51.あとほんのちょっとであろう?

「キャーー〜ーーー〜!」


 わたしは、めちゃ黄色い声出して、トップスターのおくにさんと歌って踊りました。


 わたしは、確信しました。おくにさんは、これからずっとセンター張り続けるトップスターや思いました。歴史に名を残すトップスターや思いました。


 会場は、大盛り上がりでした。みんな、策伝さくでんさんの服着て男装した、おくにさん見て大盛り上がりでした。


 わたしのこと見てる人も、ちょっとだけいるけど、そんな人はみんなわたしのふともも見てました。


 わたしは、おくにさんに、嫉妬しました。でも・・・しゃーないな。思いながら、ニコニコしながら歌って踊りました。


 たった一曲しかセンターできんかった、わたしと違うて、お国さんは、本当のアイドルや思ったからです。ずっとセンター張れるトップスターやて思ったからです。


 歌って踊りながら、わたしは泣けてきました。なんだか涙出てきました。ニコニコしながら涙流しました。


 わたしは、トップスターと歌って踊って嫉妬しました。でも、誇らしくもありました。歴史に名を残すトップスターと同じ舞台に立てて、めっちゃ誇らしく思いました。


 ステージで歌って踊れる楽しさと、嫉妬と、誇らしさ。わたしはいろんな感情混ぜこぜにして、ニコニコしながら涙流しながら歌って踊りました。割合でいうたら、28対32対31くらいです。


 凄腕バンドマンの山三郎やまさぶろうさん達の演奏の終わりに合わせて、おくにさんとわたしは、決めポーズしました。


 会場は大盛り上がりでした。ちぃちゃいゴリラの関白かんぱくはんも、スタンディングオーベーションの大喝采あげました。


 わたしは、深々とおじぎをすると、チラッと後ろを見ました。布に覆われた熱湯風呂のセットから、ニュッと手が出てました。真っ赤に茹で上がった手は、「ちょっとだけ」ってジェスチャーしてました。三成みつなりさんのちぃちゃいバナナとおんなじジェスチャーでした。


 あかん、もうちょとだけ熱すぎるんや・・・。


 わたしは、お国さんに、


「もうちょっとだけ挨拶しててください!」


って言って、白い布「バサァ」言わして、熱湯風呂のセットの中に入りました。


「ソロリちゃん、もうちょっとだけ時間が必要であろう!」


 茹で上がった手で、自分のバナナを表現したままの三成みつなりさんが言いました。


「でも、もうやれる曲ない! トップスターのおくにさんに、もうちょっとだけを持たせてもろうてるけど、もう限界や!」


「口惜しい、もうちょっと・・・あとほんのちょっとであろう?」


 三成さんは、茹で上がった手で、ずっと自分のバナナを表現し続けていました。三成みつなりさんのバナナは、力なく、どんどんしぼみ続けていってました。


 そんな、しぼみまくった自分のバナナを表現している三成みつなりさんのこと見て、服剥ぎ取られて、ふんどし一丁になった策伝さくでんさんも、一緒にしぼんでました。


 でも・・・もうやるしかない!


 わたしは、三成みつなりさんに聞きました。昨日、覚えたての言葉使うて、三成みつなりさんに聞きました。


権兵衛ごんべえさんは、恥将ちしょうですか? 小早川こばやかわさんとおんなじくらいの、立派な【恥運ちうん】ありますか?」


 三成さんは、自信にみなぎる顔して言いました。


権兵衛ごんべえ殿こそ、真の恥将ちしょうであろう! 小早川こばやかわ殿など足元にも及ばぬ、天下一の恥運ちうんの持ち主であろう!!」


「じゃあ、その恥運ちうんにかけましょう!!」


 わたしと三成みつなりさん、そして、服剥ぎ取られて、ふんどし一丁になった策伝さくでんさんは三人そろってうなづきました。


 わたしと三成みつなりさん、そして、服剥ぎ取られて、ふんどし一丁になった策伝さくでんさんは、「バサァ」言わして、白い布をはぎとりました。


 白い布は、「バサァ」言わして、はぎとられました。

 ふんどし一丁の権兵衛ごんべえさんを突き落とす、熱湯風呂のセットは丸裸になりました。

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