第壱幕「腕ヲ失クシタ璃々栖」

第壱幕之壱「出逢ヒ」

》同日二一三〇フタヒトサンマル 異人館街 ――皆無かいな


「【阿闍世アジャータシャトルの愚・釈迦牟尼如来しゃかむににょらいが説きし十三の観法・観無量の尊き光・オン・アミリタ・テイ・ゼイ・カラ・ウン――光明】」皆無の真言密教術によって、部屋や廊下が余す所なく光で照らされる。

 皆無はヱーテルをまとわせた右手で、宙を漂っている輝くこぶし大のはえ――悪霊デーモンのヱーテル核を摑み、口に放り込んだ。

(また蠅、か)

 蠅は・七大悪魔の六『暴食のベルブブ』の隠喩メタファーであり、蠅を模する悪魔悪霊は多い。

 臍の下、丹田の辺りにじわりとした熱を感じる。たった今祓った悪霊デーモンのヱーテル総量は千を上回っていた。これは、自身のヱーテル総量も成長したかも知れない。

「……帰ろ」皆無は入念に尻をはたく。何しろほこりまみれ虫の死骸まみれのソファに座らされたのだ。気持ち悪いったらなかった。饐えた臭いが鼻を突く。

 光で満たされ、虫達が逃げ惑う中を出口へと進んで行くと、本来の少女真里亜マリアの遺体――先ほど暗闇の中でつまずいて、本気の悲鳴を上げてしまった――が見えてきた。

 遺体の前で十字を切ってから合唱する。皆無は悪魔祓い師ヱクソシストだが真言密教を学んだ僧でもある。西洋妖魔相手にはキリスト教の術式を介した攻撃しか通用しないが、その他の補助には日本の霊脈と相性の良い真言密教術を好んで使う。

「【偉大なる烏枢沙摩明王うすさまみょうおうよ・烈火で不浄を清浄と化せ・オン・クロダノウ・ウンジャク――浄火じょうか】」

 腐敗し、蛆に蝕まれていた少女の遺体を炎が包み込む。やがて遺体が燃え尽き、秘術の炎が延焼することなく鎮火したことを見届け、玄関のドアを開けた。(ドアすり抜けて出て来るんやもん……びびったわ)

 南の海から坂を駆け上ってくる海陸風かいりくふうが、屋敷の上に留まる風見鶏を激しく回している。鼻腔をくすぐるのはほんのわずかなしおの匂い。


「「「少佐殿!」」」


 外に出るなり、男二人と女一人――皆無の部下たる二十歳過ぎの男女が駆け寄ってきた。みな一様に骨折してギブスを嵌めたり包帯を巻いたりと、手ひどい怪我を負っている。

「「「よくぞご無事で!」」」

「……阿呆アホ、あんな雑魚相手に苦戦するわけないやろ」

「少佐殿? 顔が真っ青であります!」女性尉官がいち早く皆無の異変に気付く。「どうかしたのでありますか!?」

 男二人相手ならはぐらかしたり黙殺する皆無だが、母親の居ない皆無の為に甲斐甲斐しく衣食住の世話をしてれるこの女性尉官には頭が上がらない。

「……知り合い、やった」出来得る限り淡々と告げたつもりだったが、その声はみっとも無い位に震えていた。

「胸は、必要でありましょうか?」女性尉官が両腕を広げて見せる。

「阿呆、餓鬼扱いすんなや」言葉では拒絶するものの、皆無は抵抗せずに抱き締められる。

「大人ぶって見せても、少佐殿はまだまだ子供でありますな!」

「少佐殿と一緒に花隈町いろまちを歩くのはいつの日になりましょうや」

 男二人が軽口を叩く。

「あんたらっ、少佐殿にそう云うのはまだ早いって何度云ったら――」

「お前こそ、その胸で少佐殿をたぶらかしといてぅ云うで」

「せやせや」

「訓示!」三人の莫迦ぶかの掛け合いを遮るように、皆無が声を張り上げる。

 三人が直立不動の姿勢を取る。

「あの悪霊デーモンり殺した被害者女性真里亜マリア感情アストラル体を取り込み、自分のことを真里亜マリアやと思い込んでいた。悪霊デーモン曰く、昨夜、三人の押し込み強盗に襲われて撃退したらしいんやけど……仮にも大日本帝国の花形たる第零師団に所属しておきながら、悪霊デーモンから押し込み強盗扱いされた諸君、なんか申し開きはあるか?」

