24 Wild Seven③

「よろしく! 新入り!私の名前はリュウ。 そんなに高くはないけど、 Aランカーに位置している」


私に手を差し出して自己紹介をした金髪男性は笑いながら話した。 私は、 彼が差し出した手を取り合ったし、 彼に続き、 残った人々も自己紹介をしてくれた。 黒い髪の毛の平凡に見えるめがねを使っている男性と指輪を拭いている男性の名前はレイモンとタク。 そして、 双子の兄妹の名前はリコーと里香、 男の子がリコーそして女の子がリカだ。


そして、 ウェイドの横にコアラのようについている女性の名前は、 マリンと紹介してくれた。 私は、 テーブルに伏せて寝ているエストとヒカリを代わりに紹介してくれ、 私、 自分自身も紹介した。 もちろん、 異なる世界から来たということは秘密なんだけど。


指輪を磨いていたタクは私を注意深く見ていたが、 それもつかの間、 視線をそらして指輪を作るのに熱中した。


「ピュラが、 全然感じられない新人だな。 今度もだめか…」

「……」


私は、 タクのぶっきらぼうな言い方に「…くっ」とし、 ぎくりとした。 多分、 この世界ではピュラがない勇者は勇者の取り扱いもしてくれないようだ。 ウェイドは、 そんなタクの反応に興味深い表情であごをなでた。


「おーい、 おーい。 タク、 そんなこと言わないでよ。 こう見えても、 こいつエゴマスターだぞ?」

ん? なに、 それ? エゴマスター?


私は、 ウェイドを見ながら意味を知らないというように首をかしげた。 しかし、 メンバーたちの反応は違った。 「エゴマスター」という言葉にみんな、 驚いた表情をしながら私に近付いてきた。


「それって、 本当? よかったね! ちょうど、 あいつが引退して心配しただけど!」

「あのう、 本当に、 エゴマスターなんですか?」

「ほぉ~ じゃあ、 もうハイカル大陸でエゴマスターが2人になったわけかな~?」

み、 みんな近すぎる!


皆、 嬉しい表情で私を見、 あれこれ質問したし、 私は彼らの反応で頭の中が止まっているようだった。 一体、 彼らがいうエゴマスターは何を意味する言葉なのかさっぱり、 理解できなかった。


その時だった。


「ううん…、 何だ?… 何で、 こんなに騒がしいの?…」


エストが目をこすりながら、 眠りから覚めた。


エストは、 依然として眠そうな表情で目をこすりながら私の裾を握って大きなあくびをした。 やっぱり、 ねぼけたエストは普段よりはるかにかわいい。 一生、 こんなにおとなしいなら、 私の異世界の生活が幸せだろうに…。


「あら~ かわいい女の子だね~ 名前は?~」


一番先に反応する人はマリンだった。 マリンは、 眠い目をしているエストにて近づき、 手を伸ばして頭をなでとしようとした。 だが…


「私の体に触るな。 魔女のくせに」

「…はっ!」


と言って、 マリンの手を振り切った。 エストの警戒が満ちた表情にマリンはショックを受けたのか、 今にも涙を流しそうな顔でウェイドに泣き付いてきた。


「フアアン! マスター~ あたし嫌われちゃったよ~」

「…うっ、 くっつくな!」


ウェイドは、 とてもいやそうな表情で、 自分にしがみつくマリンを軽蔑した表情で見守ったが、 まりんは気にしないようだった。 ウェイドは「くっつくな!」だとし、 マリンに腹を出したが、 お手上げだった。 マリンは何がそんなに幸せかウェイドにすがって愛嬌震え始めた。


「ねえ、 マスター~ あたしがそんなに魔女みたいの? ん?」

「…そう」

「なんで? なんで、 あたしが魔女みたいの~? きれいだから? 美しいだから?」

「…よく分からない」

「え~ 何で?~ あたしきれい? きれいって言って! うん?言ってよ!~」

「……」

うわあ、 見ている私の手足が縮こまりそう。


エストと私は心が通じたのか、 目の前にあるバカップルを見て、 眉をひそめた。 エストは、 ともに「うわ、 気持ち悪い」といい、 舌を突き出した。


「じゃあ、 お兄さんのパートナーはこの人ですか?」


リコーが私に近付いてきて、 エストを見て言ったが、 私はうなずいた。


「うん、 そうだよ。こいつが私のパートナーなんだ。 エスト、 挨拶して。 これから一緒に活動することになる人たちだよ」


私は、 エストの肩に手を上げ、 ギルドメンバーたちに紹介をしてあげ、 エストはもじもじと「こ、 こんに…ちは…」とし小さな声で挨拶をした。 どうやら、 初めて見る人が多くて、 人見知りしているようだった。

だいたい、 エストの紹介を終えた私はまだ寝ているヒカリを見ながら「こいつはいつ、 起きるのだろう」する考えをした。 ヒカリを今、 起こそうか?という考え方をしている頃、 エストの冷たい視線が感じられた。


「なんで、 そんなに、 あの女をじっと見てるの? 惚れでもしたの?」

「ち、 違う! 惚れるなんて!いきなり…」


私はエストがなぜ、 こんなにヒカリに執着をしているのかを理解することができなかった。 私がヒカリに少しでも目を向けると、 エストの態度が変わってしまう。 そんなにヒカリが嫌なのかな。


エストは、 澄ました顔で私のすそをつかみながら、 くるりと顔をそむけた。


「あんたは、 あたしと契約をしたんだから、 あたしのものだよ。 でたらめなことをするな!ばかたれ」

「……」

誰かが見たら、 私が奴隷だと思うかもしれない。


私は、 深いため息をつきながら私の視線を避けるエストを眺めた。 エストは、 つんと澄ました表情で横目で私をちらっと見て、 目が合ったエストは再び目を向けて「ぷん!」して、 目を閉じた。


「……」

最近になってますますエストを理解するのが難しくなった。


遠くで、 私とエストを見守っていたマリンと仲間たちは、 「こいつら、 まさか~」という目をしながら笑っていたし、 私は彼らの反応に固く口を閉ざしながら、 首を横に振った。

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