第4話「公共サービスって何かしら」
「ふと思ったことを言っていいか?」
税目を増やす会議・・・と言うのにはみすぼらしいが、とりあえず会議ということで。
んで、その会議中にふと思ったことがある。
「この国って、どんな公共サービスをしているんだ?」
この国には、所得税、法人税、国民税の三種類の税目しかない。
そして、世の中の経済は資本主義方式で機能しているらしいので、所得税、法人税は正直景気に左右される。
資料を見る限り、国民税は日本で言う住民税みたいなもので、最低限この額が歳入されるってことは分かるが、その額は少額すぎるし、本来は所得(収入)によって左右される税目なので、これも景気に左右されてもおかしくはない。
そこで気になってくるのが、『この国がどんな公共サービスをしているのか』だ。
世の中には『小さな政府』と『大きな政府』というのがあって、もしこの国が前者みたいな政府だった場合、税目を増やして収入を増やすより、予算を削って、無駄な事業の経費削減を計った方が理に適っている。
それで、君主様のご回答は・・・。
「秋斗・・・公共サービスって何かしら?」
「よく君主としてやってこれましたね!?」
どんなに政治や経済に無知でも、公共サービスぐらいの単語は認知していてほしかった。
「教えてください」
「エマのポケットに入ってる板で調べて下さい」
そう言うと、エマはすかさずポケットの中から、それを取り出す。
「あぁ、スマホのことね」
そう言い、ポチッと検索する。
「通常は政府から国民に対して直接、公務員による公的なセクター又は民間機関への出資を通して提供されるサービスを指す。この定義には、そのサービスが納税額に関わりなく地域の選挙民全員に提供されるべきであるとの意義が含まれる。ばーい、びきぴぇでぃあ」
び、びき・・・?
バイ(by)のあとがよく分からなかったが、まぁ理解したのなら良い。
「んで、これどういうこと?」
こいつ分かってないぞ。
「民間じゃ利益が出ないけど、必要なもの、それを行政機関が運営しましょうってこと」
「じゃあ最初からそう言えばいいじゃない」
こいつほんと殴りたい。
「それで、どうなんだ」
拳を握りしめたところでぐっとこらえ、質問する。
「そうね。色々やっているわよ」
「例えば?」
「うーん・・・電気、水、ガス。それに、道路かしら」
インフラ関連全般だな。他にはあるのだろうか。
「軍とかあるのか?」
「あるわよ」
「教育機関は?」
「イズゼァ(is there)」
「ゴミ関連」
「ギッダズ(Gibt es)」
「社会保障はあるん?」
「イヤッチェーッル(y-a-t-il)」
「さっきから下手な発音で返してくるのやめてもらえます?」
「いいじゃない。グローバルよ」
「最初の英語しか分からなかったけど、何語言ってたんだ?」
「上から日本、イングランド、ドイツ、フランスよ」
「多分それ、ネイティブの方に言っても通じないパターンですな」
もちろん発音的な問題で。と思うが、英語ならまだしも、俺はドイツ語もフランス語もさっぱりなので、これ以上は口を開かないことにした。
というか、イングランドは英語ということでいいのかな?
それはそうと、今のを聞く限り、この国は『小さな政府』ではなさそうだ。
ということは、経費削減というよりかは、当初の計画であった、税目を増やして収入アップを狙うのが良さそうだ。
「少し話が脱線してしまったが、やはり税目を増やす方が良さそうだ」
「荒稼ぎはダメなの?」
「ダメです。というか、似たようなことそのうちやるよ」
俺が思い描く理想図通りに、うまくコトが進めば・・・だけど。
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