優秀すぎて追放されたので優秀な部下を自分で鍛えようとしたのだが(大敗北)
のの字
第1話
俺は戦地での大勝利をひっさげて王都に凱旋した。
そしてすぐに国王に呼び出される。
だがおかしい。行き先は執務室だ。
論功行賞ならば王座の間で行われるはずなのに。
執務室ではこの国の王、システマ王国ワイズ・システマが待ち受けていた。
ちなみにワイズとは学生時代の級友だったりする。
「まずは任務苦労。そして我が国に勝利をもたらしたことに礼を言おう」
「報酬の件だろ?なら、金より次の戦場をよこせ。次も勝ってみせるぜ。大船に乗ったつもりで期待しとけって」
執務室には俺たち以外に誰もいない。
タメ口でも許されるだろう。
「その必要はない」
「あー悪い。すぐにってわけじゃない。だけど、来月くらいにはなんかあるだろ?」
「いや……。エース・アブソリュート、お主を今日この日限りで第一騎士団団長の任から解き、騎士団より追放する」
「……は?」
ワイズが何を言ってるか分からなかった。
追放?俺が?なんで?
「おいおい、そんな冗談、面白くないぜ」
「冗談ではない。すでに書類も用意し、各方面に通達済みだ」
「ふざけるな!昨今、この国が連勝続きなのは全部、俺のおかげだぞ!」
これは自惚れなどではなく、事実だ。
剣でも魔法でも戦術でも、俺はこの国一番だと自負している。
「それだ」
「どれだよ!」
「エース、お主は優秀すぎる。一人で何千の敵兵に勝ってしまう程にな。しかし、余はそれを危惧している。国とは全でなければならない。突出した個は全体の調和を乱し、不和を生み出す。事実、我が国は勝ち過ぎているのだ。だが、今ならばまだ軌道修正も出来よう」
言いたいことは分かるが。
「なら、俺レベルが全になればすむ話だろ」
「いやお主、それが出来てないから現状があるのだが」
「くっ……」
そうなのだ。
俺が使う戦闘理論――剣術、体術、魔法、戦術のどれをとってもこの国のそれらとは根本的に異なる。一から十まで俺のオリジナルである。
団長として部下に教え込もうとした。
だが、何度説明してやっても理解してくれないのだ。
というか、あいつらも一応エリートでプライドだけは高いから本気で聞いちゃくれない。
「理解したようだな。余も数少ない友を追放せざるを得ないことは心苦しく思っている。許してくれ」
こうなったらもう一度、成り上がってやる。
俺の戦闘理論を理解してくれる奴らと共に。
そうだな、具体的には――
「言い忘れておった。騎士学校、冒険者ギルド、傭兵ギルドにはお主を雇った場合、反逆罪に処すと王命を出している」
「なっ!」
「加えて不要不急の場合以外は他国はもちろん、我が国の王都からも出ることはまかり成らん」
え、いや、ちょ待てよ。そんなことされたら詰むんだが。
「くくく、その顔は成り上がろうとでも思っていたな。だが、そうはさせんぞ。しかし安心するがよい。お主の今までの功績を鑑みて年金を毎年、五千万ギル与えることにする。悠悠自適、隠居ライフを楽しむがよい」
こいつ、真面目な顔して腹の中で笑ってやがったな。
そうだった、お前はそんな奴だよ。
この腹黒メガネ野郎が!
