102号室 杜松の実さん
笑いのヒトキワ荘・第一回住人募集中 ドタバタコメディ杯 この戦いに何作品の血が流れただろうか……。全42作品。
https://kakuyomu.jp/user_events/1177354055088183278
102号室以下は非常に悩みました。杜松さんの作品は先に別の企画にご投稿されていたみたいですが、私の近況ノートにコメントもくださいましたし、おそらく、杜松さん自身普段ユーモア作品をたくさん書かれている方ではないので、実際書いてみてできたら参加してみよう──という感じだったのではないかと思います。なので「書き下ろし作品」とみなしました。
猫の
https://kakuyomu.jp/works/1177354055083408023
【ヒトキワ荘・作品分類】
ユーモア小説 (オマージュ風)
【作品概要】
チロは猫。それなりの経験を積んだそれなりの年齢の
管理人からのお便り
ユーモア小説というのは作者が仕込んだ仕掛け(おかしみ)を味わうもの、と私は思っています。なのでコメディ、コント作品のようにガハハ、と笑うよなお話とは少し毛色が違いますよね。どちらかというと「ニヤリ」という感じ。知的な罠、ですね。そういった意味で「猫離れした猫の蘊蓄」と「いっちょ前のプライド」というチロ氏を使ったユーモラスな仕掛けに、「ほほーう」とつぶやき、ニヤリとさせていただきました。
猫を主人公にした作品はそれこそたくさんあるでしょう。今大会でも杉浦ヒナタさんの信長になった猫の作品などありましたね。またこの作品は、夏目漱石作品のオマージュとも言えます。めずらしいわけでもない……でも私が本作を推せるな、と思ったのは、やはりその筆致ですね。
良かった点
人間並みの、いやそれ以上と思わせる猫の観察眼、分析力がいいですね。筆も乗りに乗ってるって感じがしました。異教徒、邪教徒、フレームイン、コピ・ルアクなどのボキャブラリーをぶって、主人公がどれほどの知識の蓄積が実現できているかを証明してみせ、読者が「こんなんあり得んやろ」となることも見越しての書斎での「読書シーン」。ああ、こうやって本を読んでいろいろ知ったのね、と納得できる(識字の秘密は明らかにされていませんが、多分、Eテレとかで学んだんじゃないかな?、うん、きっとそう)。
チロがどれだけの
一つだけ、書斎のシーンで、チロが読んでいた小説ですが、流れからいって漱石作品に違いない、と思ったのですが、私にはなんなのかタイトルが浮かびませんでした。私が普段、日本文学を読みつけていないのがいけないのですが、『三四郎』かな? とか思ってウィキペディアで調べたものの……。もしよろしければ教えて頂けるとうれしいです。
オチも、さんざんぶっといてあっさり「あきらめた」ところは笑えました。でもこのチロのことだから、また後日いろいろ言い出すに違いない、と想像できるところもよかった。我らは非常に飽きっぽいのだ、と冒頭で布石も打ってますね。
杜松の実さんへ
管理人がつけたあだ名 「熱血の文学的好青年」
講評がもらえるような企画にどしどし参加されているようですね。私もそうなのですが、きっと自分の腕を磨くために日夜研鑽されてるのではないかと思います。
そのためにはやはり、読者の声って大事ですよね。たくさんの人に読まれてパワーアップして生まれる作品もあると思います。私は熟達した読者というわけではないのでお役に立てたかわかりませんが、ただ笑いの作品好きとして真剣に読み、感想を書かせていただきました。とても熱心な書き手さん、と思います。
私がはじめて読んだ杜松の実さんの作品は、「週末深夜のここで踊ろう」でした。最初に読んだときの気持ちをそのときと同じように語ることは難しいですが、コメントにも書いたとおりで、私に構成云々の鋭い分析はできないにしても、文学という世界で息をついたり羽を伸ばしたりできるようなそういう特別な空間に、あの時間、居られました。私は正直、物語にはあまり頓着しない方です。なので今回も猫が主人公だからとか、オチがどうかというよりは、文章と、その書き手さんが笑いをどう扱っておられるかを気にして住人選考したつもりです。ベクトルを笑いではなく物語に合わせている方は、やはりそれだけ笑いが減じている気がしました。まるで仕事に熱を入れるあまり恋人をなおざりにしてしまう人のような……。また、おもしろい設定の物語=笑える、と思っておられる方も多いと思いますが、私は違うと思っています。もちろん、私が個人的にそう解釈しているだけかもしれませんが。
102号室、好きにお使いください。またどこかの企画でお会いするとき、ライバルになっちゃうかもしれないですね。なれるようなものが私に作れていたらいいなとも思う。杜松の実さんの新たな作品が読めることは大きな喜びだと思います。また機会がありましたら拝読します。これからも熱血作家として、そして審査員に回ったときには遠慮なく私をぶったぎってください。いや、お手柔らかに……。今後もよろしくお願いします。
ヒトキワ荘・管理人 崇期より。
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