優しいお父さんとお母さん。静かな森の暮らし。ささやかな日々の幸せ。主人公のヴァルナは、少しだけ、ほんの少しだけ人とは違った、優しい女の子。両親の愛に守られて育った彼女を、残酷な世界が襲います。それでも、新たな出会いによって繋がれた手が、紡がれた絆が、そして彼女自身の心が、暖かな光を放ち、道を照らしてくれます。まだ物語は始まったばかり。小さな聖女の旅路に、どうぞ幸のあらんことを。
作品全体の持つ空気感がとてもいい。日本昔話や昭和史を読んでいるような感覚になり、どこか懐かしさと暖かさとを覚えます。この懐かしさと暖かさは本当に大事なもの。これがあるからこそ、物語の中の残酷な出来事を人は嫌悪感なく受け入れられるのだから。