃべった!」

俺が言うと、スフィンクスは、言った。

『いい反応をありがとう。では、質問です』

「えっ?」

俺は、嫌な予感がしていた。

スフィンクスは、言った。

『サマーンが、女子化したとき、スナック『桶狭間』で雅と文子としたのは、何ごっこ?』

「なんだよ、それ?」

俺が言うと、スフィンクスが言った。

『なお、答えられなかったり、間違えたときは、猫チューの刑だ』

「猫チュー?」

『そうだ』

スフィンクスが言った。

『猫に捕まえられて、もてあそばれたあげくに、頭から食われるネズミの刑、だ』

「ああ」

兄貴が笑顔で言った。

「それで、猫チューの刑、ね」

「残酷だな!」

俺が言うと、スフィンクスは、言った。

『全ては、このようにあるのだ、サマーンよ』

「それに、問題が変だし!」

俺は、言って、答えようとしたが、俺より先に兄貴が言った。

「お医者さんごっこ!」

「違う!」

俺は、慌てて訂正した。

「キャッツ○イごっこ、だ!」

『ピポピポピポン!正解です』

スフィンクスが言った。

『では、本題です』

「ほ、本題?」

『北○の拳に出てくる北○三兄弟が全員好きな女の名は、ユリアですが、ユリアの兄の名は、何だったでしょうか?』

「ジュウザ!」

「違う!」

俺は、急いで、間違いを正した。

「ジュウザは、義理の兄、だ!実の兄は、リョウガ、だ」

「ややこしいな」

『ピポピポピポン!大正解です。答えは、二人いるけど、ややこしい、でした』

「何だよ、それ!」

俺は、叫んだ。

スフィンクスは、俺たちに道を開けた。

『ようこそ、猫の穴へ』


そして。

俺と兄貴の血のにじむような修行の日々が始まった。

兄は、刺繍針で刺繍の訓練をし、俺は、針の山にロープで吊られて腹筋した。

また、ある日は。

兄は、湯気の立つお湯につかって、汗を流し、俺は、煮えたぎる油の上で懸垂をした。

「何か、俺たち、差がありすぎじゃね?」

俺が言うと、兄貴は、言った。

「気のせいだ、サマーン」

こうして、半年の月日が過ぎた。

ある日。

巨大な鍋の底に、俺たちは、他の連中と一緒に放り込まれた。

「これから、最後の試験を行う。この燃えたぎる鍋の底から、無事に、生還できたものが、ムゥ帝国の王となるのだ」


結果は。

全員が、無事に生還した。

それは、こういうわけだった。

焼けた鉄板の上で、俺は、必死に、手当たり次第に、鍋の外へと人々を投げ飛ばしていった。

そして。

最後に、俺も鍋をよじ登り、外へと逃れた。

「これは、あっては、ならないことだが」

試験官は、言った。

「ムゥ帝国の王は、サマーン、だ。意義のあるものは?」

誰も、意義を唱えるものは、いなかった。

だから、俺が言った。

「俺は、普通の人間として生き、普通の人間として死にたい。だから、王には、なれない」

「では」

試験官は、言った。

「やっぱり、王は、サマーンで」

「なんじゃ、そりゃ!」

戸惑う俺に、奥から金髪の、すごい美女が

現れて言った。

「あなたを、玉座の間にお連れします」

俺は、仕方なく、女の後をついていった。

永遠に続くかと思われた階段を登り、地上へと出た俺と女は、3丁目の角を曲がり、ハイツの駐車場を通って、2階の俺の家へと入っていった。

そして。

女は、リビングのソファを指して言った。

「ここが、あなたの玉座です」

俺は、ソファに寝転がると、読みかけの漫画を読み始めた。


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改造人間サマーン~地獄変~ トモモト ヨシユキ @tomoyosi

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