第5話 姫様だからって美人とは限らない
「見事だ。勇者山田よ。そなたの雄姿、確かにこの目に刻み付けさせて貰った」
暗黒竜何とかを倒し一息ついていると、王様が手を叩きながら此方へとやって来た。
巻き込まれない様に遠くへ逃げたとばかり思っていたのだが、中々肝の据わった人物の様だ。
「願いの方は……」
「国王の名に賭けて、そなたとの約束を果たそう」
まあ闘技場で優勝して、その上で強力な竜討伐迄果たしているのだ、ここまでやって断られたらぶん殴ってる所だ。
「山田様!」
「良かったな。シィ」
「はい……はい!」
シィが俺に抱き着いて来る。
彼女は小柄ではあるが、一応出る所は出てる。
その柔らかい感触に俺はにやけた。
やはり人助けはするもんだ。
「勇者山田よ。貴殿を真の勇者と見込み、お願いしたい事が」
王様の傍にいた赤い鎧の隻眼の騎士が、前にでて俺に膝を折って頭を下げる。
厄介事の予感だ。
「この国の東に魔人の封じられし遺跡があります。我が国お抱えの予言者の話によると、どうもその魔人は既に復活しており、今現在力を蓄えているとの事。どうかその魔人討伐にご助力願いたい」
「って事は、この大会はその魔人討伐の兵士を集める為の物だったって訳か」
「御慧眼痛み入ります。軍を動かせば民に不安を抱かせてしまいます。力ある物を集め、内々に処理する積もりでした。どうかお力添えを」
分かり易い展開だ。
「分かりました。魔人は俺が倒してきます」
「おお!ありがとうございます!」
俺は二つ返事でオーケーを返す。
折角奴隷を解放しても、国が滅ぼされてしまったのでは意味がない。
シィの為にももうひと働きするとしよう。
「勇者山田よ。魔人を倒した暁には、褒美として我が自慢の娘を其方の妻とする事を許そう」
「いやまその……それはちょっと考えさせて貰っていいですか?人生の一大事何で、そう軽々とは決められませんし」
王様が褒美に娘をくれると言うが、そっちへの返事は言葉を濁す。
姫様という響きには引かれる物があるが、性格が悪かったり、どうしようもない顔面偏差値の危険も孕んでいる。
どうしようもないのを嫁さんに押し付けられるとかは、出来れば避けたい。
せめて顔だけは見て決めないと、リスクが高すぎる。
「む、それも。そうじゃの、わしとした事が気がはやってしまったわい」
「まあ何にせよ魔人は俺が倒して見せますんで、ご安心ください」
「うむ、頼んだぞ。勇者よ!」
こうして俺は魔人を倒す為、ワナビーと二人で東の遺跡へと向かうのだった。
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