第5話わくわく!新婚生活スタートです!

結婚式にお披露目会もつつがなく終わり、とうとうシリウス様と一緒に暮らす時が来た。

待っていました…。待ってましたとも…。18年間ずっと。

わたしは一人喜びに打ち震えていた。

シリウス様と過ごす新居は王都の中心で貴族ばかりが済む一等地。

父と母が結婚祝いにと用意してくれたものだった。

大きさ自体はそんなに大きくなく使用人も5名だけとこじんまりした家だった。

公爵令嬢にしては規模が小さいが、贅沢したい訳じゃないからちょうど良かった。


それに中心地に住むことしたのには訳がある。

有事の際にすぐにシリウス様が駆けつける事が出来るようにだった。

小さいといえど、家自体は豪華!

私を甘やかしすぎな気もするけど…今は有難く受け取っておこう!

小説で稼げるようになったら恩返ししたらいいし…。


「ミリー…。引っ越しの片づけは終わったか?」


「シリウス様!」


私は自分の部屋で荷物を整理していたが、シリウス様が様子を見に来てくれた。

いやだ!!この子ったら優しい所もあるじゃない~。うんうん。

やっぱり私の思っていたとおりね。


「はい!大方片づけは終わりました」


「そうか…ミリー…あのだな…」


「どうしたんですか?シリウス様」


「…でいい」


「えっ?」


「シリウスでいい…様は…いらない」


「あ…」


まぁ!!何この子照れちゃって~。ほんとうに可愛い!!

なるほどなるほど~。私に様ってつけて呼ばれるの嫌だったのね。ふふふ…。

だめだわ。思わず顔がニヤニヤしてしまうわ。


「じゃあ。シリウスって呼びますね♪」


「ああ。今日から宜しく頼む…」


「はい!こちらこそよろしくお願いします」


シリウスがそっと右手を差し出してきて握手を求めてきた。

普通は男性同士で行う事なのだが、彼とは対等な立場だからいいだろう。

私も手を差し出して応じた。

なかなかいいスタートじゃない♪


「一緒に…食事をと思ってな…」


「ありがとうございます。ご一緒いたします」


それで迎えに来てくれたのか~。優しい子だな~。

女嫌いで冷たいって言われているけど…全くそんな事ないわ。

きっと無口だから誤解されやすいのねきっと。

シリウスにエスコートされて私はダイニングへ行った。

既に食事ができるように準備されていて、綺麗に整えられていた。


「じゃあ。ペンドラゴン様やシリも一緒に食べていいですか?」


「なに?」


「駄目でしょうか?みんなで食べた方が楽しいと思ったのですが…」


「いや…ダメではないが」


「あっ!ペンドラゴン様は大きいですものね…一緒は難しいですよね!」


『そんな事はない!ミリーよ。我はどんな姿にも変化できるぞ』


そう言うと人間の姿になったペンドラゴン様がシリウスの影から現れた。

真っ赤な癖のある腰まである長い髪の毛に、ルビーのように輝く濃くて赤い瞳。

それにシリウスに負けないくらいの整った顔。

シリウスが綺麗な顔立ちなら、ペンドラゴン様はワイルド系。

彫りが深くて、鼻も高く男らしい顔立ちだった。


『素敵です!ペンドラゴン様』


『うむ。苦しゅうない。もっと褒めて良いぞミリー』


『カッコいいです。男らしいです!!イケメンです~』


『ちょっと!ペンドラゴン!あんまりミリーに近づかないでよ』


『たわけ。なぜ我がいちいちお前の許可を得ねばならないのだ』


『お前達少しは静かにしろ…。食事の時間だぞ』


『すみません…シリウス。私ったらつい興奮して…はしゃいでしまって…』


しまった~。シリウスが怒ってしまったわ…。

騒がしくされるのが苦手なのね…。気を付けないといけないわ…。


『いや…ミリーにいったんじゃない…』


『怒ってませんか?』


『ああ』


『良かったです』


『…っ!!さ…さっさと食べるぞ』


『はい!』


『うむ。久しぶりの人間の食事だな』


『私は結構前から食べてるけどね~。ペンドラゴン、あんた初心者なんだから食べ方教えてあげましょうか?』


『ふん!お前に教えを乞うほど、我は落ちぶれてはおらぬわ』


『もう…シリったら…あんまりペンドラゴン様を怒らせてはダメよ!』


『はぁい…』


『じゃあ!皆で仲良く頂きましょう!』


私達は4人で美味しく夕食を頂いた。

シリとペンドラゴン様は相変わらず口喧嘩ばかりしているし

それにちょいちょい、仲裁をするシリウスが見ていてとても微笑ましかった。

ふふふ…。賑やかね~。

やっぱり食事は大勢で食べた方が美味しいわ…。

それに料理もとても美味しい~。うちの料理人は優秀ね。


「ミリー…ありがとう」


「何がですか?」


「食事が…こんなに楽しいのは…初めてだ。ミリーのおかげだ」


「ね?言ったでしょう?一緒に食べるのは大切だって」


「ああ。そうだな…」


いやだ!!何この子…いい子じゃな~い!!

