202012ジャパロボ 5

渋谷かな

第1話 ジャパロボ5

「鈴佐愛! あなたは東京オリンピック同時多発テロ事件の時に、テロリストを迎撃し、人命救助に尽力したことを、ここに国民栄誉賞を授与します! 内閣総理大臣! 小菅シカオ!」

「あ、ありがとうございます!」

 なぜか菜々子の友達の愛が表彰されていた。

(本当は私じゃないんだけどな。菜々子ちゃんはどこに行ったんだろう?)

 友達の菜々子はテロの日以来行方不明になっていた。


「作戦会議を始める。次のジャパカイダのテロの目標は・・・・・・皇居の制圧だ。日本の歪んだ既得権益の天皇制に意義を申し立てるためだ。」

 テロリストの目的は既得権益の打破である。

「我々、ローラ隊は東京駅を制圧することだ。」

「やったー! 東京駅!」

「喜ぶなよ。今度は日本の警察のジャパロボも出てくるだろうし、JRなんかのジャパロボも出てくるだろう。東京駅の制圧は容易ではないぞ。」

 ローラは隊員の油断を引き締める。

「大丈夫です。私に任せて下さい!」

 それは完全にテロリストになった菜々子だった。


「国民栄誉賞! 鈴佐愛! 皇居パレード!」

 皮肉にも第二回大規模テロの実施日が愛のパレードの日だった。

「愛ちゃん!」

「こっち向いて! 愛ちゃん!」

 皇居周辺には愛のパレードを見ようと大勢の観衆が詰めかけていた。

「どうも。ありがとうございます。」

 笑顔で手を振りながら愛はジャパロボの手に乗って自動歩行で皇居を一周する。

「こちら警察ジャパロボ、異常なし。」

「自衛隊ジャパロボ、異常なし。」

「機動隊ジャパロボも異常なし。」

 前回のパレードのテロを教訓に警備が強化されていた。

「これだけの警備体制です。今回はテロリストもお手上げでしょう。」

「そうですね。これで仕掛けてくれば大バカ者ですな。」

「ワッハッハー!」

 指令室でバカ騒ぎをしている小菅内閣総理大臣、警視総監に自衛隊の幕僚長たち。

「果たして、それはどうでしょうか?」

 他人事感のある権力者の中に1人違う意見を持つ者がいた。

「大池東京都知事、心配し過ぎですよ。」

「そうですよ。アリの入る隙間すらありません。」

「そうでしょうか? もし私がテロリストなら・・・・・・皇居の堀の水の中にジャパロボを潜ませておきますけどね。」

「そんなバカな。ジャパロボの水中用なんて聞いたことがありませんよ。ワッハッハー!」

 馬鹿笑いする権力者たち。

ドカーン!

 その時、大きな爆発音が響き渡る。

「何事だ!?」

「敵襲です!? テロが起こりました!?」

「バカな!? いったいどこで!?」

「皇居の堀からテロリストのジャパロボが多数、出現しました!?」

「なんだと!?」

 こうして第二回大規模テロの火ぶたが切って落とされた。


「ローラ隊。出るぞ。誰も死ぬんじゃないぞ。」

「おお!」

 菜々子もテロリストとして黒いジャパロボに乗り込む。

 つづく。

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