23.大事に仕舞わせてもらいます。

「銅像があると言う事は、その人魚は、尊いお人であろう? 御仏みほとけ比肩ひけんする尊いお人であろう? その人魚は、尊いお人であろう????」


「はい!」


 わたしは、元気にニコニコしながら答えると、カカシみたいな山名やまなさんは、無表情で言いました。


「なるほど、伴天連バテレンの方々にとっては、人魚は尊いのですな。時と場所で、名前の為す意味は変わるが定石。ソロリちゃん、失礼いたしました」


 山名やまなさんは、わたしに頭を下げました。ちょっとなにいってるかわからんけど、わたしは、


「ええですよ」


と、ニコニコしながら言いました。


 山名やまなさんが頭をあげると、ちぃちゃいゴリラの関白かんぱくはんが言いました。


「ほんならソロリちゃん、その伴天連バテレン人魚がどないな姿か教えくてれんか? 仏師に見せるさかい。おい、三成みつなり!」


「はっ! 誰か、すずりと筆と紙を用意しろ!」


 三成さんは、すっくと立ち上がると、エラそうに命令しました。てっきり三成みつなりさんが持ってくる思っとったら、エラそうに命令しただけでした。だったら関白かんぱくはんが直接頼めばええんちゃいます? って思いながらニコニコしてると、わたしの前にお習字セットが用意されました。


「じゃあ、書きますね」


 わたしは、千葉の方におる・・・アリ・・・アリエ・・・忘れたけど、その人の事思い出して書きました。


 ・

 ・

 ・


「できました!」


 わたしは、人魚を描き終えると、元気よく言いました。

ちなみに、こんな感じです。


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%93%E3%82%A8#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E8%82%A5%E5%BE%8C%E5%9B%BD%E6%B5%B7%E4%B8%AD%E3%81%AE%E6%80%AA%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%93%E3%82%A8%EF%BC%8F%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%93%E3%83%B1%EF%BC%89.png


(わたしがおる時代より、かなり後に描かれたみたいやけど、そっくりなんでリンク貼っときます。コピペして使ってください。

それにしてもそっくりや・・・この人、わたしの絵をパクったん違います?)


(あと、名前の方パクった人もおるみたいです。わたしはこの人の絵みたら自分の絵に自信持てました)


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%A8_(%E5%A6%96%E6%80%AA)


(リンク貼っときます。コピペして使ってください。)



 関白かんぱくはんは、完成したわたしの絵を見て「・・・・ほぉー」と、冷めた顔で言いました。

 山名やまなさんは「松平まつだいら様と良い勝負でございます」と、無表情で言いました。

 策伝さくでんさんは「ご利益りやくがありそうですな?」と、わたしを見ながら優しく言いました。

 三成みつなりさんは「ご利益りやくは、子宝こだからですかな? いや、疫病退散えきびょうたいさんですかな?」と、わたしを見ながら優しく言いました。


 そして最後に小早川こばやかわさんが「いやぁーお上手! ソロリちゃんは、絵がとってもお上手!」と、ニヤニヤしながら言いました。

 わたしにジェスチャーでバナナ食べさせた時みたいに、ニヤニヤとイジワルな顔して言いました。


 わたしは、恥ずかしくなりました。ジェスチャーでバナナ食べさせられた時も恥ずかしかったけど、今の方がよっぽど恥ずかしいです。


 下手な絵描いて、下手な絵を全力で褒められて、ほんまにもうめっちゃ恥ずかしくなりました。


 わたしがニコニコするんも忘れて、恥ずかしくしていると、関白かんぱくはんが、策伝さくでんさんに聞きました。


策伝さくでん和尚、この絵、どないする?」


 策伝さくでんさんは、わたしに頭を下げながら言いました。


干支かんし七度巡る未来よりこられたソロリちゃんの絵は、とてもとても貴重なお宝でございます。

備前国びぜんこくに建立している大雲寺だいうんじの、門外不出の秘宝として、絶対、誰にも見られん様に、倉の奥の奥の隅っこーーーーに、大事に仕舞わせてもらいます」

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