55.声が小さい!!

 熱湯風呂が終わった私は、ボーッとしながら。立派なマネージャーの策伝さくでんさん探して、めっちゃフラフラ歩いていました。すると・・・


  ゴチん!!


 めっちゃ怖いおっさんにぶつかりました。


「何だバカヤロウ!」


 めっちゃ怖いおっさんはわたしに向かって言いました。


「すみません! ボーッとしてました!」


 ボーッとして、うっかりしていたわたしは、めっちゃ謝りました。

 めっちゃ怖いおっさんはわたしに向かって言いました。


「何見てんだよ!」


「ご、ごめんなさい!」


 わたしが、もう一回めっちゃ謝ると、めっちゃ怖いおっさんはわたしに向かって言いました。


「文句あるか!」

「すみません・・・」


「何だバカヤロウ!」

「すみません・・・」


「何見てんだよ!」

「すみません・・・」


「文句あるか!」


  ・

  ・

  ・

 これは

  ・

  ・

  ・

 なんなん?

  ・

  ・

  ・


 わたしがパニックになってると、背中の方から声がしてきました。


酒井さかい殿、お久しぶりでございます」


 振り向くと、山名やまなさんが無表情で立っていました。カカシみたいに無表情で立っていました。


「何だバカヤロウ!」


 めっちゃ怖いおっさんは、今度は山名やまなさんに向かって怒鳴りました。

 山名やまなさんは、カカシみたいに無表情のまま、めっちゃ怖いおっさんと会話を始めました。


「ご健勝でなりよりでございます」

「何見てんだよ!」


「本日は、四天王の皆様も、御伽噺おとぎばなしをご覧になられるのですな?」

「文句あるか!」


「どうかお楽しみくださいませ」

「何だバカヤロウ!」


  ・

  ・

  ・

 だからこれは

  ・

  ・

  ・

 なんなん?

  ・

  ・

  ・


 わたしが、パニックなってると、めっちゃ怖いおっさんの後ろにいた、めっちゃゴリラのおっさんが、山名やまなさんに話しかけてきました。


「オィっーーーす!!」


 山名やまなさんはカカシみたいな無表情で、めっちゃゴリラのおっさんに返事をしました。


「これはこれは、家康いえやす殿」


 山名やまなさんが話しかけると、めっちゃゴリラのおっさんは、めっちゃ大きい声で言いまいた。


「声が小さい! もういっちょ!! オィっーーーす!!」


「ご健勝でなりよりでございまぁーーーーーーーす!!!」


 声が小さい言われた山名やまなさんは、めっちゃ大きい声で、返事をしました。


  ・

  ・

  ・

 さっきから

  ・

  ・

  ・

 ほんま

  ・

  ・

  ・

 なんなん?

  ・

  ・

  ・


 わたしのパニックがピークに達していると、近くに救世主がおることに気がつきました。救世主の小早川こばやかわさんがフラフラ歩いてるのに気がつきました。


 わたしは、すがる想いで小早川こばやかわさんとこ駆けて行きました。


「あ、ソロリちゃん・・・」


 小早川こばやかわさんは、真っ青な顔して、フラフラしてました。


「だ、大丈夫なんです??」


 わたしは、心配になって小早川こばやかわさんに聞きました。


「いやー、寝不足でねー。そんなことより権兵衛ごんべえ殿は・・・!?」


 小早川こばやかわさんは、いの一番に権兵衛ごんべえさんのこと聞いてきました。


「大丈夫です。熱湯風呂は無事終わりました。権兵衛ごんべえさんは、今お医者さんに診てもらっています」


 わたしが答えると、小早川こばやかわさんは、目頭をおさえて、フラフラしながら言いました。フラフラの声で言いました。


「いきててよかった。よーーかったーー」


 わたしは、小早川こばやかわさんは、やっぱりめっちゃ優しい思いました。優しくてエライ、仁将じんしょうや思いました。


 わたしは、優しくてエライ、仁将じんしょう小早川こばやかわさんに質問しました。体調悪いところ申し訳ないけど、パニックになってたんで質問しました。


「・・・山名やまなさんと話している人たち、誰なんです?」


「あーーー、家康いえやす殿と、その重臣の徳川とくがわ四天王だよ。

 酒井さかい忠次ただつぐ殿、

 本多ほんだ忠勝ただかつ殿、

 榊原さかきばら康政やすまさ殿、

 井伊いい直政なおまさ殿だよーーーーーーー」


 小早川こばやかわさんは、寝不足なのに、ていねいに教えてくれました。


 真ん中に立ってるめっちゃゴリラが家康いえやすさん。

 家康いえやすさんの前に立ってる。めっちゃ怖いおっさんが酒井さかいさん。

 家康いえやすさんの右に立っとる、めっちゃ太って眠そうなおっさんが本多ほんださん。

 家康いえやすさんの左に立っとる、めっちゃ特徴のないおっさんが榊原さかきばらさん。

 家康いえやすさんの後ろに立っとる、ちょっとだけよ・・・やない、ちょっとだけカッコええんが井伊いいさんでした。


 わたしは、家康いえやすさんしか知らんけど、徳川とくがわ四天王の人たちは、家康いえやすさん中心に、めっちゃ完璧なフォーメーション築いてました。

 K-POPの、めっちゃ人気な男性アイドルグループみたいに、めっちゃ完璧なフォーメーション築いてました。

 普段からめちゃ練習して、こんにちまで築き上げてきた、めっちゃ完璧なフォーメーションやと思いました。


「さっき、あの人たちと茶会開いてたんだよねー。ちょっと前に死んじゃった人の送別会と、ちょっとした会議があってねー」


 寝不足の小早川こばやかわさんは、フラフラしながら言いました。

 わたしは、寝不足なのに家康いえやすさんみたいなエライ人と朝から会議する小早川こばやかわさんは、大変やなて思いました。


 カカシの山名やまなさんは、無表情で言いました。


「では、小早川こばやかわ殿、ソロリちゃん、我らは先に・・・」


 カカシの山名やまなさんと、家康いえやすさん、徳川とくがわ四天王のみなさんは、大阪城の中に入って行きました。


「何だバカヤロウ!」


「何見てんだよ!」


「文句あるか!」


「何だバカヤロウ・・・・」


 家康いえやすさんと徳川とくがわ四天王のみなさんは、めっちゃ怖いおっさんの酒井さかいさんの号令に合わせて、一糸乱れぬフォーメーションで、大阪城の中に入って行きました。

 K-POPの、めっちゃ人気な男性アイドルグループみたいに、めっちゃ完璧なフォーメーションで、大阪城の中に入って行きました。


 山名やまなさんは、家康さんたちの三歩ほど後を、静かについて行きました。


 わたしは、去っていく家康さんを見ながら思いました。

 この時代のめっちゃエライ人はみんな、めっちゃゴリラなんやな。て思いました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る