「め、面目次第もございませんッ!」女性尉官が即座に謝罪する。残る男二人もそれに続いた。

「こりゃぁ訓練内容見直さなあかんなぁ」

「こ、これ以上厳しくなるのは……」

「今日も少佐殿は鬼畜であります!」

「鬼畜な少佐殿も格好良いであります!」

 彼・彼女らの口調には茶目っ気が多分に含まれている。そして皆無もまた、それをとがめない。皆無と三人の部下の関係は少し変わっている。


 一年前――十二歳で軍人になった当時、皆無は驚くほど自己評価の低い子供だった。


 生まれてこの方、常に日本一の退魔師である唯一絶対の父・阿ノ玖多羅あのくたら正覚しょうがく単騎少将と比較され続けてきた皆無は、従軍した頃には自罰的で自己承認欲求の塊のような、触れれば崩れそうな硝子細工といった風な人間になっていた。名声を焦るあまり、皆無が用いる戦術は常に無謀で無鉄砲で、少しでも失敗すれば己を責めた。遠からず潰れてしまうのは目に見えていた。そこで、父が第零師団長・拾月じゅうげつ単騎中将に対し、年若い部下――話し相手とも、遊び相手とも云う――を付けるように意見具申した。

 それが、今から半年前のこと。

 そこから半年間、この尉官三名は己の任務に忠実に、皆無を褒め、おだて、一緒に飯を食い、見回りと称して神戸元町をブラブラし、天才肌の皆無からの強烈な訓練に耐えた。彼ら三人の粉骨砕身の甲斐あって、皆無は見事に回復した。

 尉官三名の方も満足していた。幼いながらも本物の実力者たる皆無に師事することでぐんぐんとヱーテル総量を伸ばし、下士官の身分から一足飛びに尉官になることが出来たのだから。

 そんな一人対三人の三文芝居のおかげで、少女真里亜マリアを救えなかったことに対する皆無の陰りが晴れた所に、


「HAHAHAHA!」


 映画キネマから飛び出してきた道化師ピエロのような、芝居掛かった笑い声が

「皆無――愛する息子よ、部下をいじめるのはそのくらいにしてあげなさい」

 皆無が【梟ノ夜目】を纏った視線を屋根の上に差し向けてみれば、身長一〇〇サンチ足らずの子供が、風見鶏をいじって遊んでいた。

「これは、

 そう、この子供――に見える何者かこそ、日本一の退魔師と誉れ高い阿ノ玖多羅正覚単騎少将その人である。年相応に反抗期の只中ただなかにある皆無にとって、あまり会いたくない人物でもある。

「よそよそしい呼び方は止しておれよ」屋根から飛び降りてきた父が、音もなく皆無の前に着地――しなかった。見えない足場の上に立っているが如く、視線が皆無とぴったり合っている。その、皆無とは全く似ていない顔を思いきり寄せてきて、「いつものように『パパ』とお呼び」

「う、うっさいわけ!!」部下達の前で、こんなに恥ずかしいことは無い。

「君達、いつもウチの息子の面倒を見てれてありがとね」父が空中を歩きながら、尉官達の肩をポン、ポン、ポンと叩く。

「い、痛たた……って、あれ?」ちょうど肩を怪我していた青年尉官の一人が驚愕する。「け、怪我が治っとる……?」

「ホンマや……」

「う、嘘……」

 三者三様に怪我が一瞬のうちに全快したことを驚いているが、皆無からすれば見慣れた光景である。

「見てたよ。あ~んな雑魚相手にアーク天使エンジェル・バレットとは随分じゃあないか。アレ一発で家が建つんだよ? まったく……対露軍備で日本は大赤字だというのに。伊藤サンに顔向けできないじゃないか」