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「くっそぉぉぉ!俺がどれだけ頑張ったと思ってるんだよぉぉぉ!」
俺は酒臭い息を吐き出し、酒場のカウンターに突っ伏した。
「前国王が急逝して、あいつが歴代最年少で国王になるから不安だって言うからさ、力を貸してやったのにぃぃぃぃぃ!誰のおかげで国の内乱が早期に鎮圧され、列強に攻め込まれずに済んだと思ってやがるぅぅぅぅぅ!全部、俺のおかげだろうがぁぁぁぁぁ!」
酔って抑えが効かなくなり、しくしくと涙を流す。
「どうせ、あの腹黒メガネ野郎のことだ。五年後に俺を追放するまでが既定路線だったんだぜ。そうとは知らず張り切ってた俺を、内心で笑ってたんだ。ちくしょぉぉぉぉぉ…‥。――おい、聞いてるか、メイデン」
俺は隣で枝豆をぽりぽり食う女に声をかける。
「あー、はいはい、大変だったわねー」
こいつ、絶対聞いてやがらないな。
この女、メイデンは俺と共に王都で育った幼馴染みという奴だ。
近所に住んでるし、今でも休日にはよく遊びに行く。
彼氏彼女の関係ではないが、気が合うベストフレンドだと俺は思っている。
それで、慰めてもらおうと思って今日呼び出したのだが。
「まあ元気だしなって」
背中をバシンバシン叩かれる。
痛え。
こいつに癒やしを求めたのは間違いだったか。見てくれだけは美女と呼んで差し支えないんだが。
「てか、私からすれば何をそんなに落ち込んでいるか分からないんだけど。年金もらえるんでしょ?ワイズ君もエースの頑張りに報いてくれたわけだし、良かったじゃん」
「よくねえ!俺はもっと前線でバリバリやりたいし、それに俺の戦闘理論ならこの国はもっと強くなれるんだ!」
「でも、エースの戦闘理論って誰にも採用されなかったんでしょ」
「それなんだよなぁ……。いったんゼロから始める必要はあるが、誰にでも学べるはずなんだが……」
「じゃあさ、教えればいいじゃん」
「いやだから、もう教える場がないんだって。騎士学校も冒険者ギルドも傭兵ギルドも出禁らしいし」
「違う違う、うちで」
「うちって、私立ブルーム女学園だよな?女子校だろ?」
いくらなんでも女子には……いや、ありか?
この国は戦争が絶えないこともあって男社会だ。
女の社会的地位は総じて低い。
だが、俺の戦闘理論を叩き込むことによって男より優れた女部隊ができれば?
俺の有用性がアピールでき、再び成り上がれるのでは?
これは勝つる!
「メイデンから頼んでくれればなんとかなるのか?」
「一応、在任教師の推薦ってことになるけど、最終的には理事長次第かな」
「それでいいから頼む!この通りだ!」
「いや、うーん、でもなぁ……」
「何か採用条件があったりするのか?」
「エースの実績なら特に問題ないと思うけど、そうじゃなくて、うちって生徒は女子しかいないんだよね」
「はあ?女子校だから当たり前だろ」
「先生も女性がほとんどで、そうなると、うぅぅぅぅぅ……。あ、でも、大丈夫か!エースの好みのタイプって私だから、他の女に手を出したりしないに決まってるし!」
そうメイデンは大きな胸を張るが、しかし残念だったな、それは十才までの話だ。年々がさつになっていき、今では人の金で散々飲み食らうような奴は恋愛対象外だ。かといって女子生徒に手を出すつもりはなかったが……ふむ、戦闘理論を教え込むついでに俺好みの清楚でおしとやかな性格に育て上げることが出来れば……。
よーし、盛り上がってきたっ!
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「エース先生、貴方のような有能な方に我が校に来ていただき心強く思います。生徒達のことをどうかお願いしますね」
「こちらこそ。誠心誠意頑張らせてもらいます」
麗らかな春となった。
俺は私立ブルーム女学園の理事長室で理事長に挨拶を終える。
そして俺が担任となる1年A組の教室の前まで来る。
すぐ後ろには副担任であるメイデンがいる。
心強いと言えば心強いが、幼馴染みと同じ職場って、なんだかなあ……。
俺は気を引き締め直し扉を開ける。
私語が一斉に静まり、二十六の顔が一斉にこちらを向く。
奇異の目、警戒の目、興味なさげな目。
好意的な奴は少ないみたいだ。そりゃそうか。女子校に野郎が入ってきたらそうなるのも当然だろう。
だがな、お前達には俺の成り上がりのため頑張ってもらわなければならん。
俺は教卓に立つと、一度、生徒二十六人の顔をゆっくり見回した。
「俺の名前はエース・アブソリュートだ。この1年A組の担任となった。今日から三年間、お前らには俺の戦闘理論の全てをみっちりたたき込んでやる。覚悟しろ」
