第19話「神がいた」
「あーーーーーーーーー」
今日は俺が叫びました。
「騒々しいわね」
「それ、思いっきりブーメラン刺さってるからな?」
「そうですか。それで、どうしたのよ」
「足りないんだよ」
「はい?」
「和だよ。和!」
「和?」
「そうだ。和が足りないんだよ!」
「は、はぁ・・・」
「米が食べたい味噌汁飲みたい箸を使って飯が食いたいぃぃぃぃぃぃぃ」
今までそんなに触れてこなかったが、この異世界に来てから、食事はフォークにスプーン、それとナイフとかだ。そして、米や味噌汁といった、日本人の食事には欠かせない品々がない。
いい加減、それらが恋しくなる。
それだけじゃない。
「大体なんだよ、俺のこと秋斗秋斗って、みんな名前呼びかよ!? 敬うのに下の名前とか意味不明なんだよ。もっと苗字で呼べよ。俺の苗字みんな忘れるだろ」
「いや、そもそも苗字で呼ぶ文化なんてないしねぇ」
「あと、靴脱ぐ機会が無さすぎる。寝るときだけとか正気か? しかもベットだぞ? 布団で寝たい、畳の匂いが恋しい、靴をもっと脱ぎたい」
「きょ、今日の秋斗は無駄に強気ね」
「エマもそうだけど、みんな本音言いすぎなんだよ。もっと本音と建前を使い分けろよ。もっと人に合わせることをしろよ。空気ってもんを読めよ。それに時間にルーズすぎるんだろ。ドイツを真似るなら時間厳守にしろよこのど畜生がぁー!」
「秋斗、一回落ち着きなさい」
はい、落ち着きました。
「んで、どうしたの?」
「ここ最近のカルチャーショックによるストレスが限界を迎えたようです」
「秋斗の暮らしていた世界は、こことは違う文化だったのね」
「まぁ。全然違いましたね」
ここはむしろ、欧州とかそこらへんの文化が根強いと言っていいだろう。
まぁ日本の文化というのは、世界的にみても珍しい文化というのは否定できないけど。
「私は現状が当たり前という感じで生きてきたから、なんとも言えないんだけどね」
「慣れ・・・ですかね」
「ちなみに、秋斗が暮らしていた世界の文化って、どんな感じなの?」
「まず、家では靴を脱ぎます」
「ほほう」
「主食は米です」
「ほほう」
「時間は厳守します。遅れるとか非常識です」
「ほほう」
「それ以外のリアクションないんですか?」
「どういうリアクションをすればいいのよ」
「いや知らんけど」
「無責任は嫌いよ」
「そうですか」
「なんか冷たくない!? 秋斗がいた国は、冷たい国民性なのね」
「いや、まぁ優しいといえば優しいですよ。表向きは」
「闇深そうな発言しないでちょうだい」
「まぁでも、この国の人ほどの陽気さはないですね」
そこは良くも悪くも欧州諸国と似ているというか、まぁそういうことだ。
「何がともあれ、秋斗にはカリホルニウムに慣れてもらうしかないわね。でも、お米を収穫している地域もあるから、秋斗のためにそこからお米を取り寄せておくわ」
「神がいた」
「私が神だ。ひれ伏せろ」
「調子に乗ったので堕天してください」
「(´・ω・`)ショボーン」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます