34 二重契約②

「どけ! どけ! どけ!」

「い、 妹くん! は、 早すぎるのだ!」


エストはダンジョンを速いスピードで走り回りながら下級から上級精?を一羽ずつやってのけ始めた。 精?はエストの狂気に満ちた表情に恐怖を感じた状態で逃走しがちだった。


ヒカリは急速に走っているエストを後からついて行くことが忙しかった。 エストの魔法と超能力を同時に使用をするとしても、 エストの速力に追いついたのは無理だった。 ヒカリは両眼をぎゅっと巻きながら「うわあ、 ゆっくり行きたいのだ! 息が! 息が詰まるのだ!」との中で考えた。


普段に眠るのが好きだったヒカリは運動を一番いやがったために、 相当な運動不足だった。 その反面エストは普段にも体が健康な状態だったため、 走るぐらいは何の支障がなかった。


エストは持続時間があまり残っていない魔法を考えながら徐々に苦痛が少しずつ押し寄せる感じに船を触りながら、 顔をしかめた。


うう… そろそろ、 おなかが痛くなってきそ… どうしょう。


身体能力を強化する魔法で苦痛を抑えていたエストだったが、 少しずつ魔法の効果が解除される同時に抑えていた苦痛が押し寄せてとエストは冷や汗をかいた。


エゴソード。それは魂の性別によって、 すべてが変わっている。 たとえ、 この世界に存在するエゴソードは12社だけだが。 彼らもそれぞれ性別が存在し、 数年前、 エゴソードの中に1人が人間と結婚したという知らせを聞いたこともある。 今は神との契約を破棄する条件で平凡な人間になって幸せな結婚生活をしているといううわさもある。


時間があまり残っていないということを知っているエストは急速に周りを見て、 ハルのピュラを感じた。 ダンジョンの深い地下の中で感じるハルのピュラは前よりはるかに近づくことが感じられた。


ここか?


エストは左の角を方向を変え、 後ろから追いかけてきたヒカリは息を切らして今にも倒れそうな表情をし、 泣きべそをかいた。


「い、 妹くん!… す、 すごく疲れたよ! す、 少し休むのは…」

「だめ! 時間がないんだよ!」


ヒカリはエストにきっぱりと断られた。


ヒカリは「ふわあぁ… ひどい…」としながら涙を浮かべ、 エストはヒカリを無視して、 ハルがいるところに向けて走っていた。 徐々にハルのピュラが迫っているのが感じられ、 ついに地下へ行ける階段が見えた。


階段が見えるところに立ち止まったエストは暗い階段の下を見下ろした。 ヒカリは息を急激につめ、 たどたどしい足つきでエストのそばに止まった。


「はぁ…はぁ… し、 死ぬかと思った…」


ヒカリは足に力が解けたのか壁にもたれながら座りこんだ。 今にも泣きそうな表情で「足を動かられないのだ…」と言い、 自分の足を揉んだ。


「ここの下にハルがありそう。 さあ、 下りましょうヒカリ」

「……む、 むりいー」


ヒカリは涙を浮かべて哀れな目でエストを眺めておりエストはそんなヒカリの反応に首を垂れながら、 深いため息をついた。


薄い紫色の髪はいつのまにか汗でごったまぜになってじとじとしてきており、 ヒカリのパジャマはほこりで覆われて汚れていた。 エストはそんなヒカリの姿を見て、 嫉妬し始めた。


私より、 はるかにかわいくて、 きれいな美少女のヒカリがハルのそばにいること自体が、 なんだかわからないけど、 いらいらした。 ヒカリはスタイルもいいし、 性格も私より穏やかたために可愛い姿がさらに独歩的だった。


ハルは、 きれいな女なら変態のように、 追いかけることがやつだ。(実はそうではありません。)

そうするために、 ヒカリを最大限にハルから遠ざけることにしなければならない。


「ふわあぁ…暑い…」


ヒカリは、 体に熱が上がって暑いのかパジャマの最初のボタンを外して風が通るようにした。 エストは、 ほぐれたパジャマの間に見える豊満なヒカリの胸を見ながら目を細くした。


「……」

なぜか分からないけど、 いらいらする。


エストはヒカリをみて思った。 絶対に何がいても、 ハルから接近禁止をさせなければならないと。


◆◇◆◇


「こ、 ここが肩くんあるところ?」

「そう」


ヒカリとエストは周囲を見渡し、 暗い階段を降りた。 ヒカリの超能力のおかげに階段を下がることは支障がなかったが、 果てしない階段を継続して、 向かう彼らは緊張感を緩めなかった。


階段を降りて、 下るにつれハルのピュラが近くに感じられ、 エストは静かに唾を飲んだ。 果たして、 あいつが無事なのかが、 最も心配だった。 何の能力もないハルが、 このような場所に一人でいると、 どれほど危険かをエストが最もよく知っていたからだ。


「何に、 これ」

「…門?」


地下に降りて来たエストとヒカリは平凡に見える大きな玄関のドアをきょとんと眺めた。


本当に、 平凡に見える門がダンジョンの地下にあるという事実に、 エストは首をかしげ、 ヒカリは少しの悩みもなく笑う顔で門を開いた。


「肩くん~私たちが探しに来ましたのだ! 無事か!?」

「ひ、 ヒカリ、 ちょっと…!」


ヒカリが門を開いた瞬間、 ものすごい量の人形たちに満ちた部屋が見えた。 そして、 そこにはハルの姿が一番先に見えた。 ハルは冷や汗を濁しながら、 不安な目でエストとヒカリを見ながら挨拶をした。


「…こ、 こんにちは」


ヒカリはそのようなハルを見ながら「こんにちはのだ!」だとし、 活気に満ちた声で返事をしてあげ、 エストはそうじゃなかった。 エストの目に一番先に入ってきたのは、 ハルの向いに座っている別の女の子だった。


黒髪の可愛いまた、 他の美少女。 しかし、 5歳から6歳ぐらいの小学生の姿だった。 エストは急激に殺伐した表情で、 ハルをにらみつけて首をかしげた。


「…あの子、 誰?」

「……」


ハルはエストの質問に何も言わないまま、 冷や汗を流しながら、 恐怖に満ちた目で、 エストの視線を避けるだけだった。

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