三年後の未来に思いをはせ、俺はニヤリと笑った。
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システマ王国王都では秋になるとある大会が大々的に行われる。
それが王国最強決定戦である。
その名の通り、戦闘において王国最強を決める大会だ。
個人の部と集団の部があり、優勝者には国王自らが願いを聞いてくれる。
あくまで聞くだけであって、それが叶うかは分からないが、よほど無理難題でなければ願いに沿う物が与えられる。
ちなみに、俺は個人の部で五年連続で優勝し殿堂入りしている。
一回目から四回目の願いは、来年の戦いに予選から出してくれだった。
シードになると戦う数が減ってしまうからな。
そして五回目は腹黒メガネ野郎のために下っ端をすっ飛ばして騎士団の団長にしてくれと願った。
まあ、その恩は仇で返されたわけだが。
つまり、王国最強決定戦はアピールにもってこいの場で、生徒達を三年後、その大会の団体の部に出場させるつもりだ。
だが、大会出場は俺のエゴだと分かっている。
何事もギブアンドテイク。俺の我が儘に付き合ってもらう分、彼女達の我が儘にも極力付き合うことにした。
日頃のスキンシップは欠かさない。お茶会に誘われたら行く。思春期少女達の悩みに紳士に接する。休日に呼び出されても嫌な顔しない。一人一人に時間を割き、差別したりしない。
これらは生徒との信頼関係にも繋がり、俺の戦闘理論を何も疑わず、どんどん吸収していった。
そして恋バナなどで先生のタイプは?と聞かれれば、清楚でおしとやか、と答え続けた。
誰か一人くらい洗脳されてくれる、はず。
俺の三年計画は順調に進んでいる。
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三年目に突入した。
今年、いよいよ大会に参加予定である。
キン、キン、キン――
目にも止まらない剣戟、目まぐるしい攻防。
しまった、よけきれない!
「ぐぅ」
俺は脇腹を押さえ片膝をつく。
剣で地面を突き、荒い息を繰り返す。
「勝った〜。じゃあ、センセ、ご褒美ちょうだい」
「あ、ああ」
「ぎゅぅ〜〜♡清楚でおしとやかなハグ♡」
この熱い抱擁のどの辺が?
「じゃあ、センセ、もう一回しよ」
「これ九回目ぇぇぇぇ、休憩しようぜぇぇぇぇ」
「今日はあと何回ハグできるかな〜」
剣術が俺を超えた生徒もいる。大会が楽しみだ。
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徒手空拳の戦いは佳境を迎える。
もらった!
俺は伸びきった相手の腕を引き寄せ投げ飛ばす。
だが、次の瞬間、空を舞っているのは俺の方だった。
「ぐぇ」
地面に激突し、すぐにうつ伏せにされる。
腕が決まり身動きがとれない。
「ギブだ、ギブ」
「ハァ、ハァ、ハァ♡センセのニオイ♡」
「お、おい。試合は終わった、離せ」
「だいじょうぶ♡清楚でおしとやかに触るから♡」
その卑猥な手つきのどこが?
「ちょぉぉぉぉ、待っ、どこに触ってんだぁぁぁぁ」
「ハァ、ハァ、ハァ♡」
体術が俺を超えた生徒もいる。大会が楽しみだ。
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俺は森の中を必死に逃げている。
撤退戦である。
振り切ったか!?
希望を見いだしたのも束の間、伏せ兵に取り囲まれてしまう。
「はい。センセを捕まえました」
そして俺の駒は盤上から取り上げられる。
戦争を模した兵棋演習だ。
「捕虜のセンセには尋問が必要だと思いますが、どう思います?」
「いや、これは架空のゲームで……」
「清楚でおしとやかな鞭とかいいと思うんですよ」
そんな鞭ねえよ。
ツッコみたい。ツッコみたいが、どこからか現れた鞭が恐くてツッコめない。
パシン!と空気が弾ける。
「これは架空のゲームでぇぇぇぇ」
「うふふふ♡」
戦術が俺を超えた生徒もいる。大会が楽しみだ。
###
やっと今日が終わった。もう眠い。
ああ、そうだ。自室に結界魔法で結界を張っておかないと。
最後のプライベート空間は死守しなければ……。
チュン、チュン――
ふわぁ、もう朝か。
むにゅり。
「!?」
「いやん♡センセったら、朝から大胆〜♡」
「な、なんで、ここに」
「やっとセンセの結界魔法を攻略したんだよっ」
「マジか……」
「そんなことより〜、これ、どう?清楚でおしとやかなの選んできたよ♡」
掛け布団から現れた上半身には白いブラだけ。
ブラはね?俺好みだよ?
