13 危機 ①

「う、 うわっ!」


私は慌ててエストを抱き寄せ、 体を横に転がった。 間一髪の差で、 私はやつの攻撃を避けることができた。 鋭い巨大なはさみは、 私たちを狙っていたのかエストと私があった跡に吸い込まれた。 床に倒れている私は、 エストを抱きしめ、 私たちの前に立っているやつを眺めた。


私は、 不安に揺れる瞳孔に殺伐とした微笑している、 少年を見ながら唾を飲んだ。 私の懐に抱かれているエストも、 当惑したのか目を丸くして立ちながら、 口を閉じることができなかった。


「ああ~ 避けてしまったか~ 残念~ とても、 とても残念~」

「……」


こいつ、 心から私たちを殺すつもりだった。 やつは、 殺伐とした目で、 私たちを眺めながら床にささっていたはさみを抜いた。


「私は遊びたい。 なのに、 周りの人たちは 『あの子とと遊んではだめだよ』、 『あの子のところに行ってはだめだ』と述べる。 何でだろう? 私は、 ただ楽しく遊びたいだけなのに」


男の子は、 巨大なはさみをなでながら悲しい表情をしていた。 私はやつを警戒し、 当惑した表情をしているエストに、 静かな声で話した。


「エスト、 戦えるの?」

「…う、 うん、 まだ頭痛があるんだけど、 できそう」


私は、 エストの答えに 「わかった」 と話しながら、 うなずいた。 相手のやつは、 継続して 「みんな、 ひどい」、 「なぜ、 逃げるの?」、 「私が嫌なの?」…と独り言を言って、 我々にゆっくり近づいていた。 やつの手に持たせている巨大なはさみは、 黒板をひっかく音を立てながら床に引かれていた。


私は、 黒板をひっかく音に顔をしかめて急速に席から立ち上がった。 やつは、 のろのろした歩き方で我々にやってきていたが。 私は、 木々に囲まれた空間から脱することが工夫をした。 エストと私が争うには空間が、 あまりにも狭かった。 まだ、 争いに慣れていない私としては狭い空間よりは、 広い空間が活用度がはるかに良い。


「結局、 お前も僕に逃げようというのか?… そうなんだ… 結局、 そうなるんだ…」

ちくしょう… まじで、 やばい。 どうやって逃げればいいの?


私は、 やつの殺気に冷や汗を流しながら、 エストを抱いて後ろに少しずつ退いた。 エストも、 このようなサイコパスのようなやつを初めて、 会ってみたのか、 少し、 恐れた表情だった。


「逃げるなよ…。 僕と親しく過ごそう。 僕の名前は、 シェポンだよ。 気楽に、 シェンと呼んで」


自分を 「シェポン」 と紹介したやつは、 私たちに近寄ってきており、 やつと目を合わせた私は、 分からない威圧感が全身を巻いた。 体を動かすことができない…。 誰か私をつかまえているような感じがした。 手と足が、 動かない。 シェポンは、 悪魔のように殺伐な笑みを浮かべながら、 私と目を合わせた。 そして、 手に持っていた巨大なはさみをかまえて、 口元に笑みが広がった。


「……お前が、 逃げてしまったら面白くないじゃん。 とりあえず、 逃げられないように足首を切らなきゃ」

「……」


こいつは、 狂った。 正常な考え方を持っているやつではない。 こいつは、 本当に危険。 やつは、 私の足に視線を変え、 私は慌ててエストの名前を叫んだ。


「エスト!」


エストは、 すでに知っていたというように私の手を握った。 すると、 明るい光が広がっていき、 エストは、 つるはしの姿に変わった。 明るい光が、 急に広がって出ると、 シェポンは 「うっ!」 して、 目を覆いながら後ろに低迷していた。 私は、 サイコパスやつが前の見えないすきに付け込んで、 利用してつるはしを振るった。


「ちぇっ…」


しかし、 やつはそれに気づいたのか、 間一髪の差で私の攻撃を回避。 けど、 私は、 攻撃を止めないで、 今攻撃を試みたやつの反対側の腰に向けて攻撃を試みた。


「くすっ、 武器を使うとは、 思わなかった…」

「ちぇっ…」


鉄同士でぶつかる音とともに私の攻撃は、 やつが持っていた巨大なはさみによって遮断された。 今回も失敗したのか、 私が持っていたつるはしは古いつるはしの姿だった。 もしって、 ランと戦った際のその 「つるはし」だったら、 攻撃が通じたはずだ。