『伊藤サン』


 とは、誰あろう伊藤博文元首相のことである。百年の時を生きているらしいこの父は、神戸の港が開かれ、明治日本が建ち、この地が『兵庫県神戸市』と改められ、兵庫の初代県令に伊藤博文が就任した当時から、伊藤氏とともにこの港の守護に努めてきた。現在の神戸港を守る堅牢な退魔結界と検疫機構を成す為の膨大な予算を出してれたのもまた伊藤氏であり、父は伊藤氏のことを恩人のように思っているらしい。

「阿ノ玖多羅少将閣下ならば、どうご対処なさいましたか?」

 皆無が固っ苦しく父に尋ねる。上官相手に敬語で当たるのは当然のことであるし、反抗期の真っ只中にいる皆無は昔のように『パパ、あのね!』と話しかけることに大変な抵抗を覚えるのだ。

 だが、父はそっぽを向いたまま、答えない。

「閣下?」

「パパ」

「うっ」

「パパ、だよ、皆無」にんまりと笑う父。

「~~ッ!! だ、ダディ」何が何でも『パパ』呼びしたくない皆無が編み出した妥協策、『ダディ』呼びをすると、

「ふむ、私ならどう対処したか、だったね? 私なら――」父が右手の二本指を剣のように立てる。その指先がヱーテル光で真っ白に輝き出し、ビリビリと空気が震える。「コレで一突きだね」

「そんなん出来るん、ダディだけなんやけど……」

「『くう』に至った術師なら、誰でも可能な次元レヴェルだがねぇ」

「誰でも『空』に至れりゃ世話無いんやけど……」

しきくうくうしきしきそくくうくうそくしき」父が唱える。「諸法は幻の如く、ほのおの如く、水中の月の如く、虚空の如く、響の如く、乾闥婆ガンダルヴァの城の如く、夢の如く、影の如く、鏡中の像の如く、変化の如し。『空』に至りて『無』を解し、『悟り』を得れば全てが分かるよ」

「んな簡単に悟れたら、世界は仏陀ブッダで溢れとるわ」

「あはは、さぞかし悩みも苦しみ煩悩も世界だろうね」父がその身を大柄なフクロウの姿へと変じる。梟は皆無の頭頂部に留まる。百年を生きるこの父は、文字通り肉体を捨てて、濃密度ヱーテルによる受肉マテリアライズ体を普段の体としている。故に、肉体的寿命と云うものが無い。

 この父が斯様かように小柄なのは、十三年前に神戸港に襲来したという魔王モスに、その半身を食い千切られたからだという。日本一の退魔師と謳われる父をして半身を喰われて追い返すことしか出来なかった魔王という存在に、皆無は恐怖を禁じ得ない。

「それにしても皆無、拾月中将閣下から預かってる大切な部下達に大けがをさせるなんて、指導内容に問題があるんじゃないかい?」

 三名の尉官達が顔色を悪くする。皆無のしごきは凄まじい。なまじ自分が出来るが為に、部下達にも同じ水準を求めてくるのだ。そんな皆無もこの半年を通じて一般的な下士官の程度レヴェルというものを理解し、手加減を覚えたところだと云うのに。

「そんなんじゃ伊藤サンに顔向けができないだろう?」

「またかいな」

「また?」

「伊藤閣下のお話」

「あれ、云ったっけ?」

「えぇぇ……数分前のことなんやけど。相変わらず物忘れが多いんやから」

 この父はとてつもなく物忘れが多い。そんな父を指摘したり支えたりしている時だけが、唯一父に勝てている貴重な時間なのだ。

「とかくもくうだ、皆無。一刻も早く空を理解し、ヱーテル総量を伸ばしなさい。今どのくらいだったかな?」

 ヱーテル――霊力、魔力、呪力、巫力、神通力、氣、チャクラ等、様々な名で呼ばれる超常能力の源であり、妖魔達の活動源でもある。一般人で一単位、霊視が可能な霊能力者で十単位、港での退魔検疫業務に当たる下士官で数十から百単位、丙・丁種悪霊デーモンを祓うことの出来る尉官・准士官で数百単位。数千単位もあれば、まさしく一騎当千のエリート扱いとなる。

