56.シャララン言わしとる。

「何見てんだよ!」


「文句あるか!」


「何だバカヤロウ・・・・」


 一糸乱れぬフォーメーションの家康さんたちを見送った後、フラフラのわたしが、フラフラの小早川こばやかわさんとフラフラ話していると、背中から声かけられました。


「いやはや、権兵衛ごんべえさん、無事でホンマなりよりでした(シャララン)」


 振り向くと、策伝さくでんさんが立っていました。権兵衛ごんべえさんの鈴ついた服着て、清々しく、シャラランと立っていました。


「おくにさんに服を貸してしまいましてな(シャララン)、着るもん無いんで替わりに権兵衛ごんべえさんの服貸してもらいました(シャララン)」


 策伝さくでんさんは、権兵衛ごんべえさんの服を、めっちゃ着こなしてました。手と足の丈の長さが足らんので、ちょっとツンツルテンになっとるけど、権兵衛ごんべえさんの服を、めっちゃ着こなしてました。


策伝さくでんさん、めっちゃ似合います。でも、権兵衛ごんべえさんが着てたときと鈴のが違いすぎません??」


 わたしがたずねると、策伝さくでんさんは、清々しく、シャラランと答えました。


「・・・煩悩の差ですな(シャララン)」


 わたしは、めっちゃ納得しました。お坊さんの策伝さくでんさんと、わたしのふとももにしか興味ない、リアルガチでアタマがアレな権兵衛ごんべえさんとは、煩悩の量が全然違うと思います。


 フラフラのわたしが、シャラランな策伝さくでんさんと、フラフラ、シャララン話していると、また背中から声かけられました。


「これは、これは、皆様おそろいであろう?」


 振り向くと、三成みつなりさんが堂々と立っていました。なんや一皮むけた感じがする、三成みつなりさんが堂々と立っていました。


「そろそろ、すべらない話が始まり申す。大阪城の大広間に向かうであろう?」


 一皮むけた、三成みつなりさんは、堂々と大阪城に向かって歩き出しました。

 わたしは、フラフラしながら大阪城に向かって歩き出しました。

 小早川こばやかわさんも、フラフラしながら大阪城に向かって歩き出しました。

 策伝さくでんさんは、シャラランしながら大阪城に向かって歩き出しました。


 大阪城の大広間で、すべらない話の続きをするために、わたしたちは、堂々、フラフラ、フラフラ、シャラランと向かって行きました。


 横一列になって、みんなで、堂々、フラフラ、フラフラ、シャラランと歩きました。


 わたしは、なんやハリウッド映画みたいや思いました。普段はいろんなとこで主人公しとる人たちが、めっちゃ悪い人退治する映画みたいやと思いました。


 わたしは、ゆっくりスローモーションになって、ハリウッド映画みたいに歩いとるとこ想像しました。


 実際は、堂々と歩く三成みつなりさんが、めっちゃせっかちに早歩きするから、置いていかれんように、フラフラ必死で早歩きしとったけど、脳内では、ハリウッド映画みたいに、スローモーションになって、堂々、フラフラ、フラフラ、シャラランと、大阪城の中に入って行きました。

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