「奇襲攻撃、 本当に久しぶり。 僕たちはもう友達だから、 僕も君に特別な技術を見せてあげるよ」


そう言ったやつは、 軽く私のつるはしを巨大なはさみで打ち返し、 私に飛びかかった。 あまりにも、 速い動きに私は慌ててしまった。 やつは、 巨大なはさみを大きく広げ、 鋭いはさみの日は鳥肌が立つほど脅威的だった。


「連続、 切り」

「……!」


目に見えないほど速いスピードで、 はさみをするのが見えた。 やつは、 攻撃を止めなかったし、 私がやつの攻撃に困惑している瞬間、 頭の中で、 エストの声が聞こえてきた。


『右だよ! 避けて!』


エストの言葉に、 私は慌ててエストが言ってくれた方向を避け、 やつの鋭いはさみは私が避けた場所を通り過ぎた。 巨大なはさみは、 やわらかい動きで大きな木を豆腐を切るように切ってしまった。 私は、 それを見て驚きのあまり目玉が飛び出しそうだった。


「あ、 あり得ない! き、 木が切られた!?」

「心配しないで、 次は君も切ってあげるから」

「う、 うわっ!」


シェポンは、 殺伐とした表情で継続して攻撃を試み、 私はおびえた顔で、 エストが語ってくれる方向にやつの攻撃をなんとか避けた。 しかし、 運動神経がゼロインだけに、 私の動きは徐々に遅くなり始めた。 シェポンは、 疲れて行く僕の姿に目を光らせて先ほどより一拍子、 速い攻撃を試み、 彼の攻撃を避けられなかった私は、 思わずやつに攻撃を許可してしまった。


「うっ!…」


シェポンの鋭いはさみは、 風を切りように、 私の太ももを向かい、 それに気づいた私は後込みしたが、 やつの攻撃に、 左太ももから血が噴き出した。 赤黒い血は、 破れたズボンの間から流れ出て、 肉と筋肉が裂ける苦痛に私は、 傷の部位を包み、 床に座り込んだ。


「うっ! 足が!」


つるつるした液体の感触、 肉が燃える苦痛。 全身に苦痛が押し寄せている同時に足を動かすことができなかった。 私は、 苦痛を訴えるように悲鳴を上げ、 それを見守っていたシェポンは幸せな表情をしていた。


「捕まえた~」

「うっ…」


私は、 恐怖に満ちた表情で私を見下ろすシェポンを見上げ、 彼の殺伐とした表情で、 体が震えてきた。 やつの攻撃に筋肉に損傷を着たのか、 左側の足を動かすことができなかった。 ちくしょう、 本当に、 ここで死ぬの? まだ、 何もできなかったのに、 このまま死んでしまうの?


「うーん、 次はどこを切ってあげようかな~?」


シェポンは、 鋭いはさみを振りながら楽しい表情で、 私の全身を目を通しように目ををあちこちで転がした。 彼の行動に、 おびえた私は、 ゆっくりと後ろに退いた。


「こ、 来ないで…」


人間は、 極限の恐怖を感じるようになったら、 何の気がしないという。 どうも今がまさにその状況であるようだった。 私の頭の中は白紙のように、 何の気がしなかった。 ただ、 「死ぬ」 という言葉が、 私の頭の中を行き来するだけだった。


シェポンは、 いよいよ決定したかはさみで、 私の肩を狙って殺伐に笑みを浮かべた。


「よし! 決めた! 今回は、 反対側の右腕を切ってあげる!」

やばい…、 まじで、 やばい!


やつは、 巨大なはさみを広げて私にゆっくりて近づき、 私は、 恐怖に目を閉じとした瞬間、 エストの声が聞こえてきた。


「ハル! 頭を下げて!」

「……?」


私は、 エストの声が聞こえてくるところに何気なく首を回し、 こぶしを、 固く握っているエストの姿が見えた。 エストの拳には、 青色にからみついており、 その拳を遠慮会釈もなく、 シェポンの顔を向かって突き上げた。

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