「い、一万ちょいやけど?」

「ひっっっく! 低いね!?」父が大笑いする。「拾弐じゅうに聖人の座を狙うなら、せめて百万は無いと!」

 今にも卒倒しそうなのは三名の尉官達である。化け物だと思っていた自分達の師を百倍以上も上回る化け物が、少なくとも十二人いると云う。

「……ん? ? ?」

「はぁ? 何を云っているんだか……ちなみに私のヱーテル総量は二千三万と少しだ。まぁ全盛期には、この倍以上あったのだけれどね」

 全盛期――魔王モスに半身を食い千切られる前は。

「……修練は変わらずしとる。せやけど、手っ取り早く強くなれる方法があるんなら、教えて欲しい」

「そうだなぁ、まずは得物に名前を付けなさい。名は体を表す。最も簡単で、それでいて奥深い手段だよ」父が人間の姿に戻って皆無の前に立つ。父が身に着けている装備品――南部式や十字架ロザリオやストール、懐中時計といった数々の小物までもがひとりでに宙を舞い始め、「この子は小梅チャン。この子はお春チャン、この子は幸チャン、この子は――」

 皆無は知っている。狂人たるこの父が、通算百八人の妻を娶り、その死に際に妻達の魂を式神化させ、自分の持ち物に憑依させていることを。

「気色悪いんやけど……」

「ひっどいこと云うね!? とは云っても、この子達も一番若い子で百数十年以上前の魂。私同様、物忘れが多くてねぇ……ま、それはそれで新鮮味があって良いのだけれど」

 酷い話である。皆無は卒倒しそうになりながらも、「名前々々云うんやったら、僕の名前の由来教えてぇや」

「ん? ん~~……皆無、お前は確か神無月かんなづきの生まれだったろう? で、神無かんなと名付けようと思ったけれど、一流の悪魔祓い師ヱクソシストに育て上げるつもりの子の名前が『神ハ無シ』ではあんまりだと思って、一文字変えたんだよ、確か」末尾に『確か』などという不穏な言葉が付いている。

「はぁ~ッ! 忘れっぽいダディに期待した僕が悪かっ――」


 皆無は軽口を飲み込む。父が、ごっそりと表情が抜け落ちた顔を南――海岸線へと向けている。


「極大ヱーテル反応。場所は居留地九番地の海岸線。は、ははは、驚いたな……甲種悪魔デビル――」いつも飄々とした姿しか見せない父が、額に脂汗を浮かべている。「皆無、行けるな? ――いや、これは上官命令だ、

 魔王。十三年前に神戸を襲い、父がその半身を引き換えに撃退せしめたモスと同次元レヴェル

「わ、分かった」皆無は、震えそうになる声を必死に抑える。

「私は師団本部で体制を整えてから行く。五分でいい――…死ぬ気で持ち堪えろ」

 云うや否や、父の姿が消える。父が使える奇跡の一つ、一瞬にして別の場所へ移動する【渡り】だ。

「お前らは鎮台で留守番や!」皆無が部下三名に命令する。

「「「はっ!」」」事態を理解している部下達は、その命令に素直に従う。

「【偉大なる軍神スカンダの剣・ニュートンの林檎・オン・イダテイ・タモコテイタ・ソワカ――韋駄天の下駄】ッ!!」ヒンドゥー教の神、仏教の神に、果ては英吉利イギリスの学者まで混ぜた、人々の関心アストラルを介して集められるヱーテルを有効活用する術式により、皆無の体は重力から解放され、望むがまま夜空を舞う。家屋の屋根や電柱の上を凄まじい速度で走りながら、「【しきくうくうしきしきそくくうくうそくしき――虚空庫こくうこ】」虚空から皆無の身長を超す長大な小銃を取り出す。


