第6話 次は

魔人を倒し、辺境でカルト教団を壊滅させ、更には100年に一度起こると言われいる魔物の狂乱デスカーニバルを治める。

気付けば俺は全世界から勇者と称えられるまでになっていた。


「御飯たべるにゃん?」


共に戦い抜いてきたせいか、気づけばワナビーは俺にべったりだった。

語尾もにゃんに変わって、デレ度100%だ――女神様のアナウンス曰く。


「あ!まだ駄目ですよ!下処理しただけの肉を皿に乗っけないでください!」


シィも魔竜討伐で奴隷身分から解放されているにも拘らず、俺を主人と慕い、危険な旅について来てくれていた。

危険な戦いの中に身に置いているとはいえ、正に幸せの絶頂と言っていいだろう。


因みに、お姫様との結婚はBMIが凄い感じだったので丁寧にお断りしている。


「勇者様!」


購入したばかりの新築一軒家の扉が乱暴に開かれ、兵士が飛び込んで来る。

顔から汗を噴き出し、その息遣いも荒い。

相当急いでいたのだろう。

本来なら「人の新築に何してんじゃおら!」という所だが、緊急事態の様なので水に流しておいた。


「どうした?」


「ま、魔王が!」


「魔王?」


「禁断の大地より!魔王を名乗る物が魔物を引き連れ人間の世界に攻め込んできました!」


「なんだって!?」


禁断の大地とは、かつて人類が禁断の魔物達を封印したと言われる場所だ。

そこに封印された魔物達は、通常の魔物とは比べ物にならない程に強力で狂暴と言われている。

どうやらその魔王とやらが封印を突破して、人間に復讐を企てている様だ。


≪ピンポンパンポーン!ラスボス戦です!頑張ってください!≫


女神様がラスボスと告げる。

どうやら今までの雑魚と同じと考えるのは、危険な様だ。

相手はラスボス、滅茶苦茶強いに決まっている。


「山田」


「山田様」


アナウンスを聞いて深刻な表情をしていた俺を心配してくれたのだろう、俺の右手にワナビーが、そして左手にはシィがその手を重ねて来た。

2人の温もりが、俺を心から信じる力強い眼差しがが俺に力を与えてくれる。


「魔王討伐に向かう!案内しろ!」


「勇者様!お願いします」


覚悟を決めた俺は魔王討伐へ向かう。

それは激戦だった。

だが辛うじて俺は魔王に勝利を収める。


「見事だ……気様の様な強者に撃たれるのならば悔いはない」


そう言い残し、魔王は朝日の中消えていく。


「「やっまっだ!やっまっだ!!やっまっだ!」」


兵士達による山田コールが起きた。

俺の左右には愛する二人が立ち、俺を見つめている。


これぞまさに異世界転生だ。

ありがとう神様!


ジリリリリリリリリリリリ。


耳元で金属をんが響く。

目を開けると、底はベッドの上だった。

ですよねー。


「良い夢だったなぁ……もっかいねよ」


俺は枕元の目覚まし時計を止め、再び布団に潜り込んだ。

取り敢えず、キャッキャウフフ成分をより強いラブコメの夢を見たい所だ。


おやすみなさい。

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異世界ショート まんじ @11922960

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