第21話「ますます理解が追いつかないわね」


地方交付税。それは都道府県や市町村などの財政の格差を、国が調整する、何かそう言ったものだ。


詳しくは俺も知らん。


昨日の会議から、俺はこの国の地方行政のことについて、グ○グル先生を使って勉強した。


そして浮かび上がってくる問題点。というか、そもそもこの国、立憲君主制でありながら、ほぼほぼ連邦国家みたいな感じだということがわかった。


別に連邦国家でもダメなことはなが、少しばかりは国が支援しないと、結構ヤバめな行政が多いというのも事実だ。



「そういうことだから、少し制度を改正した方が良いと思うんだ」


「えーめんどいじゃん」



そういうエマは、現在公務中にも関わらず、おもいっきしゲームをしている。


本日もいつも通り平常運転である。



「まずは公務に集中してください」



そう言い、エマの手にあったスマホを取り上げる。



「あ、こら」


「仕事してください」


「女の子のスマホ覗くとか、秋斗のバカ!」


「しっかり仕事をすればいいんです」


「わかった。仕事するから返して」



返しました。



「ということで、地方行政に関してですが」


「秋斗、分からないことがあるわ」


「なんですか?」


「連邦国家って何かしら」


「それ、俺 口に出してませんよね!?」


「昨日秋斗の部屋を覗いていたところ、そういう単語を耳にしたもんでね」


「さらっと言いましたけど、なに勝手に覗いてるんですか」


「まぁそれはそうとして」


「勝手に流さないでください」


「いや、私は連邦国家という意味を知りたいんだけど」



まぁ、公務に集中してくれるなら、このことは水に流そう。


このまま話していても、グダるだけだし。



「そうですね・・・でも、一言で説明するのは難しいですよ。まぁ何というか、国の中に自治国とか州があって、独自に行政や立法がある感じですかね」


「つまりどういうこと?」


「国の中に国があるんです」


「ますます理解が追いつかないわね」


「そうですね。まず、国があるとします。ここならカリホルニウムですね。そして、国の中には色んな都市がありますよね?」


「まぁそうね」


「その都市が、自治国だったり、州だったりするんですよ」


「なんか難しいわね。ゲームしていい?」


「ダメに決まってるでしょ。まぁあれだ。アメリカって、州ごとに法律とか決められるでしょ?」


「あぁ、それは聞いたことがあるわ」


「そういうのですよ。アメリカも連邦国家ですから」


「そういうことね。完全に理解しました!」


「それ理解してないときに言うやつ」



というか、しれっと説明したけどさ。なんで国王であるエマが連邦国家を知らないんだよ・・・っていうオチはもう飽きたか。



「んで、カリホルニウム王国のどこが連邦国家なのよ」


「まぁ正確には違うけど、中でも、都市内のことに関しての行政権が、各地方行政に偏りすぎなんだよ」


「別に、私が困ることじゃないからいいんじゃない?」


「いや、問題はそこじゃなくて、財政に関して」


「はい?」


「赤字なんだよ」


「赤字なら、増税すれば、いいじゃない」


「なに俳句にしてるんですか」


「季語がないから川柳よ」


「知らんがな」

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