第8話 終了

 予備兵力が、死んだ。最後の一人は、自分。


 走って逃げる。


 後ろからは、敵指揮官が一人と、雑魚がかなりの数。


「おい待てえ」


 追ってきている。

 まだ、こちらの狙いには気付いていない。


 この時点で、能力差はわずかに相手の優位。こちらがどんなに抵抗しても、所持能力差で自分が負ける。そういうゲーム。


 だから。


 能力差をひっくり返す。


 それで、このゲームは勝てる。


「全体指揮官に感謝だな」


 おそらく、この絵図を見据えた上で、自ら倒れたのだろう。後方支援の自分には及びもつかない、戦局の読みの深さ。さすがだった。


 たどりついた。ここへ。


「あっ」


 相手の指揮官。気付いたらしいが、もう、遅い。


 目の前。全体指揮官を狙撃した敵が、転がっている。おそらく、全体指揮官のカウンターによるデバフ効果で動けないのだろう。


「頼まれたからな。全体指揮官の能力。返してもらうぞ」


「くそ。負けたわ」


 転がっていた動けない敵を、倒す。


「あ。ああ」


 敵の指揮官。表情に絶望が広がる。


「さあ。圧倒的能力差だ。これで俺たちが勝ちだな」


 ラストスタンドは。


 自分。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

膠着する終盤戦 春嵐 @aiot3110

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