第4話 転生前にて2

「それで? まだ何かやんですか?」


「え〜っと、なんか有ったっけな〜 う〜んと〜、、、」


「、、、長っげぇよ! 何時までやってんだアンタ‼︎」



 僕は首を傾げながら呟く少女にヒリヒリする背中を堪えながら叫んだ。


 っと言うのも10時間前、、、







「はい〜 ど〜も〜ですよ〜」

「ども、何すればいいんでしょ?」

「う〜んとね〜 まずは〜 このベットに〜 寝てくれるかな〜」

「は〜い」



 僕は軽い返事を返しながら少女が腰掛ける木のベットに触れると、腰掛ける少女に目で訴える。



「、、、、、? なんです〜?」


「いや、寝たいんですけどね?」


「え〜? 、、、あ、そっか〜 私座ってたら寝っ転がれないよね〜」


「そ、そうなんですよね! じゃあ、、、」


「うん、じゃあ床で〜ね?」


「ん? え、ちょっと、、、は?」



 眼前でベットを見つめ考え込んでいた少女は、理解と同時に傲慢なお嬢様みたいなことを言い出した。



「寝ないんです〜?」


「いやいや、冗談でしょ?」


「何で冗談なんか言わなきゃなんです?」


「アンタもしかして危ない奴か‼︎」


「危なくないですよ〜 良いから寝ませんか〜」


「分っかりましたよ、たく、、、」



 僕は呟くように言うと簡素な白い部屋の真っ黒いベット、その木造の床に渋々少し離れた所で寝転んだ。


 と、少女は名残惜しそうにベットを立つと僕の背中に馬乗りでどこから出したのか工具箱みたいなのから細い針の束を持つと空いた右手で僕の着る服を破って捨てると丸見えになった背中を軽く冷たい右手で撫でてから束の針を一本抜く。



「ちょっと待てよアンタ! それで何する気だよ!」


「え? いや、私も仕事だし〜 すぐ終わるんで〜 ってか痛くないんで〜」


「ほんとに痛くないんだろうな⁉︎」


「大丈夫ですよ〜」



 少女は顔に影を落としながら言うと鋭い針を僕の背中にブスッと!



「痛ってえぇぇぇぇぇぇなクソチビ助えぇぇぇ!」


「うわ〜 急に酷いこと言うじゃないですか〜 痛くないでしょ〜」


「痛いはボケェ! ブッコロすz、、、 おい、何で動けない?」


「動かれたら手元狂うからねぇ〜」


「今の麻酔かもしかしてぇ!」


「そうだよ〜」



 激痛で叫んだ僕に追撃のように次の針が、、、


 痛くないのは多分だけの麻酔のせいかな。


 絶対体に良いところ刺してねぇだろコイツ、、、






 そして9時間と少し、針刺されるのが終わって6時間は経ってる。


 麻酔が切れてきて背中の各所に歪な違和感が現れ始めた僕は今、少女に魔力とかスキルとかに関する話とか使い方を教えてもらってる。


 針治療みたいなの終わったあたりからずっと感じる今までに無い感覚、コレを魔力って呼ぶらしい。


 使い方、感じ方にスキルの起動とかは結構分かってきたかな。


 その代わりに、、、



「それで〜 う〜んと、次は〜 魔力の動かし方を、、、」


「もうやったよ! 五回目だぞソレ! 良い加減にしてくんねぇかなリューテルド‼︎」


「あれ? そうだっけ〜?」



 僕は4回繰り返された訓練をダメ押しでもう一回やろうとする少女、改めリューテルドにとうとう怒鳴るとブカい浴衣の襟首を締め上げたい気持ちを押し殺してアグラしてる太腿を抓ると心を治める。


 かれこれ何時間も反復練習みたいに同じようなサイクルを繰り返した僕はかなり嫌気がさしている。


 それで更に約1時間、冒頭の話題だ。


 リューテルドはず〜っと他に説明することがあるか30分くらい悩んでいた。



「まだやんのか! どんだけやってんだよ!」


「あ〜! もう分かったよ〜!」


「何切れてんだテメェぶち殺すぞ‼︎ 早く異世界でチート生活したいんだよ俺はあぁぁぁ!」


「あ〜っ! もう送るからっ!」


「そうしろよ!」



 僕が流石にキレながら言うとリューテルドは面倒臭そうに言って右の人差し指で星を描くと赤い星の軌跡を作った。


 と同時に、僕の座る床に五角形の内側が赤い模様が現れた。



「もうすぐに行くから、ソレで良いんでしょ〜?」


「そうだよ!」



 そして数秒、遂に行きそうって雰囲気になって意識も遠のいた僕の耳に、、、



「あ、、、」


「ん? あ、って何だテメェ!」


「まあいっか」


「良くねぇy、、、」



 言う前に、僕は意識を完全に失った。

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止まった世界を駆け抜ける僕カッケエェェェェ!!! カランドウ @tyokomiruku

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