こんなに素直にお礼が言えるなんて…。おばあちゃん感激だわ。

これなら今後の夫婦生活もうまくいくわきっと。

私は料理を頬張りながら、そんな事を考えていたのだった。


『うまいな!この鶏肉など焼き加減が絶妙だ』


『ペンドラゴン様に喜んでもらえて良かったですわ』


『ここの料理人は優秀だな。褒めて遣わすぞ』


『ふふふ…。後で伝えておきますね』


『うむ!』


まぁまぁ!ペンドラゴン様ったら美味しそうに頬張って…可愛いわ!!

大型犬がご飯をバクバク食べてるみたい…。

やっぱりイケメンはご飯を頬張ってもイケメンなのね~。

シリもとっても綺麗でお上品だし…。ああ。幸せだわ…。

こんな素晴らしい光景を眺めながら食事ができるなんて…。後でメモしよう。


『どうしたんだ?ミリー』


『幸せだなって思ってました』


『幸せ?』


『はい!こんな美味しい料理をこんなに素晴らしい人達と一緒に食べれるなんて…シリウスと結婚できて私は幸せだなって♪』


『…っ!!』


またシリウスは驚いた顔で固まってしまった。

私…また何か気に障るような事言ってしまったのかしら…。

あらまぁ…どうしましょ?


『き…君はよく…そんな事を恥ずかしげもなく…言えるな…』


『ほほう…。なんだシリウスそなた…照れておるのか?』


『ほんとだ!真っ赤じゃない。可愛い~シリウス~』


『うっ…うるさいな!からかうな。お前達』


『ふふふ…。シリウスって照れ屋さんなんですね』


『ブハハハ!シリウスが…照れ屋…これは傑作だ!』


『ペンドラゴン!うるさいぞ』


『これが黙っておれるか!それ、酒をもっと運ぶのだ。今日はシリウスを肴に宴会だ!』


『わーい!お酒大好き~♡』


シリもペンドラゴン様もとっても上機嫌で湯水のごとくお酒を飲んでいた。

シリウスはそんな二人にいじらててちょっと可愛い…。

まぁ…あの二人にかかったら、赤ちゃんをあやすみたいなものよね~。

何てったて私よりも年上だもの。

でも…真っ赤になって照れてるシリウスは本当に初心な反応で良いわ…。

うちの孫の婿に是非とも来て欲しいくらいよ!!無理だけど!!


「じゃあ…そろそろ寝室へ行くか…」


「はい!」


『そなたらは今日が初夜だな!シリウス精々ヘマをせぬようにな…』


『…っ!!…余計なお世話だ!』


「シリウス?どうしたの?」


「いや…なんでもない」


どうしたのかしら?急に二人でこそこそ話をして…。

普段から私はシリやペンドラゴン様の声は聞こえるけれど

今の会話は契約主と魔獣にしか分からない言葉で話をしていた。

まぁ…聞かれたくない話もあるわよね~。でも私はちっとも気にしないわ。


シリウスと一緒に寝室へ行き部屋に入った。

シリウスはエスコートしてくれたけど、さっきからなんだかぎこちない…。

どうしたのかしら?お酒飲みすぎ?


「…ミリーいいのか?寝室が…その…一緒でも」


「ええ。問題ないですわ」


「…そうか」


「私は別の部屋で寝ますもの♪」


「えっ?」


「あら?言ってませんでしたっけ?シリに頼んでこの部屋に別空間を作ってもらったんです」


「なに…」


「だから、どうぞ私の事はお気になさらずゆっくり休んでくださいね♪」


「え…ちょ…」


「ではおやすみなさい。シリウス」


そう伝えて私はシリに別空間の扉を開いてもらいその中に入った。

大精霊だけが使える魔法で、ちょっと対価は高くなるけど

好きな場所に違う部屋を別空間につなげてそこに住むことが出来るのだ。

なんて便利なのかしら!

いくら夫婦と言ってもさすがに同じ部屋で寝るのはまずいでしょ。

男の子は狼だものね~♪ふふふ。


かと言って寝室別々にしている所を使用人に見られたら不仲説を流されかねない。

一緒に寝室に入ってそこから別々に寝て、朝一緒に部屋から出てきたら問題解決♪

私も夜は今日見た事をまとめたいから一人になれて、気楽でちょうどいいし。

ふんふーん♪ああ。素敵な生活だわ…。

よ~し。早速、小説のネタをまとめるわよ~。


その日私は遅くまで小説のネタまとめにいそしんだのだった。



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私と契約結婚してください!~女神様がご褒美くれると喜んでいたらまさかの異世界転生!?96歳のおばあちゃんは自由気ままな人生を送りたい~ フォレスト @0625_forest

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