野林緑里様の自主企画用
しばらく、漣とラピスが紙を捲る音だけが続いた。そろそろ帰らないと体を冷やしてしまう。クエルクスは熱心に文字の間に視線を走らせているラピスに帰城を促そうと、口を開きかけた。
「あら!」
するとラピスが小さく叫んだ。見れば、瑠璃の目を輝かせている。何事かと書簡を覗き込むと、どうやら相手国——シレアの王女の経歴やラピス宛の挨拶があるらしい。王女同士の交流を図ってのことだろう。
「なんて書いてあるんです」
「ふふ。なんだか意欲的な王女様みたい。いいなぁ、会ってみたい」
「読んでくださいよ」
「聞きたい? えっとね……」
——自主企画の質問形式でお送りします——
質問1 あなたのプロフィールおしえてください
——シレア国の第二子第一王女として、シレア国の至宝たる「時計台」を持つ、王都シューザリーンに生まれ、十八年になります。名前は……このお手紙の中に書いてありますけれど、本題に関わる重要なことですから、本文の方でご確認いただければ幸甚に存じます。
質問2 あなたの出ている作品の紹介をどうぞ
——『時の迷い路』と銘打って、此度の催し物に参加しております。昨年度はわたくしの兄が『天空の標』という書にて報告書を出しましたが、独立で出させていただいております。詳細はこちらにて。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889868322
質問3 その作品でもあなたの役割はなんですか?
——此度の催し物では中心となって動いております。どうぞ忌憚なきご意見を賜れれば幸いです。
質問4 今後、あなたはどうありたいですか?目標や希望はありますか?
——お兄様のような有能でお優しくて美しくて自己を律した女王になりたいと思っております。目標? とりあえず「この小娘が」という表情を老中の顔から消し去りたい、かしら……。あぁ、もっとこうなれば! と思うのは、王族が市井に行くのを咎め立てする声が減るといいのだけれど。
ささやかな希望を申し上げれば、料理長のかぼちゃのスープをもう一度、私そっくりの女の子と飲みたい、かしら。
質問5 あなた以外の登場人物を何人か教えて下さい
——とても大切な友人になった女の子がいるのです。それから、態度は失礼だけれど有能な下男。料理長はもう申し上げましたね。そうそう、私の世話をしてくれている侍女は姉のような存在ですわ。
あ、もちろん、お兄様も。
質問6 一言どうぞ
——シレア国は秋の紅葉がとても美しく、目を見張るほどでございます。国に立つ時計台は不思議な力を秘めているようで、わたくしがお送りするもの《物語》もこれがあってこそ。「時」とは何か、考えてしまいます。一度全体をまとめて諸国へお知らせしましたが、そののち、重要な部分にも手を入れております。
まずは、シレアの秋の風景がいらっしゃる方々のお心を掴めば、と切に願っております。初めの一ページをご覧くださいませ。見渡す限り広がる黄金の景色が、お心に残るものであることを、と祈っております。
「……ですって。私も飲みたい。南瓜のスープ」
ラピスは書をもう一度読み直し、微笑んだ。
「ラピス様も返事を書かないといけませんね」
「そうね……『お兄様』だという王子殿下が妹姫をどう思っていらっしゃるのか、そのお答えも聞いてみたいわ」
***
本編の参加ではないのですが、面白い自主企画があったので参加してみました。野林緑里様の企画です。本編の参加は、既述の通り相変わらず見送っています。
まずは『時の迷い路』の主人公に答えてもらいました。
書いた通りで、このお話は「旅のはじまり」が秋の景色。下地は10年以上前? にあったもので、そこからあまり手を入れていません。見渡す限りの紅葉を感じていただけましたら嬉しいです。シレアへどうぞお越しください。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889868322
次はラピスかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます