41.どんな罰ゲームなんやろ?

 関白かんぱくはんは、振りかぶった右手を、思いっきり権兵衛ごんべえさんに振り下ろしながら、思いっきり声を張り上げました。


「打ち首! 獄門!!!」


 わたしは、打ち首獄門やなくて「結果発表!」みたいな言い方なやと思いながら、ニコニコしながら拍手をする準備しました。


 「打ち首獄門!」ってどんな罰ゲームなんやろ? 思いながら、ニコニコしながら拍手をする準備しました・・・でも、大阪城の大広間はシーンってなってました。ギンギンに冷え切ったままでした。


「・・・御意ぎょいにござります!!」


 権兵衛ごんべえさんは、ブルブル震えて、汗をだくだく流しながら、関白かんぱくはんにおじぎをしました。


 関白はんは、おじぎをしてる権兵衛ごんべえさんを、怖い目で「ジィー」にらみました。そして、しばらく考えてから、突然「ニカッ」と笑顔になって言いました。


「まぁ・・・お前とワシの仲や。百歩譲って切腹で勘弁してやる! お前の家族はワシが責任持って面倒みるさかい、安心しぃ!」


「!! ・・・ありがたき・・・幸せ!!」


 権兵衛ごんべえさんが、頭をあげて言いました。身体をブルブル震わせて、涙だくだく流しながら言いました。


 大阪城の大広間は、ギンギンを通り越して、ゴキンゴキンに冷え切っていました。

 ゴキンゴキンの空気のなか、関白かんぱくはんは、声を張り上げした。


三成みつなりぃ! 権兵衛ごんべえの切腹の儀は、明日の御伽噺おとぎばなしの前にやるさかい、準備しとけぇ!」


「ははぁ!」


 三成みつなりさんは、汗だらだら流しながら一目散に大広間から出て行きました。

 大広間におったお客さんも四人ほど立ち上って、そのうち二人は、三成みつなりさん追っかけて、急いで出て行きました。残りの二人は、涙流しとる権兵衛ごんべえさんを抱きかかえて、大広間から出て行きました。


  ・

  ・

  ・

 これは

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  ・

  ・

 なんなん?

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  ・

  ・


 わたしは、さっぱりわからんので、隣にいるカカシやけど「はぁ」とため息ついた山名やまなさんに、こっそり耳打ちしました。


「(あの・・・権兵衛ごんべえさんどうなるんです?)」


 山名やまなさんは、しばらく黙っとたけど、少しだけ眉をしかめて言いました。


「(腹を切るのでございます。自分で自分を殺すのです)」


「アッかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」


 わたしは、思わずめっちゃ大きな声出しました。山名やまなさんの耳元で、「結果発表!!」くらい、めっちゃ大きな声出しました。山名やまなさんは、耳キーンってなって、その場にうずくまりました。


 わたしは、思いました。強く強く強く強く強く思いました。

 自殺はあかん! ダメ、絶対!!


 



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