 三十五年式村田小銃。


 世界でごくまれに産出するヒヒイロカネを少量混ぜた鉄鋼で造った量産性度外視の銃で、使用者がヱーテルを施条ライフリングに流している限りは命中率と連射性を保証すると云う、まさに退魔師に特化した採算度外視の小銃である。


 ヴウゥゥウゥゥウウゥゥ……


 手回しサイレンの音が、そこかしこでなり始める。沢山の家屋から、血相を変えた人達がまろび出てきて、防護結界展開の為の十字架ロザリオを家屋正面の地面に突き立てている。

 皆無ははしる。


   †


 居留地の南端、海岸通りへ出た。いつの間にか風は止み、海は凪いでいる。皆無は中空を仰ぎ見る。

 そこに、一人の天使がいた。深紅のドレスを纏いし天使が。

 真白き白鳥のような翼を持つ少女が、神戸港・外国人居留地の海岸線近くで羽ばたいている。少女の背後には、この港を外界の西洋妖魔から護る巨大な十字架が、鉄桟橋の上で煌々と輝いている。

 天使が外国人居留地南端の海岸線に着地し、探照灯サーチライトに照られた。

「【オン・アラハシャノウ――もんじゅけいがん】――あぁ、あぁぁぁ……」己の死を悟り、皆無は絶望する。


 ヱーテル総量、およそ五億単位。


 日本一と謳わしめる父をして十数倍のヱーテル総量。勝てるわけがなかった。

 少女――この国を滅ぼしたらしめる最悪の悪魔が、神戸港に降り立つ。

 皆無はなけなしの勇気と愛国心によって、懐から虎の子の『熾天使セラフィムバレット』の弾倉を抜き出し、村田銃へ装填する。


「――に」


 皆無が銃口を向けると同時、少女が言葉を発した。その声は、抗いがたいほど魅力的で蠱惑的な声だった。良く通る癖に甲高く無く、それでいて決して低く下品でもない。僅かに擦れていてハスキーで、聴く者を魅惑し夢中にさせる声だった。

 そしてその言葉は、やや独特の訛りを孕む仏蘭西フランス語であった。

「そなたらと敵対する意思はない――人の子らよ」

 高貴さ、と云うのだろうか。鳥肌が止まらない。ずっと聴いていたいと思わせしめる、声。

 少女が顔を上げた。所々が血に染まった、長くウェーブがかった金髪。燃えるような、意志力のかたまりような真っ赤な瞳が皆無を射貫く。

 少女の翼がドロリと溶け、受肉マテリアライズを維持できぬ悪慮デーモン――手のひらに載りそうなほどに小さな、翼を生やした馬に変じる。

「良い。セア、今は休め」少女が悪慮デーモンへ何がしかを告げる。優しげに配下らしき悪慮デーモンを見ていた少女が再び皆無を見据え、「頼む。見逃してはれぬか」少女の声が、まるで英吉利イギリスが清国相手に売りさばく麻薬アヘンの如く脳内へ侵食していく。心地良い。この美しき少女の云う通りにしてやりたい……そう思えてくる。

 皆無は少女を観察し、そうしてようやく少女の惨状に気付いた。少女が纏っている真っ赤なドレスが、その赤が血によるものであり、切り裂かれ、そして酷く乱れていることに。

 そして――――






 






 両腕の無い、悪魔の少女。

「お前は一体――」

 皆無が銃口を下げた瞬間、探照灯サーチライトに照らし出された少女の影から、一人の異形が飛び出してきた。

「なっ――余の影に潜んでいただと!?」驚きの表情を浮かべる少女と、

「えっ――…」反応しきれない皆無。

 鳥の頭を持つその異形は、鋭い剣で皆無の左胸を正確に貫き、その剣を捻り上げる。

「がぁっ……」断末魔の悲鳴を上げる皆無。

 明治三十六年四月一日、阿ノ玖多羅皆無は死んだ。



   †  †  †



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