14 危機②
エストは、 遠慮会釈もなくスェポンの顔を向けて拳を振るい、 シェポンは 「くぅっ!」 と苦痛が混ざったうめき声を上げて、 大きな、 爆発音とともに森の反対側に遠く飛んでいってしまった。 私は、 きょとんとした面持ちでエストを見上げ、 エストは、 シェポンを殴ってた拳を払い飛ばし、 さっぱりした表情をしていた。
「ふん! 弱気のくせに!」
「……」
違うよ、 お前が異常に強いんだよ…
エストは、 向きを変えて出て目を合わせ、 席にうずくまった。 エストは、 負傷を負った私の傷口を見ながら口をぎゅっとつぐんだ。 エストは、 人形のように小さい手で、 ズボンのポケットの中からハンカチを取り出し、 悩まず、 自分のハンカチで私の傷の部位を止血してくれた。
「ああっ! 痛!…」
「動くな! ばか!」
私は、 太ももで感じる痛みに身を萎縮して涙を浮かべ、 エストは、 そんな俺を情けないという表情で、 眺めながら深いため息をついた。 エストの白いハンカチはいつのまにか、 疲労、 赤く染まって負けていて、 エストは、 自分のそでを果敢に破った。 そして包帯の代わりに私の傷を巻いた。
「少しだけ、 我慢して。 池のところへ行って消毒してあげるから」
「…あ、 ありがとう」
私は、 足をひきずってエストの助けを受けて、 その座にのぼりつめ、 エストに寄りかかった。 エストは、 片方の腕で私の腰を包み、 私が歩けるように手伝ってくれた。 私たちは、 ひとまずこの森の中を抜けることにした。 私より、 何倍は小さな体を持っているエストだったが、 全然つらそうに見えなかった。
ただ、 いつものように黙々たる表情で私を助けて歩いているだけだった。
「やつはきっと、 私たちをまた探しに来るよ。 これからの残り時間は、 22:01:41秒。 決戦が、 起こる前に早く回復した方がいいよ」
黙々たる表情で言ったエストの言葉に、 私は 「…うん」 と小さな声で、 言って頭を下げた。 私は果して、 戦って勝てるかな? あいつを相手に? これは実戦だ。 もし、 ロリコンやつとここで会っていたら、 私は果たしてどうなったのだろうか。 運良くエストの力を使用した時の状況と、 エストの力を使えない今の状況とは、 ずいぶん違っていた。
「あ、 雨だ…」
空から雨が一つずつ落ち始めた。 エストは、 空を見上げて手のひらをすいながら、 雨が降ることを確認し、 私たちは仕方なく、 近くに洞窟がある所を探して雨を避けることにした。
「うわ~ マジ、 最悪だよ! 最悪! 服が、 びっしょりぬれてしまったじゃない!」
雨は、 さっきよりで降り始めたてやっと雨を避けられる洞窟を探したし、 今は、 洞窟の中に入っていた。 エストは、 泣きべそを浮かべて、 雨にびっしょりぬれている服を両手で握ってよじって雨水を絞り出した。 私は、 きょとんとエストの行動を見守ったし、 私の視線が、 気になったのかエストは自分の体を覆いながら怒った表情で、 私をじっと見つめた。
「じろじろ見るな! この、 変態が! 顔を回して! ぶっ殺すよ?」
「あ、 ああ! ごめん!」
私は、 エストの言葉にあわてて体を回し、 洞窟の壁面に向かって、 眺めた。 その瞬間、 頭の中で 「私がなぜ 、 謝らなければならないの? エストは、 ただの小学生じゃん」 という、 考えが浮かんだ。 そうだ。 エストは、 12歳から、 13歳くらいの小学生だ。 そうだという意味は特に、 私が、 動揺しながらすまない必要がないということだ。
そうだということは、 つまり、 私が背を向けなければならない理由がないじゃん…という考えだけしているだけ。 エストに迎え、 死ぬのを恐れた私は、 ただ、 おとなしく洞窟の壁面を眺めた。
「もう、 終わったから、 顔を向けていいよ」
「う、 うん」
エストは、 きれいな服に着替えたのか、 その前に着ていた汚い服は岩の上にきちんとそろえて載せておいた。 平凡な冒険者たちが、 着る活動することはいい服を着替えたエストは、 ゆっくりと私の所に迫った。 エストは、 冷たい床に座って膝を抱きしめた。
雨は継続して下していた。 エストは、 じっとして降る雨を眺めていたが、 私は頭をがきながら、 ぎこちない雰囲気の中で、 エストに声をかけた。