「あー朝から頭痛え……って、なんだこれ?」
「あん♡」
「なんでメイデンまでいるんだよぉぉぉぉ。しかも、白ぉぉぉぉぉぉぉ」
魔法が俺を超えた生徒もいる。大会が楽しみだ。
……ってか、大会はよ。もう色々限界だから。
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はあはあ、何とかこの日を迎えたぜぃ。
もうあいつら怖い。口では清楚でおしとやかと言うくせに、やってることは真逆だからな。目とかギラついてる時あるし。ガクガクブルブル。
俺が震えていると、背中をバシンバシン叩かれる。
「なにブツブツ言ってるのよ。しっかりしなさい」
メイデンの声で我に返る。
俺は今、熱気渦巻くコロッセオの観客席にいる。
王国最強決定戦四日目。今日から集団の部が始まるのだ。
その開会式を皆、今か今かと待っている。
「あんたが教えた生徒でしょ?あんたが信じてやらないでどうするのよ」
「そうだな……」
いや、ぶっちゃけそこは心配してない。
俺の戦闘理論を全て継承できたと思っている。
しかも彼女達のおかげでさらに発展の余地があることさえ分かった。
唯一の失敗は清楚でおしとやかに育成、そこだけである。
「だが、メイデン違うぞ。俺達の生徒だ」
「い、いきなり何言い出すのよ!私とエース、二人の共同作業だなんて!……照れるわ」
なぜ照れる、とか思っていると貴賓席にあの男が入ってきた。
腹黒メガネ野郎こと、システマ王国国王、ワイズ・システマ。
あ、こっちに気づいたな。
首を洗って待ってやがれ!俺はもう一度成り上がってみせるからな!
俺と視線を交わした後、ワイズは集団の部の開会を宣言する。
そして出場選手が紹介アナウンスと共に入ってくる。
騎士団、騎士学校、冒険者ギルド、傭兵ギルドから計十七組。
そして――
『私立ブルーム女学園から、チーム3年A組』
制服のスカートをひるがえす一団の登場に観客がざわめく。
むさ苦しい男共の中でこのインパクトはデカい。
彼女達という存在、そして、指導者の俺という存在を無視できなくなる。
彼女達が俺に気づき、手を振ってくる。
表情に硬さは感じられない。俺は手を振り返しながら優勝を確信したのであった。
###
試合はトーナメント形式で行われる。
試合会場はコロッセオとは別の、山と森を含むフィールドだ。
チームは一部隊8人、一小隊三部隊の二十四人と補欠の六人、計三十人が登録可能。
俺達、3年A組は二十六人でギリギリであり、数字上は不利となる――まあ、関係ないが。
対戦者はそれぞれくじを引き、指定ポイントに到着後、試合開始となる。
事前に選手一人一人には防御魔法がかけられており、それを上回るダメージが与えられた時点で脱落。
勝敗は大将首を取った方が勝ち。
そんな試合を観客はコロッセオから見ることが出来る。
国宝級魔導具の「遠見の水晶」が映し出す映像によって。
この場には俺はもちろん、メイデン、理事長、生徒達の家族もいる。
試合の注目はやはり俺の生徒達に集中した。
そもそもフィールド上では遭遇戦が基本で、遭遇した後の三部隊の運用が勝敗を左右する。
だが、俺は生徒に俺のオリジナル探索魔法を教えている。
目視せずとも全ての部隊を把握でき、情報的優位の段階で戦術を立てられる。
加えて、超高度な剣術、体術、攻撃魔法。
これで負けるわけがない。圧倒的無双状態である。
連日、勝利するごとに彼女達への声援が高まっていく。
それに比べ腹黒メガネ野郎の渋い顔!
あーすっきりするわー、心が浄化されるわー。
大会七日目の最終日が楽しみだぜっ!
###
「試合終了!優勝、チーム3年A組!」
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ』
優勝!優勝!優勝だぁぁぁ!
