第7話

俺は家から出て、街に向かっていた。


外はすでに薄暗くなっており、月と星がキラキラと輝いている。

俺は空を見上げながら街に向かっていると気がついたら街の門についていた。 


やっぱり早いな。


俺はそんなことを考えながら、門番に挨拶をして街に入りギルドのあるところまで向かった。


ギルドの入り口に着きギルドに入ろうとすると、ギルドからいつもより騒がしい声が聞こえた。

どうしたのだろうと思いながら俺はギルドに入るとギルドの中の様子に驚いていた。


そこには俺がこの前ボロボロにした火竜の死骸が置かれており、ギルドにいた冒険者達がその火竜を囲むように椅子に座り、各々酒を飲んでいたり、料理を食っていた。


どうやら無事に火竜を倒せたようだな。

と俺が感心していると後ろから


「よぉ!アズ坊!」


と聞き慣れたことのある声が聞こえた。

俺は振り返るとそこにはザリルさんがいた。


「こんばんわザリルさん。無事に火竜を倒せたんですね。」


と俺が言うと、ザリルさんが笑いながら


「あぁ。

無事に倒せたよ…っていうか俺たちが来た時にはこの火竜は体中がボロボロであちこちから血が流れていたんだぜ。しかも胸には剣か何かで刺された後があって一歩も動けるような状態では無かったんだぜ。

もしかしてあれってお前がやったんか?」


「そうだよ」


ザリルさんに聞かれて俺はそう答えるとザリルさんは途中で呆れたような表情をした。


「やっぱりかぁ。

お前、あんなにまでボロボロにしたんだったらせめてトドメぐらい刺せよ」


「すみません」


呆れたように言うザリルさんに俺は笑いながらそう頭を下げる。

…俺の一体どこに非があるんだ?


「ところでその手袋とマントはどうしたんだ?」


とザリルさんが俺の身に付けている手袋とマントを指を指して聞いてきた。

やっぱり気付いたか。


「これは火竜を倒したと思っていた時に火竜から剥ぎ取った素材から作りました。」


と言うと、ザリルさんは


「あぁ!だから火竜の所々に剥ぎ取られた跡があったのか。

それにしても上手に出来たな。

やっぱりアズ坊は器用だな!

でも生きたまま剥ぎ取られたなんて火竜も可哀想だな!」


と大笑いをして言った。

俺は笑っていたが、ふと、誰が『竜殺し』の称号をてにいれたんだろと疑問に思った。

俺はそう疑問に持ったので、


「ところで誰が『竜殺し』の称号を手に入れたんですか?」


とザリルさんに聞くと、ザリルさんは「あの男だよ」とある方向に指を刺した。

その方向にいた男の冒険者はテーブルにもたれ掛かって寝ていた。

またその冒険者の横には沢山の空のコップがあった。

この様子から見て、たくさんお酒を飲んで、そのせいで泥酔をしてそのまま寝てしまったことが窺えた。

まあ、嬉しくて飲んだんだろうけど飲みすぎじゃね?

俺はその様子を見て少し顔を引きつらせながら、


「ではクエストに行ってきます」


と言って受付場に向かうとザリルさんは


「おぉ、また狩りに行くのか?ま・た・大量に狩れるように頑張れよ!」


といつも通り応援してくれた。

俺はザリルさんの方に振り返ると笑いながら、手を振って受付場に向かった。

そのあと俺は受付場に向かうとそこにはコリンさんが出迎えてくれた。


「コリンさんまたいつものよろしくお願いします。」


と俺が言うと、コリンさんは微笑んで


「『ゴブリン 三体討伐』ですね。わかりました。今回もまた他にもたくさん狩るんですよね。アズ君、頑張ってね」


と言いながら依頼表にスタンプを押すと俺にその依頼表を渡してきた。

俺はその依頼表を受け取ると


「いつもありがとうございます。頑張りますね」


とコリンさんにペコリとお辞儀をしてギルドの外に向かった。

そしてギルドの外に出て、いつも行っている森に向かうため、走る準備をしていると後ろから、


「待ってくれ!!」


と大きな声が聞こえた。

俺は驚いてバッと声の聞こえた方向を見るとそこにはマリンさん達がいた。


「誰かと思えばマリンさん達ではありませんか。

一体どうしましたか?」


と俺がマリンさんに問うとマリンさんは


「クエストに向かうのなら私達も一緒に連れてってくれないか?」


と聞いてきた。

俺にとって別に問題は無いので、


「いいですよ」


と言った。

だがそれを聞こえていないのか


「足手まといになるのは分かっている。

だが私達はアズに聞きたいことが………へ?いいのか一緒に行っても?」


とマリンさんが申し訳ないように言っていた。

そして俺が了承したのが気づいたのか、マリンさんはなぜか驚いたように俺にそう聞いてきた。

また、マリンさんの後ろにいるルナ達もなぜか驚いていた。


自分から一緒に行きたいと言ってそれを了承してもらえたんだったら普通は喜ぶところでしょ?

てか聞きたいことって何だ?

と俺は不思議に思いながら、


「行かないんですか?俺はもう行きますよ」


とマリンさん達にそう言って森に向かおうとすると、マリンさん達は慌てて俺の後を追った。


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最強冒険者は夜行性 @aozoranozomu

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