「ねえ、 エスト」
「うん」
「エストは、 一番、 幸せだったのがいつだった?」
「……」
エストは、 私の質問に黙々と口をつぐんだ。 暗くなった空を眺めながら思いに沈んでいるエストの表情には、 寂しさが感じがした。 私は、 「私が、 余計な質問をしたのかな」という気がした。 私は、 エストの反応はぎこちなかっな笑みを浮かべ、 「私が、 余計な質問をしたみたい」と言葉をしようとしたが、 エストは小さく、 笑みを浮かべながら言った。
「…マナ様に、 お会いしたとき。 あたしは、 あの時が、 一番、 幸せだったよ」
エストは、 抱きしめていた膝にあごを置いて少しは、 幸せな表情をしていた。 再び私たちの間には、 気まずい空気が漂った。 静かな洞窟の中には、 雨水が落ちる音がはっきりと聞こえてきており、 静かにいたエストは、 再び馬を続けた。
「あたしはね、 実は廃棄物の中の一つだったよ。 鍛冶屋である、 『ヘパイストス』様の失敗で作られた不作…」
「エスト…」
私は、 エストの言葉に静かに唾を飲んだ。 エストは、 話を続けた。
「他の武器に無視されて、 ヘパイストス様に捨てられたあたしを、 温かく見守ってくださったのはマナ様で、 才能のなかったあたしに特別な能力をくださった方も、 マナ様だった。 あたしは、 マナ様に初めて会った時、 『この方なら、 あたしが壊れるとしても最後まで、 守ってあげたい』 と思ったよ。 今も、 そうだし、 これからもそうしたい」
エストに、 このような暗い過去があったとは、 思わなかった。
「でも、 今はわからない。 あんたと契約を結んでから 『やっぱり、 あたしは、 依然として不作から、 抜け出せずにいたんじゃないかな?』 という気が、 それで、 あんたに力を貸すときも、 また失敗するんじゃないかと、 あたし、 自身がとても怖い。 あんたも嫌いでしょ? そうよね? 最下位級の武器だよ? 誰が、 こんな最下位級の武器を、 好きだと思う? みんな、 同じだよ! みんな、 無視してからかって…」
「エスト!」
私は、 涙を浮かべているエストの小さな肩に手を上げた。 そして、 エストと目を合わせた。 エストの青い瞳には涙がいっぱいたまっており、 不安に見えるエストの瞳孔は、 微細に震えるのが見えた。 瞳孔が、 微妙に震えていた。 多分、 シェポンとの争いを含めて、 何度も古いつるはしに変わったのためにそのようだった。
私は、 真剣な表情でエストを見ながら確実に話した。
「私は、 エストが好き!」
「う、 うん?…」
エストは、 私の一瞬、 ぎくりとしたし、 私は捉えていたエストの肩をギュッと握りながら、 もう一度言った。
「私は! どうしても、 エストを捨てない! そして、 たとえエストが、 最下位級の武器でも、 私は気にしないよ!」
そうだ。 エストがなければ力もなく、 運動神経もゼロの私が、 この世界で生き残ることができないから言葉だ。 何があっても、 エストと一緒に同行しなければならない。
「す、 捨てないなんて…。 そ、 そして、 と、 突然 、 す、 す、 す、 好きだなんて…」
「ん?…」
エストは、 急に顔を赤らめて頭をちょいと傾け、 一人で静かな声でつぶやいた。 私は、 エストの行動に首をかしげ、 目を細めた。 急に、 エストがなぜこのような反応を言うんだ?… 私が、 間違って言ったのか? 明確に、 まともに述べたようですが… 何だろう…
「ふぅ、 ふん!や、 やっぱり、 あたしの外貌は仕方ないな! こ、 これからもっと強くなったら考えてみるよ!」
「はぁ…?」
いや、 何を? 何を、 考えるというのですか? エストさん? 全然理解できないですけど?
エストの頬は少し、 赤くなってい、 同時にツンデレのような行動をしながら、 私を見つめた。 私は、 依然としてエストのそのような反応に疑問を、 分からないという顔に目を細めた。 雨が、 降る空はいつのまにか暗くなって、 私たちは仕方なくここで、 一日、 泊まることにした。
私たちに与えられた時間は、 これから先の時間、 17:43:52秒。
無事に、 ここで生き残れるかそれが、 一番心配だ。
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