予想していたとはいえ、三年間の苦楽がよみがえり、感無量である。
柄にもなく隣いたメイデンを抱きしめてしまった。
「あ〜ん♡エース、もっとぉ〜♡」
もっとか?ハハハ、最高に気分がいいからいくらでもいいぜ。
俺の周りの関係者一同もお祭り騒ぎ。
おーっと、腹黒メガネ野郎の顔は――ありゃ。閉会式の準備のためか引っ込んでしまった。
結果は変わらないし、今はいいか。
そして閉会式が始まる。
ポーカーフェイスのワイズ国王が貴賓席に戻ってきた。
悔しいだろ?悔しいよな?だが、これで分かっただろ。俺は戦闘理論を教えることができるし、かつてお前は俺を突出した個だと言ったが、俺レベルの全を作り出すことが可能だということを。
何が言いたいかと言えば、やっぱり俺が騎士団にいた方がいいよな!な!
出場選手達が入場してくる。
その最後を飾るのは当然、俺の生徒達。
割れんばかりの拍手と歓声。
こっちに手を振ってくる彼女達がいつになく可愛く見える。俺もぶんぶん振り返す。
ワイズの手の動きで歓声は静まり、いよいよ授賞式が始まる。
とうとう、とうとうだ。
彼女達二十六名が壇上に上がり、ワイズの前に立つ。
ワイズが威厳のある声を発する。
「優勝おめでとう。お主らの活躍、見させてもらった。性別の枠を超えた獅子奮迅の働きぶりは見事と言う他ない。お主らの存在はこれから先、列強に対する抑止力となるだろう」
ふーん、あくまで彼女達を前線に出す気はないと。
いいんじゃないか。彼女達は安全な後方任務で。
前線には俺が出るし!
「優勝者には金一封の他、余に願い事を言う権利が与えられる。して、お主らは何を願うのだ?」
彼女達が一斉にこちらを振り返る。
うん?どうした?……あ、やっべ、願い事の擦り合わせをしたことなかったな。
だが、普通に考えれば分かるだろう。
騎士団に女部隊を創設、それと共に指導者として俺も一緒に加入。
成り上がって、返り咲き、いやっほー。
これ一択である。
俺は力強く頷き、彼女達もにこやかに頷く。
この三年間で築き上げた俺達の絆は伊達ではない。さあ、お前ら、言ってやれ!
「「「せ〜の、エース先生のお嫁さんになりた〜い♡」」」
………………………………………………は?
ナニヲイッテルノ。
ちょ理事長!「あらあら、うふふ、青春ね」って俺を立たせないでくださいぃぃぃ!
え?マジ、どうすんの、これ。
はっ!ここには彼女達の家族がいるんだった。何とかあの暴走を止めるのを手伝ってもらわなければ――って、なんで皆さん、サムズアップなのぉぉぉぉぉ!
おかしい、おかしいよ。
お!メイデンがおもむろに立ち上がった。やっぱ頼れるは幼なじみ。
「あんた達の覚悟は見させてもらったわ!事前に話し合った通り、あんた達のことを認めてあげる!でも、エースの正妻の座は譲らないんだから!」
「「「はい、分かってます!」」」
事前の話し合いってなんだよぉぉぉぉ。
呆然としていると、メイデンが首に抱きついてくる。
頬に唇が当たる感触がする。
視界の向こうでは、彼女達が壇上から駆け下りて客席を上ってくるのが見える。
たどり着いた順に抱きつかれ、口づけの嵐。
『わああああああああああああああああああ』
観客の歓声と囃し立てる口笛。
どこに盛り上がる要素があるんだ、ぼけぇぇぇぇぇぇ。
誰か、誰か助けてくれぇぇぇぇぇ。
最後の希望は腹黒メガネ野郎、お、俺達、親友だよな――くっそ、あいつ、笑ってやがる。
「システマ王国国王、ワイズ・システマの名において以下を約する!エースとその妻達のために王都の一等地に屋敷を与える!また、新婚旅行先として避暑地にある王族専用の別荘、その使用権を与える!」
「「「末永くよろしくお願いします、旦那様♡」」」
どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
優秀すぎて追放されたので優秀な部下を自分で鍛えようとしたのだが(大敗北) のの字 @nonojinoji
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